高校教員の『さん』です!
この記事を見ると、「教科書の内容が分からない」から「教科書の言いたいことが分かる」ようになるよ。
教科書が読めるようになると、効率よく勉強が進められるようになって、問題集や参考書もスラスラ読めるようになる!
その力が、テストや受験に役立つ自信に変わるんだ。
生徒と関わる中で、気づいたことや学んだこと、そして生徒から寄せられた質問や、よくつまずくポイントを踏まえて、教科書の内容を噛み砕いて説明していくよ。
まずは、教科書の説明をみてみよう!
まずは教科書の説明
初項が \(a\)、公比が \(r\) の無限等比数列から作られる無限級数
$$a + ar + ar^2 + \cdots + ar^{n-1} + \cdots\tag{①}$$
を、初項 \(a\)、公比 \(r\) の無限等比級数という。
①の第 \(n\) 項までの部分和を \(S_n\) とする。
初項 \(a = 0\) のとき
無限数列\(\{S_n\}\)は\(0\)に収束する。
初項 \(a \neq 0\) のときは、次のようになる。
[1] 公比 \(r = 1\) のとき
$$S_n = a + a + \cdots + a = n \cdot a$$
\(a \neq 0\) であるから、無限数列 \(\{S_n\}\) は発散する。
[2] 公比 \(r \neq 1\) のとき
$$\displaystyle S_n = \frac{a(1 – r^n)}{1 – r} = \frac{a}{1 – r} – \frac{a}{1 – r} r^n$$
\(|r| < 1\) のとき\(\displaystyle\lim_{n \to \infty} r^n = 0\)だから
$$\displaystyle\lim_{n \to \infty} S_n = \frac{a}{1 – r}\tag{②}$$
\(|r| \text{≧} 1\) または\(r>1\)のとき、数列\(\{r^n\}\)は発散するから、②により無限数列\(\{S_n\}\)も発散する。
以上から、無限等比数列の収束、発散について次のことがいえる。
初項 \(a\)、公比 \(r\)の無限等比数列の収束、発散は次のようになる。
初項 \(a \neq 0\)のとき
\(|r| < 1\)ならば収束し収束し、その和は \(\displaystyle\frac{a}{1 – r}\)である
\(|r| \text{≧} 1\)ならば発散する。
初項 \(a = 0\)のとき
収束し、その和は\(0\)である。
簡単に説明するよ!
無限等比級数とは、等比数列の項を全て足した値のことだよ。
無限等比数列は、公比が\(-1\)から\(1\)の間のとき、 \(\displaystyle\frac{\text{(初項)}}{1 – \text{(公比)}}\) を計算したら求めることができるよ。
詳しく説明するよ!
無限数列と無限級数の違い
まずは復習から!
無限数列と無限級数は、名前が似ているけど違うものだよ。
- 無限数列は、数がずっと並んでいる列のこと
$$1, 2, 3, \dots$$ - 無限級数は、その数列を全部足し合わせたもの
$$1 + 2 + 3 + \dots$$
無限級数は、「部分和 \(S_n\)」を求めて、最終的にその極限 「\(\displaystyle\lim_{n \to \infty} S_n\) 」を計算することで和を求めるんだ。
無限等比級数の定義と発散の例
無限等比級数は、等比数列をもとにした無限級数のことだよ。
たとえば
$$1 + 2 + 4 + 8 + \cdots$$
これは初項 \(1\)、公比 \(2\) の無限等比級数。
ここで注目するのは、公比 \(r\) の値だね。
上の例みたいに \(|r| \text{≧} 1\) の場合、項の値がどんどん大きくなるから、無限等比級数は発散してしまう。
無限等比級数が収束する場合
無限等比級数が収束するのは次の2つの場合だけ!
[1] 初項 \(a = 0\) の場合
たとえば、初項 \(0\)、公比 \(2\) の無限級数
$$0 + 0 \cdot 2 + 0 \cdot 2^2 + \cdots$$
どの項も \(0\) になるから、当然 \(0\) に収束するよ。
[2] 初項 \(a \neq 0\)、公比 \(-1 < r < 1\) の場合
たとえば、初項 \(3\)、公比 \(\displaystyle\frac{1}{2}\) の無限級数
$$3 + \frac{3}{2} + \frac{3}{4} + \frac{3}{8} + \cdots$$
等比数列の和を求める公式\(\displaystyle\frac{a(1 – r^n)}{1 – r}\)を使うと
$$ S_n = \frac{3(1 – \color{#32cd32}{(\frac{1}{2})^n})}{1 – \frac{1}{2}}$$
ここで \(n \to \infty\)の極限を取ると、\(\color{#32cd32}{\displaystyle\left(\frac{1}{2}\right)^n \to 0}\) だから
$$\color{red}{\lim_{n \to \infty} S_n = \frac{3}{1 – \frac{1}{2}}} = 6$$
このように、和が収束して \(6\) になるんだ!
ここで注目!
\(\displaystyle\color{red}{\frac{3}{1 – \frac{1}{2}}}\) は \(\displaystyle\color{red}{\frac{\text{(初項})}{1 – \text{(公比)}}}\) の形になってるね。
「\(\displaystyle\color{red}{\frac{\text{(初項)}}{1 – \text{(公比)}}}\) は導出も含めて覚えておこう!次の見出しで一般化するよ」
無限等比級数の和の公式
無限等比級数の和の公式を導出をするよ!
部分和を求める公式は
$$S_n = \frac{a(1 – r^n)}{1 – r}$$
ここで、もし公比が \(-1 < r < 1\) の範囲なら、\(\lim_{n \to \infty} r^n = 0\)になる。
だから、無限等比級数の和の公式は
$$\lim_{n \to \infty} S_n = \frac{a}{1 – r}$$
「この公式を使うときは必ず”公比が \(-1 < r < 1\)であるか”をチェックしてね!」
問: 初項 \(3\)、公比 \(\frac{1}{2}\) の無限等比級数の和を求めよ。
$$3 + \frac{3}{2} + \frac{3}{4} + \frac{3}{8} + \cdots$$
公比は\(\displaystyle\frac{3}{2}\)で、\(\displaystyle\left|\frac{3}{2}\right|<1\)であるから収束し、和は\(\displaystyle\frac{3}{1 – \frac{1}{2}}=6\)
最後に例題
例題: 次の無限等比級数の収束、発散を調べ、収束するときはその和を求めよ。
$$5 – \frac{5}{3} + \frac{5}{9} – \cdots$$
解答
公比は \(\displaystyle -\frac{1}{3}\) で、\(\displaystyle \left| -\frac{1}{3} \right| < 1\)であるから収束し、和は\(\displaystyle \frac{5}{1 – (-\frac{1}{3})} = \frac{5}{1 + \frac{1}{3}} = \frac{5}{\frac{4}{3}} = \frac{15}{4}\)
まとめ
- 無限等比級数とは?
初項 \(a\)、公比 \(r\) を持つ等比数列の無限級数のこと。
$$a + ar + ar^2 + \cdots$$ - 収束・発散の条件
- 初項 \(a = 0\):収束し、和は \(0\)。
- 初項 \(a \neq 0\)
- \(|r| < 1\):収束し、和は \(\displaystyle\frac{a}{1 – r}\)
- \(|r| \text{≧} 1\):発散する
「最初に戻って、教科書の説明を読んでみよう!スラスラ理解できるはずだよ!」
コメント