
こんにちは、高校教員の『さん』です。今回は、「グラフのかき方」について詳しく説明していくよ。

今回もよろしくお願いします!!
「人より勉強に時間がかかる」と感じていませんか?
私のクラスにも、同じ悩みを抱えて苦しんでいた生徒がたくさんいました。
• 「教科書や参考書の内容がわからなくて、読むのに時間がかかる」
• 「解答の意味が理解できず、勉強が進まない」
こうした悩みを、このブログを通じて解決し、勉強の効率を一気に上げていきましょう!
例えば、今まで1時間かかっていた勉強が30分で終わるようになれば、余った時間を復習や他の科目に使えます。その結果、テストの点数が上がり、自信にもつながっていきます。
では、なぜ教科書は読みにくいのでしょうか?
それは、「正確さ」と「簡潔さ」を最優先に作られているからです。
どんな人が読んでも、同じ意味にしか取られないようにするため、説明が端的で抽象的になりがちです。
そのため、教科書の内容を理解するには、「自分で噛み砕いて考える力」が必要です。
このブログでは、私が生徒と関わる中で気づいたことや、よく寄せられる質問、つまずきやすいポイントをもとに、教科書の内容をわかりやすく解説していきます。
「噛み砕き方」がわかれば、文章はぐっと読みやすくなります!
まずは、教科書の説明を見てみましょう。
まずは教科書の説明

教科書の説明ではこんなふうに書かれているよ!
関数 \(y=e^{-\frac{x^2}{2}}\) のグラフをかけ。
\(f(x)=e^{-\frac{x^2}{2}}\) とする。
\(f'(x)=-xe^{-\frac{x^2}{2}}\)、
\(f(x)\) の増加やグラフの凹凸は、次のようになる。
また、\(\displaystyle\lim_{n \to \infty} f(x) = 0\)、\(\displaystyle\lim_{n \to -\infty} f(x) = 0\)であるから、\(x\) 軸はこの曲線の漸近線である。
以上から、グラフの概形は、下の図のようになる。

簡単に説明するよ
グラフのかき方は、
- 定義域を確認する
- 微分計算により \(y’\) や \(y^{\prime\prime}\) を計算する
- \(y’=0\)、 \(y^{\prime\prime} = 0\) を求め増減表を作る
- 漸近線があれば図示する
- グラフをかく
です。

メモメモ•••
詳しく説明するよ
数Ⅲでのグラフのかき方を説明していきます。
関数 \(y=e^{-\frac{x^2}{2}}\) のグラフをかけ。

\(y=e^{-\frac{x^2}{2}}\) のグラフ? めちゃくちゃ難しそう•••

これからは、どんな関数のグラフも書けるよになるよ!
次の例題を5つのステップに分けて考えていきましょう。
ステップ1:定義域を確認する

定義域ってなんだっけ?

定義域は、\(x\) の範囲のことだよ!
数Ⅲでグラフを考えるときは、必ず最初に確認する癖をつけておきましょう。
定義域の主な確認ポイントは次の3つです。
①(分母)\(\neq 0\)
② \(\sqrt{\text{0以上}}\)
③ \(\log{\text{(正)}}\)
①(分母)\(\neq 0\)
分数の分母は \(0\) にならないようにしないといけません。
例えば、関数 \(y = \frac{1}{x-1}\) の定義域は、\(x \neq 1\) です。
② \(\sqrt{\text{0以上}}\)
ルートの中身は必ず \(0\) 以上にならないといけません。
例えば、関数 \(y = \sqrt{x-1}\) の定義域は、\(x ≧ 1\) です。
③ \(\log{\text{(正)}}\)
真数は必ず正にならないといけません。
例えば、関数 \(y = \log{(x-1)}\) の定義域は、\(x > 1\) です。
定義域を確認した結果、今回の関数 \(y=e^{-\frac{x^2}{2}}\) では制限ありませんでしたね。

定義域の確認、意識してないと忘れちゃいそうだな。

忘れないで!!定義域!!
ステップ2:\(y’\) や \(y^{\prime\prime}\) を計算する

\(y’\) はグラフの増減だったね。

そうだね。\(y^{\prime\prime}\)では凹凸が調べられるよ。
\(y=e^{-\frac{x^2}{2}}\) を微分していきます。
\(y’=-xe^{-\frac{x^2}{2}}\)

ちゃんと、因数分解した式まで変形しておこうね!
ステップ3:\(y’=0\)、 \(y^{\prime\prime} = 0\) を求め増減表を作る
\(y’=0\)、 \(y^{\prime\prime} = 0\) を求めます。
\(y’=-xe^{-\frac{x^2}{2}}=0\) とすると \(x = 0\)
\(y^{\prime\prime}=(x+1)(x-1)e^{-\frac{x^2}{2}}=0\) とすると \(x = -1, 1\)

増減表の \(y’\), \(y^{\prime\prime}\) の行に \(0\) を書き込んでいこう!

