高校教員の『さん』です!
この記事を見ると、「教科書の内容が分からない」から「教科書の言いたいことが分かる」ようになるよ。
教科書が読めるようになると、効率よく勉強が進められるようになって、問題集や参考書もスラスラ読めるようになる!
その力が、テストや受験に役立つ自信に変わるんだ。
生徒と関わる中で、気づいたことや学んだこと、そして生徒から寄せられた質問や、よくつまずくポイントを踏まえて、教科書の内容を噛み砕いて説明していくよ。
まずは、教科書の説明をみてみよう!
まずは教科書の説明
無限級数 \(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n\) と\(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty b_n\) が収束し\(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n = S\), \(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty b_n = T\)とする。
このとき次の性質が成り立つ
[1] \(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty k a_n = k\sum_{n=1}^\infty a_n\)(ただし \(k\) は定数)
[2]\(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty (a_n + b_n) = S + T\), \(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty (a_n – b_n) = S – T\)
簡単に説明するよ!
無限級数には、次の2つの重要な性質があるよ
- 係数を前に出せる
- 無限級数 \(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty k a_n\) では、定数 \(k\) を級数の外に出せる。
$$\sum_{n=1}^\infty k a_n = k \sum_{n=1}^\infty a_n$$
- 無限級数 \(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty k a_n\) では、定数 \(k\) を級数の外に出せる。
- 和の \(\Sigma\) を \(\Sigma\) の和にできる
- 和や差が含まれる無限級数 \(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty (a_n + b_n)\)は、次のように分けられる
$$\sum_{n=1}^\infty (a_n + b_n) = \sum_{n=1}^\infty a_n + \sum_{n=1}^\infty b_n$$
差の場合も同様に
$$\sum_{n=1}^\infty (a_n – b_n) = \sum_{n=1}^\infty a_n – \sum_{n=1}^\infty b_n$$
- 和や差が含まれる無限級数 \(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty (a_n + b_n)\)は、次のように分けられる
ただし、無限級数でこれらの操作を行うには 「級数が収束すること」 が前提だよ!
「収束するかどうかを確認しないとテストで減点される可能性があるから気をつけよう。」
詳しく説明するよ!
具体例を使って、無限級数の計算を解説していくよ。
例題:次の無限級数の和を求めよ。
$$\sum_{n=1}^\infty \left\{ 3 \cdot \left(\frac{1}{2}\right)^n – \left(\frac{1}{3}\right)^n \right\}$$
今回の問題は「差の \(\Sigma\) 」だね。
「差の \(\Sigma\) 」は「 \(\Sigma\) の差」に変形することができるよ。
「差の \(\Sigma\) 」を、
$$\sum_{n=1}^\infty \left\{ 3 \cdot \left(\frac{1}{2}\right)^n – \left(\frac{1}{3}\right)^n \right\}$$
「 \(\Sigma\) の差」に変形することができる。
$$\sum_{n=1}^\infty \left(3 \cdot \left(\frac{1}{2}\right)^n \right)- \sum_{n=1}^\infty \left(\frac{1}{3}\right)^n $$
次に\(\Sigma\)は「係数を前に出す」ことができるよ。
左側の\(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty \left(3 \cdot \left(\frac{1}{2}\right)^n \right)\)は、係数 \(3\) を前に出せるから、
$$3 \sum_{n=1}^\infty \left(\frac{1}{2}\right)^n – \sum_{n=1}^\infty \left(\frac{1}{3}\right)^n$$
となる。
この2つが無限級数の性質なんだけど、この性質を使うときに必ずやらないといけないことがあるだ。
それは、「収束するかの確認」
- \(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty \left(\frac{1}{2}\right)^n\):公比が \(\displaystyle\frac{1}{2}\) で、\(\displaystyle\left|\frac{1}{2}\right| < 1\) → 収束する!
- \(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty \left(\frac{1}{3}\right)^n\) :公比が \(\displaystyle\frac{1}{3}\)で、\(\displaystyle\left|\frac{1}{3}\right| < 1\) → 収束する!
「今回は性質を説明してから、前提の確認をしたけど、問題を解くときは、前提の確認をしてから性質を使おうね!」
あとは無限等比級数の公式\(\displaystyle\frac{a}{1-r}\)を使って計算するだけ!
$$\sum_{n=1}^\infty \left(\frac{1}{2}\right)^n = \frac{\frac{1}{2}}{1 – \frac{1}{2}} = 1$$
$$\sum_{n=1}^\infty \left(\frac{1}{3}\right)^n = \frac{\frac{1}{3}}{1 – \frac{1}{3}} = \frac{1}{2}$$
だから
$$3 \cdot 1 – \frac{1}{2} $$
を計算して
$$\frac{5}{2}$$
「例題を解いてみると、性質をどう使うのかが具体的にわかるよね!自分でも同じように手を動かして計算してみてね!」
ちゃんとした解答はこちら↓
\(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty \left(\frac{1}{2}\right)^n\)は\(\displaystyle\left|\frac{1}{2}\right| < 1\)、\(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty \left(\frac{1}{3}\right)^n\) は\(\displaystyle\left|\frac{1}{3}\right| < 1\) より、ともに収束する。
よって
最後に例題
例題:次の無限級数の和を求めよ。
$$\sum_{n=1}^\infty \left\{\left(\frac{1}{3}\right)^n + \left(\frac{1}{4}\right)^n\right\}$$
\(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty \left(\frac{1}{3}\right)^n\) は \(\displaystyle\left|\frac{1}{3}\right| < 1\)、\(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty \left(\frac{1}{4}\right)^n\) は \(\displaystyle\left|\frac{1}{4}\right| < 1\) より、ともに収束する。
よって
まとめ
今回のポイントを整理すると、次のようになるよ。
- 無限等比級数の和は公式を使って計算できる
$$\frac{a}{1 – r}$$ - 無限級数の性質には、次の2つがある
- 「係数を前に出せる」
$$\sum_{n=1}^\infty k a_n = k \sum_{n=1}^\infty a_n$$ - 「和の \(\Sigma\) を \(\Sigma\) の和にできる」
$$\sum_{n=1}^\infty (a_n + b_n) = \sum_{n=1}^\infty a_n + \sum_{n=1}^\infty b_n$$
- 「係数を前に出せる」
- 無限級数の場合、これらの性質を使うには 「収束すること」 を確認するのが前提
- 公比の絶対値 \(|r| < 1\)のときに収束する
「最初に戻って、教科書の説明を読んでみよう!スラスラ理解できるはずだよ!」
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