【数Ⅲ】微分法の応用17:「近似式」

数学Ⅲ
さん
さん

今日の板書はこれ!

近似式①

\(h ≒ 0 \) のとき \(\color{hotpink}{f(a+h)} ≒ \color{springgreen}{f(a)} + \color{deepskyblue}{f'(a)h}\)

近似式②

\(x ≒ 0 \) のとき \(f(x) ≒ \color{gold}{f(0)} + \color{red}{f'(0)x}\)

生徒
生徒

詳しく願いします m(_ _)m

人より勉強に時間がかかると感じていませんか?

私の学校にも、同じ悩みを抱えて苦しんでる生徒がたくさんいます。

• 「教科書や参考書の内容がわからなくて、読むのに時間がかかる」

• 「解答の意味が理解できず、勉強が進まない」

教科書や参考書の内容を理解するには、自分なりに噛み砕いて考える力が必要です。

でも大丈夫!

このサイトでは、私が受けた質問や、つまずきポイントをもとに、わかりやすく解説していきます。

噛み砕き方がわかれば、文章はぐっと読みやすくなります!


頑張っているのに、なかなか成績が上がらなくて、苦しんでる方へ。
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きっと力になるはず。

近似式とは

さん
さん

今回は「近似式」を扱っていくよ!

生徒
生徒

近似式?何それ?

近似式」とは「本当の式の代わりにする、だいたい同じ式のことです。

例えば、\(\sqrt{2} ≒ 1.41\) も近似式。

ほんとは、\(\sqrt{2} = 1.4142135623•••\) と無限に続くのですが、

近似式を用いると、式を簡単にしたり、だいたいの値を表現することができます。

生徒
生徒

「近似した式」で近似式か。そのままだね。

さん
さん

高校では2つの近似式を使えればOK!

近似式の公式①:\(f(a+h) ≒ f(a) + f'(a)h\)

近似式 ①

\(h ≒ 0 \) のとき \(\color{hotpink}{f(a+h)} ≒ \color{springgreen}{f(a)} + \color{deepskyblue}{f'(a)h}\)

まずは、公式①の「使い方」と「成り立つ理由」について説明していきます。

さん
さん

次の例題で、近似式①の使い方を学ぼう!

使い方

例題

\(\sin{31°}\) を求めよ。

生徒
生徒

えっ、\(\sin{31°}\) ?

\(\sin{30°}\) ならわかるけど•••。

さん
さん

おっ。いいところに気づいたね!

「\(\color{hotpink}{f(a+h)} ≒ \color{springgreen}{f(a)} + \color{deepskyblue}{f'(a)h}\)」は、

「\(\color{hotpink}{f(a+h)}\)は 、\(h\) がほとんど \(0\) に近かったら \(\color{springgreen}{f(a)} + \color{deepskyblue}{f'(a)h}\) とほぼ一緒という意味です。

この近似式①を使って、\(\sin{31°}\) を考えます。

\(\sin{31°}\) を \(\sin{(30°+1°)}\) と考えると、

「\(\color{hotpink}{\sin{(30°+1°)}}\) は 、\(1°\) がほとんど \(0\) に近いので \( \color{springgreen}{\sin{30°}} + \color{deepskyblue}{(\sin{30°})’ \cdot 1° }\) とほぼ一緒」

と考えることができます。

弧度法に直すと、

\(\displaystyle\color{hotpink}{\sin{(30°+1°)}} = \color{hotpink}{\sin{\left(\frac{\pi}{3}+\frac{\pi}{180}\right)}}\)

ですから、

\( \begin{aligned} \:\color{hotpink}{ \sin{(30°+1°)}} &= \color{hotpink}{\sin{ \left( \frac{\pi}{3}+\frac{\pi}{180}\right) } } \\ \\ &= \color{springgreen}{\sin{\frac{\pi}{3}}} + \color{deepskyblue}{\left(\sin{\frac{\pi}{3}}\right)’ \cdot \frac{\pi}{180} } \\ \end{aligned} \)

これを計算すると、

\( \begin{aligned} \:\color{hotpink}{ \sin{(30°+1°)}} &= \color{hotpink}{\sin{ \left( \frac{\pi}{3}+\frac{\pi}{180}\right) } } \\ \\ &= \color{springgreen}{\sin{\frac{\pi}{3}}} + \color{deepskyblue}{\left(\sin{\frac{\pi}{3}}\right)’ \cdot \frac{\pi}{180} } \\ \\ &≒ \sin{\frac{\pi}{3}} + \cos{\frac{\pi}{3}} \cdot \frac{\pi}{180} \\ \\ &= \frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2} \cdot \frac{\pi}{180} \\ \\ &≒ 0.5151 \end{aligned} \)

となります。

生徒
生徒

ほー。こんな使い方をするのか。

さん
さん

近似式を使うと、値を知ってる関数の付近であれば、計算することができるんだ!

