微分法の応用06:「関数の増減と極値」

数学準備室

高校教員の『さん』です!

この記事を見ると、「教科書の内容がさっぱり分からない…」から「教科書の言いたいことが分かる!!」ようになるよ。

教科書が読めるようになると、効率よく勉強が進められるようになって、問題集や参考書もスラスラ読めるようになる

その力が、テストや受験に役立つ自信に変わるんだ。

生徒と関わる中で、気づいたことや学んだこと、そして生徒から寄せられた質問や、よくつまずくポイントを踏まえて、教科書の内容を噛み砕いて説明していくよ。

まずは、教科書の説明をみてみよう!

まずは教科書の説明!

関数の増加、減少は次のように定義される。

区間 \(I\) に含まれる任意の2数 \(x_1,\:x_2\) について、\(x_1<x_2\) ならば \(f(x_1)<f(x_2)\) が成り立つとき、関数 \(f(x)\) は区間 \(I\) で増加するといい、\(x_1<x_2\) ならば \(f(x_1)>f(x_2)\) が成り立つとき、関数 \(f(x)\) は区間 \(I\) で減少するという。

関数 \(f(x)\) が区間 \([a,\:b]\) で連続で、区間 \((a,\:b)\) で微分可能であるとき、関数の増減について次のことが成り立つ。

  1. 区間 \((a,\:b)\) で常に \(f'(x)>0\) ならば、 \(f(x)\) は区間 \([a,\:b]\) で 増加 する。
  2. 区間 \((a,\:b)\) で常に \(f'(x)<0\) ならば、 \(f(x)\) は区間 \([a,\:b]\) で 減少 する。
  3. 区間 \((a,\:b)\) で常に \(f'(x)=0\) ならば、 \(f(x)\) は区間 \([a,\:b]\) で 定数 である。

連続な関数 \(f(x)\) が \(x=a\) を境目として増加から減少に移るとき、 \(f(x)\) は \(x=a\) で 極大 であるといい、 \(f(a)\) を 極大値 という。

また、 \(f(x)\) が \(x=b\) を境目として減少から増加に移るとき、 \(f(x)\) は \(x=b\) で 極小 であるといい、 \(f(b)\) を 極小値 という。

簡単に説明するよ!

関数の増減が知りたかったら、増減表を書けばいい。

関数の極値が知りたかったら、増減表を書けばいい。

\(f'(x)\) が \(\color{red}{+}\) なら \(\color{red}{\nearrow}\) 、 \(\color{blue}{-}\) なら \(\color{blue}{\searrow}\)

\(f'(x)\) が \(\color{red}{+}\) から\(\color{blue}{-}\) になるときが極大値、 \(\color{blue}{-}\) から\(\color{red}{+}\) になるときが極小値

詳しく説明するよ!

関数の増減や極値を知りたかったら、増減表を書けば分かるよ。

次の例題で関数の増減を調べよう。

例題

関数 \(f(x)=x-2\sqrt{x}\) の極値を求めよ。

増減表を書くときは、定義域を一番最初に確認しよう。

定義域の確認ポイント

1.(分母)\(\neq0\)

2.\(\sqrt{0\text{以上}}\)

3.\(\log{(\text{正})}\)

4. \(\tan\theta\)(\(\theta\neq\frac{\pi}{2}\))

例題の関数には \(\sqrt{x}\) があるから、\(\sqrt{0\text{以上}}\)

定義域は \(x≧0\)

関数 \(f(x)\) の増減は \(f'(x)\) の \(\color{red}{+}\) \(\color{blue}{-}\) で判断できるよ。

\(f(x)=x-2\sqrt{x}\) より

\( \begin{aligned} \displaystyle f'(x)&=1-2\cdot\frac{1}{2\sqrt{x}} \\ &=1- \frac{1}{\sqrt{x}} \\ &= \frac{\sqrt{x}-1}{\sqrt{x}} \end{aligned} \)
さん
さん

\(\displaystyle (\sqrt{x})’=(x^\frac{1}{2})’=\frac{1}{2\sqrt{x}}\) これは公式として暗記しておこう!

次に \(f'(x)=0\) となる \(x\) の値を計算していくよ。

この値が \(f'(x)\) の \(\color{red}{+}\) \(\color{blue}{-}\) が変わる可能性があるポイントだよ。

\(f'(x)=0\) とすると \(x = 1\)

さん
さん

\(x = 1\) のとき \(f'(x)\) の \(\color{red}{+}\) \(\color{blue}{-}\) が変わる可能性があるだけで、必ず変わるとは限らないことを覚えておこう!

ここまでの情報で増減表を作成すると、定義域は \(x≧0\) で、\(x = 1\) のとき \(f'(x)=0\) になるから

\( \begin{array}{c|cccc} x & 0 & \cdots & 1 & \cdots \\ \hline f'(x) & \text{/} & & 0 & \\ \hline f(x) & & & & \end{array} \)

さん
さん

定義域の端っこは微分ができないから「/」を書いておこう!

