高校教員の『さん』です!
この記事を見ると、「教科書の内容が分からない」から「教科書の言いたいことが分かる」ようになるよ。
教科書が読めるようになると、効率よく勉強が進められるようになって、問題集や参考書もスラスラ読めるようになる!
その力が、テストや受験に役立つ自信に変わるんだ。
生徒と関わる中で、気づいたことや学んだこと、そして生徒から寄せられた質問や、よくつまずくポイントを踏まえて、教科書の内容を噛み砕いて説明していくよ。
まずは、教科書の説明をみてみよう!
- まずは教科書の説明!
- 簡単に説明するよ!
- 詳しく説明するよ!
- 無限級数\(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n\)が収束する\(\Rightarrow\)\(\displaystyle\lim_{n \to \infty} a_n=0\)の説明
- 「和と一般項の関係」と「無限級数の求め方」
- 無限級数\(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n\)が収束する\(\Rightarrow\)\(\displaystyle\lim_{n \to \infty} a_n=0\)の証明
- 数列\(\{a_n\}\)が\(0\)に収束しない\(\Rightarrow\)無限級数\(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n\)は発散するの説明
- 無限級数が発散することの証明
- 最後に例題
- まとめ
まずは教科書の説明!
無限級数\(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n\)が収束するとする。
このとき、その和を\(S\)、第\(n\)項までの部分和を\(S_n\)とすると、数列\(\{S_n\}\)は\(S\)に収束する。
\(n\text{≧}2\)のとき、\(a_n=S_n-S_n-1\)であるから
よって、無限級数\(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n\)が収束するとき\(\displaystyle\lim_{n \to \infty} a_n=0\)が成り立つ。
すなわち、次のことが成り立つ。
なお、\(2\)は\(1\)の対偶である。
- 無限級数\(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n\)が収束する \(\Rightarrow\) \(\displaystyle\lim_{n \to \infty} a_n=0\)
- 数列\(\{a_n\}\)が\(0\)に収束しない \(\Rightarrow\) 無限級数\(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n\)は発散する
※\(1, 2\)の逆は成り立たない。
簡単に説明するよ!
無限級数\(a_1+a_2+\cdots\) が収束するなら、数列は0に近づいていく。
この対偶も成り立つから、
数列が0に近づいていかないならば、無限級数\(a_1+a_2+\cdots+\) 発散する。
つまり、
無限級数が発散することを示したかったら、「数列が0に近づいていかない」ということを示せばいいってこと。
詳しく説明するよ!
無限級数\(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n\)が収束する\(\Rightarrow\)\(\displaystyle\lim_{n \to \infty} a_n=0\)の説明
例えば、無限級数\(\displaystyle\frac{1}{2}+\frac{1}{4}+\frac{1}{8}+\cdots\) は、公比が\(\displaystyle\left|\frac{1}{2}\right|<1\)だから収束するよね?
で、この数列は\(\displaystyle\frac{1}{2}→\frac{1}{4}→\frac{1}{8}\)って、だんだん\(0\)に近づいていっているのが分かる。
こんな感じで、無限級数\(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n\)が収束するなら、その数列は必ず\(0\)に近づいていくんだ。
「和と一般項の関係」と「無限級数の求め方」
これを証明するためには「和と一般項の関係」と「無限級数の求め方」の知識とが必要。
「和と一般項の関係」は、\(S_n=a_1+a_2+\cdots+a_{n-1}+a_n\)から\(S_{n-1}=a_1+a_2+\cdots+a_{n-1}\)を引くと、\(a_n\)だけが残るよってやつ。
\(a_n\)と\(S_n-S_{n-1}\)が同じだから、\(a_n\)の極限と\(S_n-S_{n-1}\)の極限も同じって考えれるんだ。
「無限級数の求め方」は、無限等比級数\(a_1+a_2+\cdots\)は、部分和\(S_n\)の極限のことだったね。
また、部分和\(S_{n-1}\)の極限も無限級数と同じなんだ。
無限級数\(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n\)が収束する\(\Rightarrow\)\(\displaystyle\lim_{n \to \infty} a_n=0\)の証明
上の知識を使って、「無限級数\(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n\)が収束するなら、その数列は必ず\(0\)に近づいていく」を証明していくよ。
無限等比級数\(a_1+a_2+\cdots\)が\(S\)に収束するとき、
\(a_n\)の極限は、\(S_n-S_{n-1}\)の極限のことで、
\(S_n\)の極限も\(S_{n-1}\)の極限も\(S\)になるから、
&&\lim_{n \to \infty} a_n = \lim_{n \to \infty} (S_n-S_{n-1}) = S – S = 0 &&
これで「無限級数\(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n\)が収束するなら、その数列\(\{a_n\}\)は必ず\(0\)に近づいていく」ってことが証明できたね!