この次は \(+\) \(-\) を書き込んでいくんだったね。

\(+\) \(-\) の判断にはちょっとしたコツがあるんだ!
符号の変化しない部分は無視する。
例えば、\(y’=\color{hotpink}{-x}\cdot \color{deepskyblue}{e^{-\frac{x^2}{2}}}\) の \(+\) \(-\) を考えてみましょう。
今回の関数の、「符号が変化しない部分」は どこでしょうか。
それは、\(\color{deepskyblue}{e^{-\frac{x^2}{2}}}\) ですね。
\(\color{deepskyblue}{e^{-\frac{x^2}{2}}}\) は 常に \(+\) です。
こういった、「符号が変化しない部分」は 無視して考えることができます。
ということで、残りの \(\color{hotpink}{-x}\) の部分の \(+\) \(-\) だけ考えれば良ので、
\(x < 0\) のとき \(+\) 、\(x > 0\) のとき \(-\) となります。

一気に考えやすくなった!

このコツは押さえておこうね!
では、グラフに \(+\) \(-\) を書き込んでいきましょう。
\(y^{\prime\prime}=\color{hotpink}{(x+1)(x-1)}\cdot \color{deepskyblue}{e^{-\frac{x^2}{2}}}\) の \(+\) \(-\) も同じように考えていましょう。
\(\color{deepskyblue}{e^{-\frac{x^2}{2}}}\) は 常に \(+\) ですから、
\(\color{hotpink}{(x+1)(x-1)}\) の部分だけを考えればOKですね。
\(x<-1\) のとき \(+\) 、\(-1<x<1\) のとき \(-\) 、\(x>1\) のとき \(+\) 。
増減表に書き込むと、

あとは、\(y\) の行を埋めるだけだね!
\(x = -1 \) のとき、\(y = \frac{1}{\sqrt{e}}\)
\(x = 0 \) のとき、\(y = 1\)
\(x = 1 \) のとき、\(y = \frac{1}{\sqrt{e}}\)
よって増減表は、
ステップ4:漸近線があれば図示する

漸近線ってなんだっけ?

漸近線は「グラフがどんどん近づいていくけど、絶対に触れない線」のことだったね。
今までは、増減表が書けたら、グラフもかくことができました。
では、今回はどうでしょう。
こんな感じでしょうか。

それとも、こんな感じでしょうか。


あれ?端っこってどうなってるの?
増減表からは、グラフがどこまで下がっていくのか分かりませんよね。
グラフが、\(-\infty\) まで下がっていくのか、それとも、\(0\) までしか下がらないのか。
これを確かめなければ、正確なグラフはかくことができません。

\(x\)を\(\infty\)に飛ばすとどうなるのか、\(-\infty\)に飛ばすとどうなるのかを考えよう!
\(\displaystyle\lim_{n \to \infty} e^{-\frac{x^2}{2}} \) \( = \displaystyle\lim_{n \to \infty}\)\({\left(\frac{1}{e}\right)}^{\frac{x^2}{2}}\) \(= 0 \)
\(\displaystyle\lim_{n \to -\infty} e^{-\frac{x^2}{2}} \) \( = \displaystyle\lim_{n \to -\infty}\)\({\left(\frac{1}{e}\right)}^{\frac{x^2}{2}}\) \(= 0 \)
よって、グラフは右にも左にも \(0\) に近づいていくことがわかります。
つまり、「\(y=0\) がこのグラフの漸近線である」ということです。
ステップ5:グラフをかく

ここまで準備してやっとグラフがかけるのか!

気を抜かないでね。最後までミスがないように!
後は、漸化式、座標軸との交点、極値、変曲点などをかき入れて、グラフを完成させましょう。


やっと完成!!

お疲れ様でした!
\(y’=-xe^{-\frac{x^2}{2}}\)
\(y’=-xe^{-\frac{x^2}{2}}=0\) とすると \(x = 0\)
\(y^{\prime\prime}=(x+1)(x-1)e^{-\frac{x^2}{2}}=0\) とすると \(x = -1, 1\)
\(\displaystyle\lim_{n \to \infty} e^{-\frac{x^2}{2}} \) \( = \displaystyle\lim_{n \to \infty}\)\({\left(\frac{1}{e}\right)}^{\frac{x^2}{2}}\) \(= 0 \)
\(\displaystyle\lim_{n \to -\infty} e^{-\frac{x^2}{2}} \) \( = \displaystyle\lim_{n \to -\infty}\)\({\left(\frac{1}{e}\right)}^{\frac{x^2}{2}}\) \(= 0 \)
よって、\(x\)軸が漸近線となる。

まとめ
今回の内容をしっかり整理しておきましょう。

関数のグラフを正確にかくためには、5つのステップを順番に踏むことが大事だったね。
- ステップ1:
まずは定義域の確認。 - ステップ2:
\(y’, y^{\prime\prime}\) を計算して、増減や凸凹を調べる。 - ステップ3:
\(y’=0、y^{\prime\prime}=0\) を使って増減表を作成。
記号の判断は「符号が変わる部分」に注目! - ステップ4:
端のふるまい(漸近線)を調べることで、グラフの「端っこ」がどこに近づくかを確認。 - ステップ5:
最後に、得られた情報をもとにグラフを完成!
この流れをマスターすれば、どんな複雑な関数でもグラフが書けるようになります。

最初に戻って、教科書の説明を読んでみよう!スラスラ理解できるはずだよ!
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