数列の極限07:「無限等比数列\(\{r^n\}\)を含む極限計算」

数学準備室

高校教員の『さん』です!

この記事を見ると、「教科書の内容が分からない」から「教科書の言いたいことが分かる」ようになるよ。

教科書が読めるようになると、効率よく勉強が進められるようになって、問題集や参考書もスラスラ読めるようになる

その力が、テストや受験に役立つ自信に変わるんだ。

生徒と関わる中で、気づいたことや学んだこと、そして生徒から寄せられた質問や、よくつまずくポイントを踏まえて、教科書の内容を噛み砕いて説明していくよ。

まずは、教科書の説明をみてみよう!

まずは教科書の説明

例題:次の極限を求めよ。

\(\displaystyle\text{(1) }\lim_{n \to \infty} \{ 5^n – (-2)^n \}\)

\(\displaystyle\text{(2) }\lim_{n \to \infty} \frac{4^{n+1} + 3^n}{4^n – 3^n}\)

\( \begin{aligned} \text{(1) }\displaystyle\lim_{n \to \infty} \{ 5^n – (-2)^n \} &= \lim_{n \to \infty} 5^n \left\{ 1 – \left( \frac{-2}{5} \right)^n \right\} \\ &= \infty \end{aligned} \)
\( \begin{aligned} \text{(2) }\displaystyle\lim_{n \to \infty} \frac{4^{n+1} + 3^n}{4^n – 3^n} &= \lim_{n \to \infty} \frac{4 \cdot 4^n + 3^n}{4^n – 3^n} \\ &= \lim_{n \to \infty} \frac{4 + \left( \frac{3}{4} \right)^n}{1 – \left( \frac{3}{4} \right)^n} \\ &= 4 \end{aligned} \)

簡単に説明するよ!

無限等比級数 \( \{ r^n \} \) を含む極限が、\( \infty – \infty \) \( \displaystyle\frac{\infty}{\infty}\) の不定形になっているとき、

公比一番大きいの項をくくり出したり分母の公比が一番大きい項で割ったりすれば、不定形を解消できる。

詳しく説明するよ!

無限等比数列を含む極限計算のコツ

無限等比数列 \( \{ r^n \} \) を含む極限計算は、整式や分数式の極限と似た考え方で解くことができるよ!

復習しておくと

整式や分数式の極限

  • \( \infty – \infty \) の不定形」:最高次数の項をくくり出す。
  • \( \displaystyle\frac{\infty}{\infty}\) の不定形」:分母の最高次数の項で分母・分子を割る。

無限等比数列 \( \{ r^n \} \) を含む極限では以下のようにするんだ!

  • 公比の絶対値が最大の項をくくり出す
  • 分母の公比の絶対値が最大の項で分母・分子を割る

具体例を見ながら考えてみよう!


例題(1)

$$\lim_{n \to \infty} \{ 5^n – (-2)^n \}$$

このままだと、極限に飛ばせないね。

こんなときは、最高次数の項をくくり出くくり出すことで解決できるんだ!

  • \( 5^n \) の公比の絶対値は 5
  • \( (-2)^n \) の公比の絶対値は 2

つまり、公比の絶対値が最大の項は \( 5^n \) だね。

これを使ってくくり出してみよう。

$$\lim_{n \to \infty} 5^n \left\{ 1 – \left( \frac{2}{5} \right)^n \right\}$$

ここで、\( n \to \infty \) のとき、\( |r| < 1 \) の無限等比数列は \( 0 \) に近づくんだったね。

だから

$$\infty \cdot \left( 1 – 0 \right)$$

よって答えは

$$ \infty $$

解答

\( \begin{aligned} \lim_{n \to \infty} \{ 5^n – (-2)^n \} &= \lim_{n \to \infty} 5^n \left\{ 1 – \left( \frac{2}{5} \right)^n \right\} \\ &= \infty \cdot \left( 1 – 0 \right) \\ &= \infty \end{aligned} \)

例題(2)

$$\lim_{n \to \infty} \frac{4^{n+1} + 3^n}{4^n – 3^n}$$

この問題も、このままだと、極限に飛ばせない。

こんなときは、分母の公比の絶対値が最大の項で分母・分子を割ることで解決できるんだ!

分母の公比の絶対値が最大の項\( 4^n \)で分母・分子を割ると

$$\lim_{n \to \infty} \frac{4 + \left( \frac{3}{4} \right)^n}{1 – \left( \frac{3}{4} \right)^n} $$

ここで、\( n \to \infty \) のとき、\( \left( \frac{3}{4} \right)^n \) は \( 0 \) に近づくから、

$$\frac{4 + 0}{1 – 0}​$$

よって、答えは

$$ 4 $$

\( \begin{aligned} \lim_{n \to \infty} \frac{4^{n+1} + 3^n}{4^n – 3^n} &= \lim_{n \to \infty} \frac{4 + \left( \frac{3}{4} \right)^n}{1 – \left( \frac{3}{4} \right)^n} \\ &= \frac{4 + 0}{1 – 0} \\ &= 4 \end{aligned} \)
さん
さん

「どう?無限等比数列を含む極限計算も、考え方さえ分かればスッキリ解けるね!公比の絶対値が鍵だから、そこに注目する癖をつけよう!」

最後に例題

次の極限を求めよ。

$$\lim_{n \to \infty} \frac{4^n}{3^n + 2^n}$$

解答

\( \begin{aligned} \lim_{n \to \infty} \frac{4^n}{3^n + 2^n} &= \lim_{n \to \infty} \frac{\left( \frac{4}{3} \right)^n}{1 – \left( \frac{2}{3} \right)^n} \\ &= \infty \end{aligned} \)

まとめ

無限等比数列\( \{ r^n \} \)を含む極限計算のポイントを振り返っておくよ!

  • 公比の絶対値が最大の項をくくり出す。 
  • 分母の公比の絶対値が最大の項で分母・分子を割る

具体的な例題を通して、これらの手順をしっかり確認したね。

無限等比数列が絡む極限計算も、基本的な考え方を押さえていれば迷わず解けるはず!

あとは練習あるのみだよ!繰り返し問題に挑戦して、解き方を体に覚えさせよう!

さん
さん

「最初に戻って、教科書の説明を読んでみよう!スラスラ理解できるはずだよ!」

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