高校教員の『さん』です!
この記事を見ると、「教科書の内容が分からない」から「教科書の言いたいことが分かる」ようになるよ。
教科書が読めるようになると、効率よく勉強が進められるようになって、問題集や参考書もスラスラ読めるようになる!
その力が、テストや受験に役立つ自信に変わるんだ。
生徒と関わる中で、気づいたことや学んだこと、そして生徒から寄せられた質問や、よくつまずくポイントを踏まえて、教科書の内容を噛み砕いて説明していくよ。
まずは、教科書の説明をみてみよう!
まずは教科書の説明!
\(f(x)\) が連続関数のとき、 \(y=f(x)\) のグラフ上に2点 \(A(a,\:f(a))\) 、 \(B(b,\:f(b))\) をとって、直線 \(AB\) と平行な接線を考える。
\(f(x)\) が区間 \((a,\:b)\) で微分可能ならば、このグラフ上の \(A,\:B\) 間の点における接線で、直線 \(AB\) と平行なものが少なくとも1本存在することが知られている。
すなわち、次を満たす実数 \(c\) が存在する。
$$\displaystyle \frac{f(b)-f(a)}{b-a}=f'(c),\:a<c<b$$
これは、\(a<c<b\) である \(c\) を \(x\)座標とする点 \(C\)における接線の傾き \(f'(c)\) と直線 \(AB\) の傾き \(\displaystyle \frac{f(b)-f(a)}{b-a}\) が等しいことを表している。
一般に次の 平均値の定理 が成り立つ。
関数 \(f'(x)\) が区間 \([a,\:b]\) で連続で、区間 \((a,\:b)\)で微分可能ならば、 \(\displaystyle \frac{f(b)-f(a)}{b-a}=f'(c),\:a<c<b\) を満たす実数 \(c\) が存在する。
例題:次の場合に、平均値の定理における \(c\) の値が存在することを、 \(c\) の値を具体的に求めることによって確かめよ。
$$f(x)=x^2+1,\:a=0,\:b=2$$
関数 \(f(x)=x^2+1\)は、区間 \([0,\:2]\) で連続で、区間 \((0,\:2)\)で微分可能である。
$$\displaystyle \frac{f(2)-f(0)}{2-0}=f'(c),\:0<c<2$$
これを満たす \(c\) の値は、\(2c=2\) から \(c=1\)
これは \(0<c<2\) を見たし、\(c\) の値が存在している。
簡単に説明するよ!
平均値の定理は 点\(A\) から 点\(B\) までの「平均的な変化」がその区間内の「瞬間的な変化」と一致するってことだよ。
点\(A\) から 点\(B\) までの「平均的な変化」は \(\displaystyle \frac{f(b)-f(a)}{b-a}\)で求められるよ。
点\(A\) から 点\(B\) までの「瞬間的な変化」は「\(f'(c)\)」で求められるよ。
詳しく説明するよ!
平均値の定理は、自転車での移動をイメージすると理解しやすいよ。
例えば、家から学校まで自転車で登校するときの速度を考えてみよう。
坂道があれば、登りではスピードが落ち、下りでは速くなるよね。
つまり、ずっと同じ速さではなく、速度は常に変化している。
ここで平均値の定理が伝えたいことは、「登校中のある瞬間には、全体の平均速度とぴったり同じ速さになっているはずだよ」ということなんだ。
道のりのどこかで、ちょうどその平均速度で走っている瞬間が必ずある。
これが平均値の定理の考え方だよ。
グラフで表すとこんな感じ

家から学校までの速度のグラフが緑で、平均速度が赤、家から学校までの間で平均速度と同じ速度になるのがA地点とB地点。
確かに、平均速度と同じになる瞬間があるね。
次は「速度の関数を \(f(x)\) 」「家をA」「学校をB」として数式で表してよう。
「平均速度」はAからBまでの変化量 \(\displaystyle \frac{f(b)-f(a)}{b-a}\) と表せて、「ある点Cの瞬間的な速度」は関数 \(f(x)\) の接線の傾き \(f'(c)\) と表せる。
これらが同じになる瞬間必ず存在するから、次の等式を満たす実数 \(c\) が存在する。
$$\displaystyle \frac{f(b)-f(a)}{b-a}=f'(c),\:a<c<b$$

「 \(f(x)\) が連続で微分可能な関数のときしか、平均値の定理は成り立たないから注意してね」
例題で具体的に考えてみよう。
例題:次の場合に、平均値の定理における \(c\) の値が存在することを、 \(c\) の値を具体的に求めることによって確かめよ。
$$f(x)=x^2+1,\:a=0,\:b=2$$
平均値の定理が使えるのは、関数が連続で微分可能のときだけだけだから、この前提を確認しよう。
\(f(x)=x^2+1\) は2次関数だから連続で微分可能な関数だね!
あとは区間の初め( \(a=0\) )から、区間の終わり( \(b=2\) )までの変化量が、区間内の接線の傾き( \(f'(c)=2c\) )と等しいという式を立式して
$$\displaystyle \frac{f(2)-f(0)}{2-0}=f'(c),\:0<c<2$$
計算すると \(c\) の値を求めることができるよ。
$$c=1$$
\(f(x)\) は連続で微分可能な関数である
\(f'(x)=2x\)
\(\displaystyle \frac{f(2)-f(0)}{2-0}=f'(c)\) より \(c=1\)
これは \(0<c<2\) を満たすため、 \(c\) の値は存在する
まとめ
今回学んだ 平均値の定理 について、ポイントを整理するよ!
- 平均値の定理とは?
- ある関数 \(f(x)\) が区間 \([a, b]\) で 連続 かつ区間 \((a, b)\) で 微分可能 ならば、 \(\displaystyle \frac{f(b)-f(a)}{b-a} = f'(c), \quad a < c < b\) を満たす \(c\) が必ず存在する。
- 直感的な意味
- 「区間全体の平均的な変化量(平均変化率)」と「ある瞬間の変化量(微分係数)」が一致する点が必ずある!
- 例として、「自転車での移動中に、ある瞬間の速度が平均速度とピッタリ一致する瞬間がある」と考えればOK!
- 重要なポイント
- 関数が連続で微分可能であることが前提!
- 「平均変化率」=「接線の傾き」になる \(c\) が必ず存在する

最初に戻って、教科書の説明を読んでみよう!スラスラ理解できるはずだよ!
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