
こんにちは、高校教員の『さん』です。今日は、「グラフの漸近線」について詳しく説明していくよ。

今回もよろしくお願いします!!
「人より勉強に時間がかかる」と感じていませんか?
私のクラスにも、同じ悩みを抱えて苦しんでいた生徒がたくさんいました。
• 「教科書や参考書の内容がわからなくて、読むのに時間がかかる」
• 「解答の意味が理解できず、勉強が進まない」
教科書の内容を理解するには、「自分で噛み砕いて考える力」が必要です。
このブログでは、よく寄せられる質問、つまずきやすいポイントをもとに、教科書の内容をわかりやすく解説していきます。
「噛み砕き方」がわかれば、文章はぐっと読みやすくなります!
まずは、教科書の説明を見てみましょう。
まずは教科書の説明

教科書の説明ではこんなふうに書かれているよ!
関数 \(y=\frac{x^2}{x-1}\) のグラフをかけ。
関数の定義域は \(x\neq1\) である。
\(f(x) = \frac{x^2}{x-1}\) とする。
\(f(x) = x + 1 + \frac{1}{x-1}\) であるから
\(f'(x) = 1 – \frac{1}{({x-1})^2}=\frac{x(x-2)}{({x-1})^2}\)
\(f(x)^{\prime\prime} = \frac{2}{({x-1})^3}\)
\(f(x)\) の増減や凹凸は、次の表のようになる。
また、\(\displaystyle\lim_{n \to 1 + 0} f(x) = \infty\)、\(\displaystyle\lim_{n \to 1 – 0} f(x) = -\infty\)であるから、\(x=1\) はこの曲線の漸近線である。
さらに、\(\displaystyle\lim_{n \to \infty} \{f(x) – (x + 1)\} = 0\)、\(\displaystyle\lim_{n \to -\infty} \{f(x) – (x + 1) \}= 0\) であるから、直線 \(y = x + 1\) も この曲線の漸近線である。
以上から、グラフは下の図のようになる。

簡単に説明するよ
漸近線の種類は次の3つ
- \(y = a\) 型の横の漸近線
- \(x = a\) 型の縦の漸近線
- \(y = ax + b\) 型の斜めの漸近線
です。

メモメモ•••
詳しく説明するよ
グラフをかくときの、気をつけるべき漸近線の種類について説明していきます。
関数 \(y=\frac{x^2}{x-1}\) のグラフをかけ。

グラフのかき方については前回、勉強したよ!

漸近線を考えるとこまでは、軽く振り返りながらやっていこう!
ラフのかき方は、
- 定義域を確認する
- 微分計算により \(y’\) や \(y^{\prime\prime}\) を計算する
- \(y’=0\)、 \(y^{\prime\prime} = 0\) を求め増減表を作る
- 漸近線があれば図示する
- グラフをかく
でした。

定義域は絶対最初に確認しないといけなかったんだよね!

よく覚えていたね!確認ポイントは次の3つ!
①(分母)\(\neq 0\)
② \(\sqrt{\text{0以上}}\)
③ \(\log{\text{(正)}}\)
今回の関数 \(y=\frac{x^2}{x-1}\) は分数関数なので、(分母)\(\neq 0\) を確認します。
\(x -1 \neq 0\) より 定義域は \(x \neq 1\)

次は\(y’\) や \(y^{\prime\prime}\) を計算するんだったね。

分数関数のグラフを図示する上で、次の変形は必須なんだ。覚えておこうね。
(分子の次数) ≧ (分母の次数)であれば、分子の次数を分母の次数より小さくする。
(分子 \(x^2\) の次数 \(2\)) ≧ (分母 \(x-1\) の次数 \(1\)) ですから、次の変形をします。
\begin{align*} \require{enclose} % enclose 拡張機能を用いて % \enclose{longdiv} で筆算の除算記号が表示可能 x + 1 \phantom{+ 0} \\ x – 1 \enclose{longdiv}{ x^2 \phantom{+x}} \phantom{+ 0} \\ \underline{ x^2 – x } \phantom{ + 0 } \\ {} x \phantom{ + 0} \\ \underline{ {} x – 1 } \\ 1 \end{align*}筆算より、\(x^2 = (x-1)(x+1)+1\) とできることを利用して
と変形します。
これで、分子の次数が分母の次数より小さくなりました。

なんでこの変形をしないといけないの?