増減表を完成させるために、次の3つを考える必要があるね。

1.区間 \(0 < x < 1\) での \(\displaystyle f'(x)=\frac{\sqrt{x}-1}{\sqrt{x}}\) の \(\color{red}{+}\) \(\color{blue}{-}\)

2.区間 \(x > 1\) での \(\displaystyle f'(x)=\frac{\sqrt{x}-1}{\sqrt{x}}\) の \(\color{red}{+}\) \(\color{blue}{-}\)

3.\(f'(x)=0\) となる \(x = 1\) のときの \(f(x)\) の値

まずは、\(\displaystyle f'(x)=\frac{\sqrt{x}-1}{\sqrt{x}}\) の \(\color{red}{+}\) \(\color{blue}{-}\) を考えよう!

\(f'(x)\) の \(\color{red}{+}\) \(\color{blue}{-}\) を考えるコツ

常に \(\color{red}{+}\) になる部分は考えない

\(\displaystyle f'(x)=\frac{\sqrt{x}-1}{\sqrt{x}}\) の分母 \(\sqrt{x}\) は常に \(\color{red}{+}\) なので分子 \(\sqrt{x}-1\) の \(\color{red}{+}\) \(\color{blue}{-}\) だけを考えればいいよね。

1.区間 \(0 < x < 1\) での \(\displaystyle f'(x)=\frac{\sqrt{x}-1}{\sqrt{x}}\) の \(\color{red}{+}\) \(\color{blue}{-}\)

区間 \(0 < x < 1\) では \(\sqrt{x}-1<0\) になるから、 \(f'(x)\) は \(\color{blue}{-}\) になるね。

2.区間 \(x > 1\) での \(\displaystyle f'(x)=\frac{\sqrt{x}-1}{\sqrt{x}}\) の \(\color{red}{+}\) \(\color{blue}{-}\)

区間 \(x > 1\) では \(\sqrt{x}-1>0\) になるから、 \(f'(x)\)は \(\color{red}{+}\) になるね。

3.\(f'(x)=0\) となる \(x = 1\) のときの \(f(x)\) の値

あとは \(f(1)\) を計算すればいいから \(f(1)=1-2\sqrt{1}=-1\)

これで増減表の空欄を埋めるための情報が揃ったよ。

増減表は

\( \begin{array}{c|cccc} x & 0 & \cdots & 1 & \cdots \\ \hline f'(x) & \text{/} & – & 0 & + \\ \hline f(x) & 0 & \searrow & -1 & \nearrow \end{array} \)
さん
さん

\(f(0)\) は今回の問題には関係ないけど、一応埋めておいたよ。

増減表が書けたら、関数の極値が分かるよ!

極値の判断方法

\(f'(x)\) の \(\color{red}{+}\) \(\color{blue}{-}\) が変わるタイミングが極値!

\(\color{red}{+}\) から \(\color{blue}{-}\) が極大値

\(\color{blue}{-}\) から \(\color{red}{+}\) が極小値

区間 \(0<x<1\) から \(1 < x\) では、\(f'(x)\) の符号が \(\color{blue}{-}\) から \(\color{red}{+}\) に変わるので \(x=1\) で極小値をとることが分かるね。

\(x=1\) で極小値 \(x=-1\) 、極大値なし

解答

定義域は \(x≧0\)

\(f(x)=x-2\sqrt{x}\) より

\( \begin{aligned} \displaystyle f'(x)&=1-2\cdot\frac{1}{2\sqrt{x}} \\ &=1- \frac{1}{\sqrt{x}} \\ &= \frac{\sqrt{x}-1}{\sqrt{x}} \end{aligned} \)

\(f'(x)=0\) とすると \(x = 1\)

増減表は

\( \begin{array}{c|cccc} x & 0 & \cdots & 1 & \cdots \\ \hline f'(x) & \text{/} & – & 0 & + \\ \hline f(x) & \text{/} & \searrow & -1 & \nearrow \end{array} \)

よって、 \(x=1\) で 極小値 \(-1\) 、極大値なし

まとめ

今回のポイントを整理すると、次のようになるよ!

  • 関数の増減は導関数 \(f'(x)\) の符号で決まる
    • \(f'(x) > 0\) のとき、関数は増加(\(\color{red}{\nearrow}\))
    • \(f'(x) < 0\) のとき、関数は減少(\(\color{blue}{\searrow}\))
  • 関数の極値は \(f'(x)\) の符号変化で決まる
    • \(f'(x)\) が \(\color{red}{+}\) から \(\color{blue}{-}\) に変わるとき 極大値
    • \(f'(x)\) が \(\color{blue}{-}\) から \(\color{red}{+}\) に変わるとき 極小値
  • 増減表を書くことで関数の性質が整理できる
    • 定義域を確認して増減表を作る
    • \(f'(x) = 0\) となる点で符号の変化を調べる
さん
さん

最初に戻って、教科書の説明を読んでみよう!スラスラ理解できるはずだよ!

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