微分法の応用08:「極値から係数決定」

数学準備室

こんにちは、高校教員の『さん』です。

人より勉強に時間がかかる」と感じていませんか?

私のクラスにも、同じ悩みを抱えて苦しんでいた生徒がたくさんいました。

• 「教科書や参考書の内容がわからなくて、読むのに時間がかかる

• 「解答の意味が理解できず、勉強が進まない

こうした悩みを、このブログを通じて解決し、勉強の効率を一気に上げていきましょう!

例えば、今まで1時間かかっていた勉強が30分で終わるようになれば、余った時間を復習や他の科目に使えます。その結果、テストの点数が上がり、自信にもつながっていきます。

では、なぜ教科書は読みにくいのでしょうか?

それは、「正確さ」と「簡潔さ」を最優先に作られているからです。

どんな人が読んでも、同じ意味にしか取られないようにするため、説明が端的で抽象的になりがちです。

そのため、教科書の内容を理解するには、「自分で噛み砕いて考える力」が必要です。

このブログでは、私が生徒と関わる中で気づいたことや、よく寄せられる質問、つまずきやすいポイントをもとに、教科書の内容をわかりやすく解説していきます。

噛み砕き方」がわかれば、文章はぐっと読みやすくなります!

まずは、教科書の説明を見てみましょう。

まずは教科書の説明

例題

関数 \(\displaystyle f(x)=\frac{x^2+x+a}{x-1}\) が \(x=-1\) で極値をとるように、定数 \(a\) の値を定めよ。また、このとき、関数 \(f(x)\) の極値を求めよ。

\( \begin{aligned} \displaystyle f'(x)&=\frac{(2x+1)(x-1)-(x^2+x+a)}{(x-1)^2} \\ &=\frac{x^2-2x-1-a}{(x-1)^2} \end{aligned} \)

\(f(x)\) は \(x=-1\) で微分可能であるから、\(f(x)\) が \(x=-1\) で極値をとるならば \(f'(-1)=0\) すなわち \(\displaystyle \frac{2-a}{4}=0\)

これを解くと、 \(a=2\) となる。

逆に、このとき \(\displaystyle f(x)=\frac{x^2+x+2}{x-1}\)

\(\displaystyle f'(x)=\frac{x^2-2x-3}{(x-1)^2}=\frac{(x+1)(x-3)}{(x-1)^2}\)

\(f(x)\) の増減表は次のようになる。

\( \begin{array}{c|ccccccc} x & \cdots & -1 & \cdots & 1 & \cdots & 3 & \cdots \\ \hline f'(x) & + & 0 & – & \text{/} & – & 0 & + \\ \hline f(x) & \nearrow & -1 & \searrow & \text{/} & \searrow & 7 & \nearrow \end{array} \)

よって、 \(f(x)\) は \(x=-1\) で極値をとり、条件を満たす。

\(a=2,\:x=-1\) で極大値 \(-1,\:x=3\) で極小値 \(7\)

簡単に説明するよ

「\(x=a\) で極値をとる」という情報から、関数 \(f(x)\) の係数を求める方法は、

  1. \(f'(a)=0\) を立式して係数を求める。
  2. 求めた係数でちゃんと「 \(x=a\) で極値をとる」ことを確認する。

です。

詳しく説明するよ

例題を使って説明していきます。

例題

関数 \(\displaystyle f(x)=\frac{x^2+x+a}{x-1}\) が \(x=-1\) で極値をとるように、定数 \(a\) の値を定めよ。また、このとき、関数 \(f(x)\) の極値を求めよ。

関数 \(\displaystyle f(x)=\frac{x^2+x+\color{hotpink}{a}}{x-1}\) の、定数 \(\color{hotpink}{a}\) を求めていきましょう。

条件として「\(x=-1\) で極値をとるように」と言われていますね。

\(f'(a)=0\) を立式して係数を求める

\(x=-1\) で極値をとる」ということは、「\(x=-1\) で \(f'(x)\) が \(0\) 」になるということでした。

これを使って方程式を立式しよう。

この方程式を解くことによって、係数を求めることができます。

\( \begin{aligned} f'(x)&=\frac{(2x+1)(x-1)-(x^2+x+a)}{(x-1)^2} \\ &=\frac{x^2-2x-1-a}{(x-1)^2} \end{aligned} \)

\(f'(-1)=0\) より \(\displaystyle \frac{(-1)^2-2\cdot(-1)-1-a}{(-1-1)^2}=0\)