微分も簡単にできるし、漸近線を描くためにも必要なんだ!
\(y= x + 1 + \frac{1}{x-1}\) を微分します。

因数分解するところまで、計算するんだったね!
次に、\(y^{\prime\prime}\) を計算していくのですが、一番計算が楽な \(y’ = 1 – \frac{1}{({x-1})^2}\) を微分しましょう。
\(\displaystyle y^{\prime\prime} = \frac{2}{({x-1})^3}\)

次は、\(y’=0\)、 \(y^{\prime\prime} = 0\) を求めて増減表を作ろう!
\(y’=0\) とすると \(x=0, 2\)
\(y^{\prime\prime} = 0\) になることはありません。
増減表は、定義域も考慮してかきます。
定義域に含まれていない \(x = 1 \) には「/」をかき入れておきましょう。
漸近線を考える

ここからが、本番! 漸近線の種類を説明していくよ。
漸近線①:\(y = a\) 型の横の漸近線

横の漸近線は、前回でもやった気がする。

グラフの端っこがどうなってるか確認するんだったね!
\(y= x + 1 + \frac{1}{x-1}\) の極限を考えます。
右端は \(\infty\) に上がっていき、左端は \(-\infty\) に下がっていくので、\(y = a\)型の横の漸近線 はありませんでした。

これは頭の中で考えればOK。解答には記述する必要はないよ
漸近線②:\(x = a\) 型の縦の漸近線

縦の漸近線もあるんだ。

\(x = a\) 型の縦の漸近線 は次の3つが存在する場合に考えよう!
①(分母)\(\neq 0\)が絡む
② \(\sqrt{\text{0以上}}\)が絡む
③ \(\log{\text{(正)}}\)が絡む

あれ、これって定義域の確認ポイントと一緒?

そうだね!定義域の範囲があるときは、\(x = a\) 型の縦の漸近線も考えることを忘れないようにね!
定義域の端っこがどうなってるかを考えましょう。
定義域は \(x \neq 1\) でしたので、関数\(y= \frac{x^2}{x-1}\) が \(x = 1\)に 近づくとき、グラフはどうなるかを考えます。
まずは、右から近づくとき。
\(\displaystyle\lim_{n \to 1 + 0} \frac{x^2}{x-1}= \infty\)
次に、左から近づくとき。
\(\displaystyle\lim_{n \to 1 – 0} \frac{x^2}{x-1} = -\infty\)

これで、\(x=1\) はこの曲線の漸近線だって言えるようになったね!

漸近線③:\(y = ax + b\) 型の斜めの漸近線

斜めの漸近線もあるんだ•••。大変。

大丈夫!次のことを覚えておけばすぐに判断できるよ!
① 分数関数である。
→ (1次式)+(分数関数)のグラフは \(y = \) (1次式)が漸近線になる。
② 無理数関数である。

さっき、分数関数を変形したのはここで使うからか!

その通り!鋭いね!
(1次式)+(分数関数)のグラフは \(y = \)(1次式)が漸近線になります。
今回の関数は \(y = \frac{x^2}{x-1} = \color{red}{x + 1 + \frac{1}{x-1}}\) ですから、\(\color{red}{y = x + 1}\)が漸近線になります。

これを、知識として分かっている上で、解答としても \(\color{red}{y = x + 1}\) が漸近線であることを示しておきましょう。
\(y = x + 1\)が漸近線であるということは、
「関数 \(\color{hotpink}{y = \frac{x^2}{x-1}}\) が \(\color{deepskyblue}{y = x + 1}\) にどんどん近づいていく」ということでした。
つまり、 「\(\color{hotpink}{y = \frac{x^2}{x-1}}\) と \(\color{deepskyblue}{y = x + 1}\) との差 \(\color{hotpink}{\frac{x^2}{x-1}} – \color{deepskyblue}{(x + 1)}\) がだんだん0に近づいていく」ということです。
これを式で表してあげましょう。
よって、\(y = x + 1\)が漸近線である。

ちゃんと、解答で示さないといけないのか。

誰がみても分かるように根拠を記述しないとね!
後は、漸化式、座標軸との交点、極値、変曲点などをかき入れて、グラフを完成です。
定義域は \(x\neq1\)
\(f(x) = \frac{x^2}{x-1}\) とする。
\(\displaystyle f(x)^{\prime\prime} = \frac{2}{({x-1})^3}\)
\(f(x)’=0\) とすると \(x=0, 2\)
\(\displaystyle\lim_{n \to 1 + 0} \frac{x^2}{x-1}= \infty\)、\(\displaystyle\lim_{n \to 1 – 0} \frac{x^2}{x-1} = -\infty\) より、\(x=1\) が漸近線となる。
\(\displaystyle \lim_{n \to \infty} \left(f(x) – (x + 1)\right) = 0 \) より、\(y=x+1\) が漸近線となる。

まとめ
今回の内容をしっかり整理しておこう!

グラフのかき方をマスターできた気がする!
- 関数のグラフをかくときは、「定義域の確認」からスタート。
- 分数関数のグラフでは、「(1次式)+(分数)」の形に変形。
- \(y^{\prime}\)、\(y^{\prime\prime} \) を計算し、増減表を作成。
- 漸近線は3種類
- \(y = a\) 型の横の漸近線
- \(x = a\) 型の縦の漸近線
- \(y = ax + b\) 型の斜めの漸近線
- 特に、今回のような分数関数では、「\(y=ax+b\) 型の斜めの漸近線」を見逃さないように注意。
この手順をマスターすれば、分数関数のグラフも自信を持ってかけるようになります。

最初に戻って、教科書の説明を読んでみよう!スラスラ理解できるはずだよ!
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