
今日の板書はこれ!
2次方程式の解がどの範囲にあるかを調べたい時は、グラフを使って図形的に考えるのが基本です。
グラフを図示して、次の3つがどうあるべきかを考えます。
① 判別式 \(D\) の符号
② 軸の位置
③ 区間の端における \(y\) 座標の正負
2次関数 \(y=x^2-2mx-m+6\) のグラフが、\(x\) 軸の正の部分と異なる2点で交わるとき、定数 \(m\) の値の範囲を求めよ。
▼ 解答
\(f(x)=x^2-2mx-m+6\) とおき、\(f(x)=0\) の判別式を \(D\) とする。
① \(\frac{D}{4}=m^2-(-m+6)=m^2+m-6>0\) より \((m+3)(m-2)>0\) ∴ \(m<-3,\ 2<m\)
② 軸について \(m>0\)
③ \(f(0)=-m+6>0\) より \(m<6\)
①②③より、\(2<m<6\)
2次関数 \(y=x^2-2mx-m+6\) のグラフが、\(x\) 軸の正の部分と負の部分で異なる2点で交わるとき、定数 \(m\) の値の範囲を求めよ。
▼ 解答
\(f(0)<0\) のときは、グラフが必ず \(x\) 軸と2点で交わるため、\(D>0\) は不要。
また、軸はどこでもよく、制限はない。
③ \(f(0)=-m+6<0\) より \(m>6\)
よって、\(m>6\)

もっと詳しく願いします!!
現役教員として数学を教えている「さん」と申します。
「人より勉強に時間がかかる」と感じていませんか?私の学校にも、同じ悩みを抱えて苦しんでる生徒がたくさんいます。
「教科書や参考書の内容がわからなくて、読むのに時間がかかる」「解答の意味が理解できず、勉強が進まない」教科書や参考書の内容を理解するには、「自分なりに噛み砕いて考える力」が必要です。
でも大丈夫!このサイトでは、私が受けた質問や、つまずきポイントをもとに、わかりやすく解説していきます。
意味から理解し、噛み砕き方をマスターしましょう!!
「解の配置問題」って何?

「解の配置問題」って、なんだか難しそうな言葉ですね。

言葉は仰々しいけど、やることはシンプル。2次方程式の解が、ある範囲の「どこに来るか」を調べる問題のことだよ。

解の値そのものは求めないんですか?

うん、求めない。具体的な解の値じゃなく、どこの範囲にあるかだけを問う。だから「解の存在範囲」とも呼ばれる。
解の値を出さずに範囲だけ求める?
普通の2次方程式なら、解の公式や因数分解で x=□ のように具体的な値を出します。
でも、係数に文字(定数)\(m\) が入っていると、解は \(m\) の値によって変わります。
だから「具体的な値」を求めようがありません。

だから「どこに来るか」だけを聞くんですね。

そう。「\(x\) 軸の正の部分で2点交わる \(m\) を求めよ」みたいな問い方になる。
グラフで考えるのが基本
解の配置問題は、2次方程式 \(f(x)=0\) の解を、2次関数 \(y=f(x)\) のグラフと \(x\) 軸の交点として見るのが基本姿勢です。

そうすると、「解がここにある」というのが「グラフがこの範囲で \(x\) 軸と交わる」という図形的な条件に翻訳できる。

式で攻めるより、図を描いた方が速い、ってことですか?

その通り!この単元は、まずグラフを描くのが正解への近道だよ。
解の配置を決める3つの条件

グラフを描いたら、次の3つを順番にチェックする。これがこの単元のテンプレだよ。
- 判別式
- 軸の位置
- 区間の端における \(y\) 座標の正負
① 判別式 D の符号
まず、グラフが \(x\) 軸と何点で交わるかを決めるのが 判別式 \(D\) です。
2点で交わってほしいなら \(D>0\)、接するなら \(D=0\)、交わらないなら \(D<0\)。

これは前にやった「実数解の個数」と同じですね。

そう、同じ \(D\) だよ。解の個数を決めるのが第1ステップ。
② 軸の位置
次にチェックするのが 軸の \(x\) 座標。
2次関数 \(y=ax^2+bx+c\) の軸は \(x=-\frac{b}{2a}\) でしたね。
軸がどの範囲にあるかで、グラフ全体が左右どこに寄っているかが決まります。