成り立つ理由

生徒
生徒

使い方はわかったけど、この近似式が成り立つ理由が気になる。

さん
さん

そうだよね。次のグラフを使って説明していくよ。

\(h ≒ 0 \) のとき \(\color{hotpink}{f(a+h)} ≒ \color{springgreen}{f(a)} + \color{deepskyblue}{f'(a)h}\) が成り立つ理由を説明します。

簡単にいうと、

「\(\color{hotpink}{f(a+h)}\) の長さ」は、「\(\color{springgreen}{f(a)}\) に\(\color{deepskyblue}{f'(a)h}\) を加えた長さ」ほとんど同じ

ということです。

生徒
生徒

まあ•••見た目的にはほとんど一緒だけれども。

さん
さん

大丈夫!詳しく説明するよ!

1つずつ丁寧に説明していきます。

まず、\(\color{springgreen}{f(a)}\) と \(\color{hotpink}{f(a+h)}\) は、下の図の緑とピンクの長さです。

\(\color{springgreen}{f(a)}\) の長さと \(\color{hotpink}{f(a+h)}\) の長さの間には、まだ差があります。

生徒
生徒

この図だと半分くらい違うね。

そこで、\(\color{springgreen}{f(a)}\) の長さに、少しだけプラスして、\(\color{hotpink}{f(a+h)}\) の長さと同じくらいにしていきます。

そのプラス分が、\(\color{deepskyblue}{f'(a)h}\) です。

\(\color{deepskyblue}{f'(a)h}\) 下の図の水色の長さです。

まだ、よくわかりませんね。

もう少し説明します。

生徒
生徒

よろしくお願いします!

\(\color{red}{f'(a)}\) は、下の図の接線の傾きです。

\(h\) は \(a\) から \(a+h\) までの長さであり、

\(\color{red}{f'(a)}=\frac{\color{deepskyblue}{(水色の長さ)}}{h}\) であるので、

\(\color{red}{f'(a)}\) に \(h\) を掛けた \(\color{deepskyblue}{f'(a)h}\) は、

水色の長さになる というわけです。

では、「\(\color{hotpink}{f(a+h)}\) の長さ」と、「\(\color{springgreen}{f(a)}\) に \(\color{deepskyblue}{f'(a)h}\) を加えた長さ」をもう一度見比べてみましょう。

「\(\color{hotpink}{f(a+h)}\) の長さ」は、「\(\color{springgreen}{f(a)}\) に \(\color{deepskyblue}{f'(a)h}\) を加えた長さ」と、ほとんど同じですね。

そして、\(h\) がほとんど \(0\) のとき、その差はもっと小さくなります。

ですから、

\(h ≒ 0 \) のとき \(\color{hotpink}{f(a+h)} ≒ \color{springgreen}{f(a)} + \color{deepskyblue}{f'(a)h}\) が成り立つ

というわけです。

さん
さん

理解できたかな?

近似式の公式②: \(f(x) ≒ f(0) + f'(0)x\)

近似式②

\(x ≒ 0 \) のとき \(f(x) ≒ \color{gold}{f(0)} + \color{red}{f'(0)x}\)

近似式②の「使い方」と「成り立つ理由」について説明していきます。

さん
さん

まずは次の例題で、使い方を学ぼう!

使い方

例題

\(r\) を実数とする。\(x ≒ 0 \) のとき、\((1+x)^r ≒ 1+rx\) であることを示せ。また、この式を用いて \(\sqrt[4]{1.008}\) の近似値を求めよ。

さん
さん

\(f(x) ≒ \color{gold}{f(0)} + \color{red}{f'(0)x}\) を使って \((1+x)^r ≒ 1+rx\) を示そう!

生徒
生徒

証明って苦手意識あるな・・•。

\(f(x) ≒ \color{gold}{f(0)} + \color{red}{f'(0)x}\) が成り立つことを使います。

まずは、\(f(x)\) を設定するところから。

\(f(x)=(1+x)^r \) とする。

次に、\(\color{gold}{f(0)}\) と \(\color{red}{f'(0)}\) を準備します。

\(\color{gold}{f(0)}=(1 + 0 )^r = \color{gold}{1}\)

\(f'(x) = r(1 + x )^{r-1}\) であるから、 \(\color{red}{f'(x)} = r(1 + 0 )^{r-1}=\color{red}{r}\)

最後に、\(f(x) ≒ \color{gold}{f(0)} + \color{red}{f'(0)x}\) を立式しておしまいです。

よって \(x ≒ 0 \) のとき、\((1+x)^r ≒ \color{gold}{1} + \color{red}{rx}\)

生徒
生徒

あれ、意外に簡単。

さん
さん

次は、\(\sqrt[4]{1.008}\) の近似値を求めよう!