よって \(a=2\)

「 \(x=a\) で極値をとる」ことを確認する

\(a\) の値がでて「よし!できた!」って思ったらダメです。

ここで解答をやめたら減点されてしまいます。

\(a\) の値は「\(x=-1\) で極値をとる」ということは、「\(x=-1\) で \(f'(x)\) が \(0\) 」になるとだから、\(f'(-1)=0\) という方程式を立てて求めましたね。

でも、よく考えてみてください。

\(x=-1\) で \(f'(x)\) が \(0\) 」になっても「\(x=-1\) で極値をとる」とは限らないのです。

まだよく分かりませんよね。

次の図で説明していきます。

この図では「\(f'(x)\) が \(0\) 」になっていますが、「極値」とはなっていませんね。

\(x=-1\) で極値をとる」のだったら、必ず「\(x=-1\) で \(f'(x)\) が \(0\) 」になるのだけれど、

\(x=-1\) で \(f'(x)\) が \(0\) 」になっても「\(x=-1\) で極値をとる」とは限らない。

だから、本当に「\(x=-1\) で \(f'(x)\) が \(0\) 」から求めた関数が「\(x=-1\) で極値をとる」かを、確認しないといけないんです。

極値をとるかどうかは、増減表を作れば確認できましたね。

極値の判断方法

\(f'(x)\) の \(\color{red}{+}\) \(\color{blue}{-}\) が変わるタイミングが極値!

\(\color{red}{+}\) から \(\color{blue}{-}\) が極大値

\(\color{blue}{-}\) から \(\color{red}{+}\) が極小値

このとき \(\displaystyle f(x)=\frac{x^2+x+2}{x-1}\)

\( \begin{aligned} \displaystyle f'(x)&= \frac{x^2-2x-3}{(x-1)^2} \\ &=\frac{(x+1)(x-3)}{(x-1)^2} \\ \end{aligned} \)

\(\)

\(f'(x)=0\) とすると \(x=-1,\:3\)

\( \begin{array}{c|ccccccc} x & \cdots & -1 & \cdots & 1 & \cdots & 3 & \cdots \\ \hline f'(x) & + & 0 & – & \text{/} & – & 0 & + \\ \hline f(x) & \nearrow & -1 & \searrow & \text{/} & \searrow & 7 & \nearrow \end{array} \)

増減表より、確かに \(x=-1\) で極値をとる

おまけ

ここまでが、「\(x=a\) で極値をとる」という情報から、関数 \(f(x)\) の係数を求める方法でした。

例題の最後に「また、このとき、関数 \(f(x)\) の極値を求めよ。」っておまけの問題がついましたね。

増減表から極値を求めておしまいですね。

\(x=-1\) で極大値 \(-1\) 、\(x=3\) で極大値 \(7\)


解答

\( \begin{aligned} f'(x)&=\frac{(2x+1)(x-1)-(x^2+x+a)}{(x-1)^2} \\ &=\frac{x^2-2x-1-a}{(x-1)^2} \end{aligned} \)

\(f'(-1)=0\) より \(\displaystyle \frac{(-1)^2-2\cdot(-1)-1-a}{(-1-1)^2}=0\)

よって \(a=2\)

\( \begin{aligned} \displaystyle f'(x)&= \frac{x^2-2x-3}{(x-1)^2} \\ &=\frac{(x+1)(x-3)}{(x-1)^2} \\ \end{aligned} \)

\(f'(x)=0\) とすると \(x=-1,\:3\)

\( \begin{array}{c|ccccccc} x & \cdots & -1 & \cdots & 1 & \cdots & 3 & \cdots \\ \hline f'(x) & + & 0 & – & \text{/} & – & 0 & + \\ \hline f(x) & \nearrow & -1 & \searrow & \text{/} & \searrow & 7 & \nearrow \end{array} \)

増減表より、確かに \(x=-1\) で極値をとる

よって \(a=2\)、\(x=-1\) で極大値 \(-1\) 、\(x=3\) で極大値 \(7\)

まとめ

今回のポイントを整理すると、次のようになります。

  • \(x=a\) で極値をとる」 という情報を使って、関数  \(f(x)\)  の 係数を求める方法
    • \(f'(a)\) = 0  を立式 して、係数を求める
    • 本当に極値をとるか確認する!(増減表を作って確認)
さん
さん

最初に戻って、教科書の説明を読んでみよう!スラスラ理解できるはずだよ!

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