「その逆、『数列\(\{a_n\}\)が\(0\)に近づいていくんだったら、無限級数\(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n\)は必ず収束する』は成り立たないから注意してね!」
数列\(\{a_n\}\)が\(0\)に収束しない\(\Rightarrow\)無限級数\(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n\)は発散するの説明
命題の真偽はその命題の真偽と一致するんだったね!
だから、「無限級数\(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n\)が収束するなら、その数列\(\{a_n\}\)は必ず\(0\)に近づいていく」の対偶「数列\(\{a_n\}\)が\(0\)に近づいていかないなら、その無限級数\(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n\)は必ず発散する」も成り立つんだ!
これを使って、無限級数の発散を証明するとができるよ。
つまり、「数列\(\{a_n\}\)が\(0\)に近づいていかない」ことを示せれば、「無限級数\(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n\)は発散する」ことを示したことになるってわけ!
無限級数が発散することの証明
次の例題で説明していくよ。
例題:無限級数\(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty \frac{n}{n+1}\)は発散することを示せ。
無限級数が発散することを示したかったら、数列の極限が \(0\) にならないことを示せばよかったね。
この例題では
$$\displaystyle\lim_{n \to \infty} \frac{n}{n+1}$$
が \(0\) にならないことを示していくよ。
この極限は\(\displaystyle\frac{\infty}{\infty}\) の不定形だから、分母分子を分母の最高次数 \(n\) で割ると、
$$\displaystyle\lim_{n \to \infty} \frac{1}{1+\frac{1}{n}}$$
不定形が解消できたから、\(n \to \infty\)とすると、
$$1$$
になる。
これで数列の極限が 0 にならないことが示せたから、無限級数\(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty \frac{n}{n+1}\)が発散することを示せたことになるってわけ。
解答
第\(n\)項は、\(\displaystyle a_n=\frac{n}{n+1}\)なので、
よって、この級数は発散する。
「無限級数が発散することを示したかったら、数列の極限が \(0\) にならないことを示そう!」
最後に例題
例題:無限級数 \(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty (-1)^{n-1} \cdot (2n-1)\)は発散することを示せ。
第\(n\)項は、\(\displaystyle a_n=(-1)^{n-1} \cdot (2n-1)\)なので、
よって、この級数は発散する。
「符号の関係で\(\displaystyle\lim_{n \to \infty} a_n\)が直接求めづらい場合は、\(\displaystyle\lim_{n \to \infty} a_n \neq 0 \Leftrightarrow \lim_{n \to \infty}|a_n| \neq 0 \) を利用するといいよ!」
まとめ
今回の内容を振り返ると、次のポイントが重要だったね。
- 無限級数が収束するなら、その一般項は \(0\) に収束する。
- 無限級数 \(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n\) が収束するとき、一般項 \(a_n\) の極限は必ず \(0\) になる。
- これは、「和と一般項の関係」と「無限級数の求め方」を使って証明できる。
- ただし、一般項が \(0\) になったとしても、級数が収束するとは限らないので注意。
- 数列が \(0\) に収束しないなら、その無限級数は発散する。
- 対偶を利用して、数列 \(a_n\) が \(0\) に収束しないことを示せば、級数の発散が証明できる。
- 発散の証明の流れ
- 数列の極限を求める。
- 極限が \(0\) でないことを示す。
- したがって、級数が発散すると結論づける。
これらのポイントを押さえれば、無限級数の収束や発散の判断がスムーズにできるようになるはずだよ!
「最初に戻って、教科書の説明を読んでみよう!スラスラ理解できるはずだよ!」
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