高校教員の『さん』です!
この記事を見ると、「教科書の内容がさっぱり分からない…」から「教科書の言いたいことが分かる!!」ようになるよ。
教科書が読めるようになると、効率よく勉強が進められるようになって、問題集や参考書もスラスラ読めるようになる!
その力が、テストや受験に役立つ自信に変わるんだ。
生徒と関わる中で、気づいたことや学んだこと、そして生徒から寄せられた質問や、よくつまずくポイントを踏まえて、教科書の内容を噛み砕いて説明していくよ。
まずは、教科書の説明をみてみよう!
まずは教科書の説明!
平均値の定理を用いると、 \(a,\;b\) の式 \(\displaystyle \frac{f(b)-f(a)}{b-a}\) を、 \(c\) の式 \(f'(c)\) に置き換えることができる。
このとき、 \(a<c<b\) であることを利用して、不等式を証明することができる。
平均値の定理を用いて、次のことを証明せよ。
\(0<a<b\) のとき \(\displaystyle \frac{1}{b}<\frac{\log{b}-\log{a}}{b-a}<\frac{1}{a}\)
関数 \(f(x)=\log{x}\) は、\(x>0\) で微分可能で \(\displaystyle f'(x)=\frac{1}{x}\)
区間 \([a,\:b]\) において、平均値の定理を用いると
\(\frac{\log{b}-\log{a}}{b-a}=\frac{1}{c}\tag{①}\)
\(a<c<b\tag{②}\)
を満たす実数 \(c\) が存在する。
\(\displaystyle f'(x)=\frac{1}{x}\) は \(x>0\) で減少するから、②より \(\frac{1}{a}>\frac{1}{c}>\frac{1}{b}\)
すなわち \(\frac{1}{b}<\frac{1}{c}<\frac{1}{a}\)
よって、①より \(\displaystyle \frac{1}{b}<\frac{\log{b}-\log{a}}{b-a}<\frac{1}{a}\)
簡単に説明するよ!
\(b-a\) や \(f(b)-f(a)\) を含む不等式の証明は、平均値の定理を元に不等式を作成することによって証明できるよ。
\(a<c<b\) をメインにして、\(c\) を消去することによって証明していくよ。
どんな関数を \(f(x)\) として設定するかが重要だよ。
平均値の定理は、\(f(x)\) n連続性と微分可能を確認する必要があるよ。
詳しく説明するよ
平均値の定理を使って不等式の証明する方法を説明するよ。
関数 \(f(x)\) が区間 \([a,\:b]\) で連続で、区間 \((a,\:b)\)で微分可能ならば、 \(\displaystyle \frac{f(b)-f(a)}{b-a}=f'(c),\:a<c<b\) を満たす実数 \(c\) が存在する
平均値の定理を使った不等式の証明は、一見おまけみたいに見える \(a<c<b\) がメインになってくるんだ。
証明の道筋は次の3ステップだよ
1.関数 \(f(x)\) が連続で微分可能かを確認する(前提の確認)
2.関数 \(f(x)\) に対して平均値の定理が成り立つことをいう
3.平均値の定理の不等式 \(a<c<b\) から \(c\) を削除して、証明したい不等式に導く
次の例題で考えていこう。
平均値の定理を用いて、次のことを証明せよ。
\(0<a<b\) のとき \(\displaystyle \frac{1}{b}<\frac{\log{b}-\log{a}}{b-a}<\frac{1}{a}\)
\(b-a\) や、 \(f(b)-f(a)\) (例えば \(\log{b}-\log{a}, \: e^b-e^a\)など )を含む不等式の証明は、平均値の定理をを元に不等式を作ることによって証明することができるんだ。
今回の例題では、関数 \(f(x) = \log{x}\) として平均値の定理を作成していくよ。
ステップ1
まずは、平均値の定理が使える前提を確認しよう。
関数 \(f(x) = \log{x}\) とすると、 \(f(x)\) は連続で微分可能な関数である。

定義とか定理とかを使う場合は、前提の条件の確認が大切!
ステップ2
前提条件が確認できたら、平均値の定理の作成。
\(\displaystyle f'(x)=\frac{1}{x}\) より、 \(\color{blue}{\displaystyle \frac{\log{b}-\log{a}}{b-a}=\frac{1}{c}}\) (\(\color{red}{a<c<b}\))を満たす実数 \(c\) が存在する。
ステップ3
平均値の定理で出てくる不等式 \(a<c<b\) から \(c\) を削除して、証明したい不等式 \(\displaystyle \frac{1}{b}<\frac{\log{b}-\log{a}}{b-a}<\frac{1}{a}\) を作っていくよ。
\(a<c<b\) を変形していくんだけど、証明したい不等式 \(\displaystyle \frac{1}{b}<\frac{\log{b}-\log{a}}{b-a}<\frac{1}{a}\) には、文字 \(c\) がないよね。
そこで、平均値の定理によって成り立つ等式 \(\displaystyle \color{blue}{\frac{\log{b}-\log{a}}{b-a}=\frac{1}{c}}\) を使って \(c\) を削除していくんだ。
\(a<c<b\) の逆数をとると
\(a<c<b\) より \(\displaystyle \frac{1}{b}<\color{blue}{\frac{1}{c}}<\frac{1}{a}\)
\(\displaystyle \color{blue}{\frac{\log{b}-\log{a}}{b-a}=\frac{1}{c}}\) を代入して \(c\) を消去すると
\(\displaystyle \color{blue}{\frac{\log{b}-\log{a}}{b-a}=\frac{1}{c}}\) より \(\displaystyle \frac{1}{b}<\color{blue}{\frac{\log{b}-\log{a}}{b-a}}<\frac{1}{a}\)
平均値の定理はこのように使えば不等式を証明することができるんだよ!
関数 \(f(x) = \log{x}\) とすると、 \(f(x)\) は連続で微分可能な関数である。
\(\displaystyle f'(x)=\frac{1}{x}\) より、平均値の定理を用いると \(\color{blue}{\displaystyle \frac{\log{b}-\log{a}}{b-a}=\frac{1}{c}}\) (\(\color{red}{a<c<b}\))を満たす実数 \(c\) が存在する。
\(a<c<b\) より \(\displaystyle \frac{1}{b}<\color{blue}{\frac{1}{c}}<\frac{1}{a}\)
よって、\(\displaystyle \color{blue}{\frac{\log{b}-\log{a}}{b-a}=\frac{1}{c}}\) より \(\displaystyle \frac{1}{b}<\color{blue}{\frac{\log{b}-\log{a}}{b-a}}<\frac{1}{a}\)
まとめ
今回のポイントを整理すると、次のようになるよ!
- 平均値の定理を使えば、不等式の証明ができる!
- 証明する不等式の中に \(b-a\) や、 \(f(b)-f(a)\) (例えば \(\log{b}-\log{a}, \: e^b-e^a\)など )を含んでいる場合が合図。
- どの関数 \(f(x)\) を選ぶかがカギ!
- 問題ごとに適切な \(f(x)\) を選び、平均値の定理を使いこなそう!
- 証明の3ステップを覚えよう!
- 関数 \(f(x)\) の連続性・微分可能性を確認する。
- 平均値の定理を適用し、 \(\displaystyle \frac{f(b)-f(a)}{b-a} = f'(c)\) を得る。
- \(a < c < b\) を変形し、 \(c\) を消去して目的の不等式を導く。
平均値の定理は、テストや受験でもよく問われる重要な定理だよ。
しっかりマスターして、自分のものにしよう!

最初に戻って、教科書の説明を読んでみよう!スラスラ理解できるはずだよ!
コメント