\(\sqrt[4]{1.008}\) の値を直接計算することはできません。

そこで、 \((1+x)^r ≒ \color{gold}{1} + \color{red}{rx}\) を使って近似値を求めます。

まずは、\(\sqrt[4]{1.008}\) を \((1+x)^r\) の形に変形します。

\(\sqrt[4]{1.008} = (1+0.008)^{\frac{1}{4}}\)

\(r\) を \(\frac{1}{4}\) に置き換え、

\(0.008≒0\) ですから \(x\) を \(0.008\) に置き換えると

\( \begin{aligned} \displaystyle \sqrt[4]{1.008} &= (1+0.008)^{\frac{1}{4}} \\ \\ &≒ \color{gold}{1} + \color{red}{{\frac{1}{4}} \cdot 0.008} \\ \\ &= 1.002 \end{aligned} \)
生徒
生徒

おお!こんな感じで求めれるのか!

成り立つ理由

生徒
生徒

この近似式が成り立つ理由も教えて!

さん
さん

了解!次の図で説明していくね。

上の図では2つの関数があります。

1つ目は \(f(x)\)。

2つ目は \(f'(0)x + f(0)\)。

\(f'(0)x + f(0)\) は、\(f(x)\) 上の点 \(\color{gold}{(0, f(0)}\) を通る、接線の方程式です。

※接線の方程式がわからない方はこちら↓
微分法の応用01:「接線の方程式と法線の方程式」 

この2つの関数の \(x\) が \( 0 \) の付近を見比べてみてください。

生徒
生徒

あ、ほとんど一緒だ。

さん
さん

そういうこと!

\(f(x) ≒ \color{gold}{f(0)} + \color{red}{f'(0)x}\) は、

「\(x ≒ 0 \) のとき 関数\(f(x)\) と 関数\(\color{red}{f'(0)x+\color{gold}{f(0)} }\) はほとんど同じだよね」って公式なんです。

生徒
生徒

理解したら、単純なことだった!

まとめ

さん
さん

さて、今回のまとめだよ!

近似式①

\(h ≒ 0 \) のとき \(\color{hotpink}{f(a+h)} ≒ \color{springgreen}{f(a)} + \color{deepskyblue}{f'(a)h}\)

近似式②

\(x ≒ 0 \) のとき \(f(x) ≒ \color{gold}{f(0)} + \color{red}{f'(0)x}\)

例題

\(\sin{31°}\) を求めよ。

\( \begin{aligned} \:\color{hotpink}{ \sin{(30°+1°)}} &= \color{hotpink}{\sin{ \left( \frac{\pi}{3}+\frac{\pi}{180}\right) } } \\ \\ &= \color{springgreen}{\sin{\frac{\pi}{3}}} + \color{deepskyblue}{\left(\sin{\frac{\pi}{3}}\right)’ \cdot \frac{\pi}{180} } \\ \\ &≒ \sin{\frac{\pi}{3}} + \cos{\frac{\pi}{3}} \cdot \frac{\pi}{180} \\ \\ &= \frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2} \cdot \frac{\pi}{180} \\ \\ &≒ 0.5151 \end{aligned} \)

 

例題

\(r\) を実数とする。\(x ≒ 0 \) のとき、\((1+x)^r ≒ 1+rx\) であることを示せ。また、この式を用いて \(\sqrt[4]{1.008}\) の近似値を求めよ。

\(f(x)=(1+x)^r \) とする。

\(\color{gold}{f(0)}=(1 + 0 )^r = \color{gold}{1}\)

\(f'(x) = r(1 + x )^{r-1}\) であるから、 \(\color{red}{f'(x)} = r(1 + 0 )^{r-1}=\color{red}{r}\)

よって \(x ≒ 0 \) のとき、\((1+x)^r ≒ \color{gold}{1} + \color{red}{rx}\)

また、

\( \begin{aligned} \displaystyle \sqrt[4]{1.008} &= (1+0.008)^{\frac{1}{4}} \\ \\ &≒ \color{gold}{1} + \color{red}{{\frac{1}{4}} \cdot 0.008} \\ \\ &= 1.002 \end{aligned} \)
生徒
生徒

これで「微分法の応用」の単元全部終わった!!


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