高校教員の『さん』です!
この記事を見ると、「教科書の内容が分からない」から「教科書の言いたいことが分かる」ようになるよ。
教科書が読めるようになると、効率よく勉強が進められるようになって、問題集や参考書もスラスラ読めるようになる!
その力が、テストや受験に役立つ自信に変わるんだ。
生徒と関わる中で、気づいたことや学んだこと、そして生徒から寄せられた質問や、よくつまずくポイントを踏まえて、教科書の内容を噛み砕いて説明していくよ。
まずは、教科書の説明をみてみよう!
まずは教科書の説明!
例題:次の極限を求めよ。
$$\displaystyle\lim_{n \to \infty} \left( \sqrt{n^2 + n} – n \right)$$
「根号が出てくるとややこしく感じるかもしれないけど、落ち着いて順番に計算すれば大丈夫!一緒に練習していこう!」
簡単に解説するよ!
根号を含む \(\boldsymbol{\infty – \infty}\) の不定形は、そのままでは極限に飛ばせない。
そんなときは、有理化をすることによって、\(\boldsymbol{\infty – \infty}\) の不定形が解消され、 \(\displaystyle\frac{\infty}{\infty} \) の不定形に変わるんだ。
\(\boldsymbol{\displaystyle\frac{\infty}{\infty}}\) の不定形は、分母の最高次数で割ることで解消できるから、不定形のない式にすることができる。
あとは、極限に飛ばせば、極限値が求まるってわけ。
詳しく解説するよ!
整式と無理式の違い(\(\infty-\infty\)の不定形の扱い方)
整式の場合
整式の極限は、\(\boldsymbol{\infty-\infty}\)の不定形は最高次数の項をくくりだして不定形が解消するんだったね。
例えば次の例を考えてみよう
$$\displaystyle\lim_{n \to \infty} \left( n^2 – n^3 \right)$$
これって、最高次数の \(\boldsymbol{n^3}\) をくくり出してみると、
$$\displaystyle\lim_{n \to \infty} n^3 \left( \frac{1}{n} – 1 \right)$$
ここで、\(n^3 \to \infty\)のとき、\(\displaystyle\frac{1}{n} – 1 \to -1\) だから、
$$\displaystyle\lim_{n \to \infty} n^3 \left( \frac{1}{n} – 1 \right)= -\infty$$
となって、簡単に求まる。
整式の場合はこれでOK!
無理式の場合
じゃあ無理式の場合はどうだろう?
例えば、次の問題を見てみよう
$$\displaystyle\lim_{n \to \infty} \left( \sqrt{n^2 + n} – n \right)$$
この極限も\(\boldsymbol{\infty-\infty}\)の不定形になるね。
最高次数の \(\boldsymbol{n}\) をくくりだすと、
$$\displaystyle\lim_{n \to \infty} n \left( \sqrt{1 + \frac{1}{n}} – 1 \right)$$
これって整式と同じように不定形を解消できてるかっていうと、できてないんだよね。
\(n \to \infty\)とすると、\(n \to \infty\)に、\(\displaystyle\sqrt{1 + \frac{1}{n}} – 1 \to 1-1=0\) になるから、
\(\boldsymbol{\infty \cdot 0}\) の不定形のままになってしまうんだ。
※\(\infty \cdot 0=\infty \cdot \frac{1}{\infty}=\frac{\infty}{\infty}\)の不定形だよ。
じゃあ、無理式の\(\boldsymbol{\infty-\infty}\)の不定形をどうやって解決するのか?
それは、「有理化」を利用すれば解決できるんだ!
「整式の場合はすぐに極限が求められるけど、無理式では少し工夫が必要なんだ!根号が絡むと、有理化が鍵になるよ!」
根号を含む\(\infty-\infty\)の不定形は有理化で解消
根号を含む\(\boldsymbol{\infty-\infty}\)の不定形の極限は、有理化して不定形を解消する必要がある。
さっきの例題を考えてみるよ。
$$\displaystyle\lim_{n \to \infty} \left( \sqrt{n^2 + n} – n \right)$$
このままでは \(\boldsymbol{\infty – \infty}\) の不定形だから、有理化してみよう。
有理化するめに、分母と分子に \(\sqrt{n^2 + n}\) をかけると
$$\displaystyle\lim_{n \to \infty} \frac{\left( \sqrt{n^2 + n} – n \right)\left( \sqrt{n^2 + n} + n \right)}{\sqrt{n^2 + n} + n}$$
分子の計算を展開すると、\(\sqrt{n^2 + n})^2 – n^2\) になるから、
$$\displaystyle\lim_{n \to \infty} \frac{n^2 + n – n^2}{\sqrt{n^2 + n} + n}$$
これを簡単にすると
$$\displaystyle\lim_{n \to \infty} \frac{n}{\sqrt{n^2 + n} + n}$$
これだけだと、まだ\(\boldsymbol{\displaystyle\frac{\infty}{\infty}}\)の不定形のままなんだ。
だけど、思い出して!
\(\boldsymbol{\displaystyle\frac{\infty}{\infty}}\)の不定形は、「分母の最高次数で割る!」だったね。
分母の最高次数\(\boldsymbol{n}\) で分母と分子を割ってみよう。
$$\displaystyle\lim_{n \to \infty} \frac{1}{\sqrt{1 + \frac{1}{n}} + 1}$$
最後に \(n \to \infty\) とすると、分母の \(\displaystyle\frac{1}{n}\) は 0 に近づくから
$$\displaystyle\frac{1}{\sqrt{1 + 0} + 1} = \frac{1}{2}$$
これで極限値が \(\displaystyle\frac{1}{2}\)ってわかったね!
「ルートのついた\(\infty-\infty\)の不定形は、有理化で解消するんだ。これは覚えておこう!」
最後に例題
次の極限を求めよ。
$$\displaystyle\lim_{n \to \infty} \left( \sqrt{n + 2} – \sqrt{n} \right)$$
まとめ
今回のポイントを整理すると、次のようになるよ
- 根号を含む \(\boldsymbol{\infty – \infty}\) の不定形は、そのままでは極限に飛ばせない。
- 有理化することで、不定形が \(\displaystyle\frac{\infty}{\infty} \) に変わる。
- \(\boldsymbol{\displaystyle\frac{\infty}{\infty}}\) の不定形は、分母の最高次数で割ることで解消できる。
- 最後に極限に飛ばして 、極限値を求める。
この方法をしっかりマスターすれば、根号が絡む極限でも自信を持って解けるようになるよ!
「最初に戻って、教科書の説明を読んでみよう!スラスラ理解できるはずだよ!」
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