微分法の応用02:「接点不明の接線の方程式」

数学準備室

高校教員の『さん』です!

この記事を見ると、「教科書の内容が分からない」から「教科書の言いたいことが分かる」ようになるよ。

教科書が読めるようになると、効率よく勉強が進められるようになって、問題集や参考書もスラスラ読めるようになる

その力が、テストや受験に役立つ自信に変わるんだ。

生徒と関わる中で、気づいたことや学んだこと、そして生徒から寄せられた質問や、よくつまずくポイントを踏まえて、教科書の内容を噛み砕いて説明していくよ。

まずは、教科書の説明をみてみよう!

まずは教科書の説明!

例題:曲線 \(y=\log{x}\) について、次のような接線の方程式を求めよ。

(1) 傾きが\(e\)である

(2) 原点を通る

\(y=\log{x}\) を微分すると \(\displaystyle y’=\frac{1}{x}\)

ここで、接点の座標を\((a, \:\log{a})\)とすると、接線の方程式は \(\displaystyle y-\log{a}=\frac{1}{a}(x-a)\)

すなわち \(\displaystyle y=\frac{1}{a}x+\log{a}-1 \tag{①}\)

(1) 接線①の傾きが\(e\)であるから

\(\displaystyle\frac{1}{a}=e\) すなわち \(\displaystyle a=\frac{1}{e}\)

①に代入すると \(y=ex-1-1\) 整理して \(y=ex-2\)

(2) 接線①が原点 \((0, \:0)\)を通るから \(\displaystyle0=\frac{1}{a}\cdot 0+\log{a}-1\)

よって \(\log{a}\)=1 したがって \(a=e\)

①に代入すると \(\displaystyle y=\frac{1}{e}x\)

簡単に説明するよ!

接点 \((a,\:f(a))\) 、傾き \(f'(a)\) の接線の方程式は \(y=f'(a)(x-a)+f(a)\) だよ。

接線は、接点と傾きが分かれば求めることができるよ。

接点が分からない接線の問題は、とにかくまず接点を文字でおくことが大事だよ。

詳しく説明するよ!

接点が問題文に書かれていないときの、接点の求め方を説明していくよ。

今回扱う例題はこれ

例題:曲線 \(y=\log{x}\) について、次のような接線の方程式を求めよ。

(1) 傾きが\(e\)である

(2) 原点を通る

接点を文字でおき、接線の方程式を作る

この例題では、接点の情報が書かれていないね。

こんなときは

「とにかくまず接点を文字でおく

これを反射的にできるようにしよう。

接点を \((a,\;f(a))\) と設定すると、接線の方程式

$$y=f'(a)(x-a)+f(a)$$

と作れるようになる。

次は、傾き\(f'(a)\)を考えよう。

例題で与えられてる関数は \(y=\log{x}\) だから、微分して

$$y’=\frac{1}{x}$$

接点 \((a,\;f(a)\) での傾きは \(\frac{1}{a}\) と分かるから、接線は

$$y=\frac{1}{a}(x-a)+\log{a}$$

とすることができる。

さん
さん

「ここまでは、何も考えずにできるようになろう!!」


条件から接点を求める

次は問題文の条件から自分で置いた接点の \(x\) 座標 \(a\) を求めていくよ。


(1)の条件「傾きが \(e\)」から接点を考えていこう。

さっき求めた傾き \(\displaystyle\frac{1}{a}\) だったね。

$$\displaystyle\frac{1}{a}=e$$

これを計算して

$$\displaystyle a=\frac{1}{e}$$

あとはこれを接線の方程式

$$y=\frac{1}{a}(x-a)+\log{a}$$

に代入すればいいから

「(1) 傾きが \(e\)」ときの接線

$$\displaystyle y=e\left(x-\frac{1}{e}\right)+\log{\frac{1}{e}}$$

を計算して

$$\displaystyle y=ex-2$$


次は(2)の条件「原点を通る」から接点を考えていこう。

接線が原点 \((0,\:0)\) を通るから、接線の方程式

$$y=\frac{1}{a}(x-a)+\log{\frac{1}{e}}$$

に代入して

$$0=\frac{1}{a}(0-a)+\log{\frac{1}{e}}$$

これを計算すると

$$\log{\frac{1}{e}}=1$$

となるから

$$a=e$$

あとはこれを接線の方程式

$$y=\frac{1}{a}(x-a)+\log{a}$$

に代入すればいいから

「(2) 原点を通る」ときの接線

$$y=\frac{1}{e}(x-e)+\log{e}$$

を計算して

$$\displaystyle y=\frac{1}{e}x$$

\(y=\log{x}\) 上の接点を \((a,\;f(a))\) とおく

\(\displaystyle y’=\frac{1}{x}\) より、接線の方程式は \(\displaystyle y=\frac{1}{a}(x-a)+\log{a}\)

よって \(\displaystyle y=\frac{1}{a}(x-a)+\log{a}\)

(1)

傾きが \(e\) なので、 \(\displaystyle\frac{1}{a}=e\) より \(\displaystyle a=\frac{1}{e}\)

よって接線の方程式は \(\displaystyle y=e\left(x-\frac{1}{e}\right)+\log{\frac{1}{e}}=ex-2\)

(2)

\((0,\:0)\) を通るから \(\displaystyle 0=\frac{1}{a}(0-a)+\log{\frac{1}{e}}\)

よって \(\displaystyle \log{\frac{1}{e}}=1\) となるから \(a=e\)

従って接線の方程式は \(\displaystyle y=\frac{1}{e}x\)

さん
さん

接点が分からない接線の問題は、とにかくまず接点を文字でおくことが大事だよ」

まとめ

今回のポイントを整理すると、次のようになるよ

  • 接点 (\((a, f(a))\) での接線の方程式を \(y = f'(a)(x – a) + f(a)\) の形で表すことができる。
  • 接点が与えられていない場合は、「まず接点を文字でおく」ことが大事。
  • 問題文にある条件(傾きや通る点)から、接点の \(x\) 座標 \(a\) を求める。
  • 接点の座標が求まったら、接線の方程式に代入して、具体的な式を得る。
  • 計算ミスを防ぐために、各ステップを順番に確実に進めることが大切。

この流れをしっかり押さえて、どんな接線の問題にも対応できるようにしておこう!

さん
さん

最初に戻って、教科書の説明を読んでみよう!スラスラ理解できるはずだよ!

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