微分法の応用07:「絶対値付き関数の増減と極値」

数学Ⅲ

高校教員の『さん』です!

この記事を見ると、「教科書の内容がさっぱり分からない…」から「教科書の言いたいことが分かる!!」ようになるよ。

教科書が読めるようになると、効率よく勉強が進められるようになって、問題集や参考書もスラスラ読めるようになる

その力が、テストや受験に役立つ自信に変わるんだ。

生徒と関わる中で、気づいたことや学んだこと、そして生徒から寄せられた質問や、よくつまずくポイントを踏まえて、教科書の内容を噛み砕いて説明していくよ。

まずは、教科書の説明をみてみよう!

まずは教科書の説明!

関数に微分可能でない \(x\) の値があるときの、極値を求めよう。

例題

関数 \(f(x)=|x|\sqrt{x+1}\) の極値を求めよ。

関数の定義域は \(x≧-1\) である。

\(x≧0\) のとき \(f(x)=x\sqrt{x+1}\)

\(x>0\) において \(\displaystyle f'(x)=\sqrt{x+1}+\frac{x}{2\sqrt{x+1}}=\frac{3x+2}{2\sqrt{x+1}}\)

よって、 \(x>0\) では、常に \(f'(x)>0\)

\(-1≦x<0\) のとき \(f(x)=-x\sqrt{x+1}\)

\(-1<x<0\) において \(\displaystyle f'(x)=-\frac{3x+2}{2\sqrt{x+1}}\)

\(f'(x)=0\) とすると \(x=-\frac{2}{3}\)

以上から、 \(f(x)\) の増減表は次のようになる。

\( \begin{array}{c|cccccc} x & -1 & \cdots & -\frac{2}{3} & \cdots & 0 & \cdots \\ \hline f'(x) & \text{/} & + & 0 & – & \text{/} & + \\ \hline f(x) & 0 & \nearrow & \frac{2\sqrt{3}}{9} & \searrow & 0 & \nearrow \end{array} \)

 

よって、 \(f(x)\) は \(\displaystyle x=-\frac{2}{3}\) で極大値 \(\displaystyle \frac{2\sqrt{3}}{9}\) 、\(x=0\) で極小値 \(x=0\) をとる。

簡単に説明するよ!

絶対値は中身の \(\color{red}{+}\) \(\color{blue}{-}\) で場合分けするよ。

絶対値の中身が \(0\) になる場所では微分できないことが多いよ。

詳しく説明するよ!

絶対値が含まれる関数の極値を考えていくよ。

例題

関数 \(f(x)=|x|\sqrt{x+1}\) の極値を求めよ。

一番最初に定義域を確認しよう。

定義域の確認ポイント

1.(分母)\(\neq0\)

2.\(\sqrt{0\text{以上}}\)

3.\(\log{(\text{正})}\)

4. \(\tan\theta\)(\(\theta\neq\frac{\pi}{2}\))

例題の関数には \(\sqrt{x+1}\) があるから、\(\sqrt{0\text{以上}}\)

定義域は \(x≧-1\)

さん
さん

これからは \(x\) が\(-1\) 以上の範囲で考えていくよ。

関数に絶対値が付いてると計算ができないから、絶対値を外さないといけなかったね。

絶対値を扱うときのポイント

絶対値は中身の \(\color{red}{+}\) \(\color{blue}{-}\) で場合分け。

中身が \(\color{red}{+}\) のときはそのまま外す。

中身が \(\color{blue}{-}\) のときは \(\color{blue}{-}\) をつけて外す。

関数に含まれる絶対値 \(|x|\) の中身 \(x\) の \(\color{red}{+}\) \(\color{blue}{-}\) で場合分けすることで、絶対値を外すことができるよ。

\(x\) が \(\color{red}{+}\) のとき、つまり \(x≧0\) のときと、
\(x\) が \(\color{blue}{-}\) のとき、つまり \(-1≦x<0\) のときで場合分けをしいくよ。

まずは、 \(x≧0\) のとき

絶対値をそのまま外して、微分していくよ。

\(x≧0\) のとき \(f(x)=x\sqrt{x+1}\) より

\( \begin{aligned} \displaystyle f'(x)&=\sqrt{x+1}+\frac{x}{2\sqrt{x+1}} \\ &=\frac{3x+2}{2\sqrt{x+1}} \end{aligned} \)

微分ができたら、\(f'(x)=0\) となる \(x\) の値を求めていきたいんだけど、 \(x≧0\) のときは \(\displaystyle \frac{3x+2}{2\sqrt{x+1}}\)は \(0\) にならないね。

条件より 常に \(f'(x)>0\)

さん
さん

場合分けしたら、「今はこの範囲の話をしている」って強く意識していようね。

次は、 \(-1≦x<0\) のとき

絶対値は \(\color{blue}{-}\) をつけて外して、微分していくよ。

\(-1≦x<0\) のとき \(f(x)=\color{blue}{-}x\sqrt{x+1}\) より

\( \begin{aligned} \displaystyle f'(x)&=-\sqrt{x+1}-\frac{x}{2\sqrt{x+1}} \\ &=-\frac{3x+2}{2\sqrt{x+1}} \end{aligned} \)

微分ができたら、\(f'(x)=0\) となる \(x\) の値を求めよう。

\(f'(x)=0\) とすると \(\displaystyle x=-\frac{2}{3}\) これは条件を満たす

さん
さん

大事だからもう一度。場合分けしたら、「今はこの範囲の話をしている」って強く意識していようね。

最後に\(\displaystyle x=-\frac{2}{3}\) 前後の \(f'(x)\) の \(\color{red}{+}\) \(\color{blue}{-}\) を考えよう。

\(f'(x)\) の \(\color{red}{+}\) \(\color{blue}{-}\) を考えるコツ

常に \(\color{red}{+}\) になる部分は考えない

\(\displaystyle -\frac{3x+2}{2\sqrt{x+1}}\) の分母 \(2\sqrt{x+1}\) は常に \(\color{red}{+}\) なので分子 \(-(3x+2)\) の \(\color{red}{+}\) \(\color{blue}{-}\) だけを考えればいいね。

\(\displaystyle -1<x<-\frac{2}{3}\) のときは \(-(3x+2)>0\) になるから、 \(f'(x)\) は \(\color{red}{+}\) になる。

\(\displaystyle -\frac{2}{3}<x<0\) のときは \(-(3x+2)<0\) になるから、 \(f'(x)\) は \(\color{blue}{-}\) になる。

あとは、\(\displaystyle x=-1,\:-\frac{2}{3},\:0\) のときの \(f(x)\) を計算すると増減表が書けるよ。

\( \begin{array}{c|cccccc} x & -1 & \cdots & -\frac{2}{3} & \cdots & 0 & \cdots \\ \hline f'(x) & \text{/} & + & 0 & – & \text{/} & + \\ \hline f(x) & 0 & \nearrow & \frac{2\sqrt{3}}{9} & \searrow & 0 & \nearrow \end{array} \)
さん
さん

定義域の端っこと、絶対値の中身が \(0\) になるところは微分ができないから「/」を書いておこう!

※絶対値の中身が \(0\) になるところでも微分できることがたまにあるから、不安だったら確認しようね。

最後に極値を答えておしまい!

極値の判断方法

\(f'(x)\) の \(\color{red}{+}\) \(\color{blue}{-}\) が変わるタイミングが極値!

\(\color{red}{+}\) から \(\color{blue}{-}\) が極大値

\(\color{blue}{-}\) から \(\color{red}{+}\) が極小値

\(\displaystyle x=-\frac{2}{3}\) で 極大値 \(\displaystyle \frac{2\sqrt{3}}{9}\)、\(x=0\) で 極小値 \(0\)

解答

定義域は \(x≧-1\)

\(x≧0\) のとき \(f(x)=x\sqrt{x+1}\) より

\( \begin{aligned} \displaystyle f'(x)&=\sqrt{x+1}+\frac{x}{2\sqrt{x+1}} \\ &=\frac{3x+2}{2\sqrt{x+1}} \end{aligned} \)

よって、条件より 常に \(f'(x)>0\)

\(-1≦x<0\) のとき \(f(x)=-x\sqrt{x+1}\) より

\( \begin{aligned} \displaystyle f'(x)&=-\sqrt{x+1}-\frac{x}{2\sqrt{x+1}} \\ &=-\frac{3x+2}{2\sqrt{x+1}} \end{aligned} \)

\(f'(x)=0\) とすると \(\displaystyle x=-\frac{2}{3}\) これは条件を満たす

\( \begin{array}{c|cccccc} x & -1 & \cdots & -\frac{2}{3} & \cdots & 0 & \cdots \\ \hline f'(x) & \text{/} & + & 0 & – & \text{/} & + \\ \hline f(x) & 0 & \nearrow & \frac{2\sqrt{3}}{9} & \searrow & 0 & \nearrow \end{array} \)

 

増減表より、\(\displaystyle x=-\frac{2}{3}\) で 極大値 \(\displaystyle \frac{2\sqrt{3}}{9}\)、\(x=0\) で 極小値 \(0\)

まとめ

今回のポイントを整理すると、次のようになるよ!

  • 絶対値を含む関数の極値を求めるには、場合分けが必要!
    • 絶対値の中身が のときはそのまま外す。
    • 絶対値の中身が のときはマイナスをつけて外す。
  • 絶対値の中身が 0 になる点では、関数が微分可能とは限らない!
    • 微分可能でない点では、左右の導関数の符号を調べることで増減を確認する。
  • 増減表を作れば、極値がひと目で分かる!
    • \(f'(x)\) の符号が \(+ \to -\) なら極大値
    • \(f'(x)\) の符号が \(- \to +\) なら極小値
  • 問題を解くときの流れ
    1. 定義域の確認(ルートや分母に注意)
    2. 絶対値の外し方を場合分け
    3. 各場合について微分し、増減を調べる
    4. 増減表を作り、極値を求める

絶対値が入ると計算が大変そうに見えるけど、場合分けして冷静に処理すれば大丈夫! 増減表を書いて、極値をしっかり押さえよう!

さん
さん

最初に戻って、教科書の説明を読んでみよう!スラスラ理解できるはずだよ!

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