例えば、解が両方とも正の値であってほしいなら、軸も正の側(\(x>0\) 側)にないとおかしい。

放物線の頂点が真ん中だから、軸の位置で「左右の偏り」が決まるってことか…。
③ 区間の端における f(x) の値
最後が 区間の端 \(x=\alpha,\ \beta\) における \(f(x)\) の符号。
「\(x\) 軸の正の部分で2点交わる」なら、区間の端は \(x=0\)。
このとき \(f(0)\) の符号を見ます。

放物線(下に凸)が \(x\) 軸より上の側で2点交わるなら、両端では「曲線が \(x\) 軸の上にいる」ので \(f(\alpha)>0\) と \(f(\beta)>0\)。

図を描けば一目で分かりますね!
まとめ:3条件を全部満たすように立式
この3つを同時に満たすような定数の範囲を求めれば、それが答えになります。

連立不等式と同じで、最後は数直線で共通範囲を取ることになるよ。
例題1:x軸の正の部分で異なる2点で交わる

実際の例題で、3条件をどう使うか見てみよう。
2次関数 \(y=x^2-2mx-m+6\) のグラフが、\(x\) 軸の正の部分と異なる2点で交わるとき、定数 \(m\) の値の範囲を求めよ。
まずはグラフを描いてみる

「\(x\) 軸の正の部分で2点交わる」って、どんなグラフですか?

下に凸の放物線が、\(x>0\) の範囲で \(x\) 軸を2回突き抜けるイメージ。\(x\) 軸の左半分(負の側)には触れない。

それでは、3つの条件を順に書き出していきましょう。
\(f(x)=x^2-2mx-m+6\) とおき、\(f(x)=0\) の判別式を \(D\) とします。
① 判別式 D > 0
\(x\) 軸と異なる2点で交わるので、\(D>0\) です。
\(\frac{D}{4}=(-m)^2-1\cdot(-m+6)=m^2+m-6>0\)
左辺を因数分解して \((m+3)(m-2)>0\)。
よって \(m<-3\) または \(2<m\)。
…①

判別式が \(m\) の2次式になるんですね!

そう。係数に文字が入ってるから、\(D\) も \(m\) の式になる。これを不等式として解くのがポイント。
② 軸 > 0
軸の \(x\) 座標は \(x=-\frac{-2m}{2\cdot 1}=m\)。
解が両方とも正の側にあってほしいので、軸も正の側、つまり \(m>0\)。
…②

もし軸が \(x<0\) の側にあると、グラフの左半分(負の側)に解が来てしまう。だから軸も正の側にないとダメ。
③ f(0) > 0
区間の端は \(x=0\)。
下に凸の放物線が \(x>0\) で2点交わるなら、\(x=0\) では「曲線が \(x\) 軸の上」にあるはず。
\(f(0)=0^2-2m\cdot 0-m+6=-m+6\)
これが正、つまり \(-m+6>0\) より \(m<6\)。
…③

\(f(0)\) って、定数項そのものなんですね。

お、いいところに気付いたね。\(f(0)\) は \(x\) に \(0\) を代入するだけだから、定数項が出てくる。今回は \(-m+6\) ね。
共通範囲を求める
最後に①②③を数直線に書いて、3本の共通範囲を取ります。
① \(m<-3,\ 2<m\)
② \(m>0\)
③ \(m<6\)
数直線で重ねると、3つすべてが成り立つのは \(2<m<6\) の範囲だけ。

これが答えだよ。3つの条件を全部満たす \(m\) の範囲が、求める答えになる。

連立不等式の最後と全く同じやり方ですね!
例題2:x軸の正の部分と負の部分で交わる

次は、解が「正の側に1つ、負の側に1つ」というパターンだよ。
2次関数 \(y=x^2-2mx-m+6\) のグラフが、\(x\) 軸の正の部分と負の部分で異なる2点で交わるとき、定数 \(m\) の値の範囲を求めよ。
まずはグラフを描いてみる

正と負で1点ずつってことは、グラフが \(x\) 軸を…

下に凸の放物線が、\(x\) 軸の原点をまたぐように交わる形。\(x=0\) のところで、曲線は \(x\) 軸より下にいる。

条件は ③ だけでよい

実は今回、3つの条件のうち①と②は要らないんだ。

えっ、なんでですか?!
図を見ると分かりますが、\(f(0)<0\)、つまり \(x=0\) で曲線が \(x\) 軸より下にいるなら、
下に凸の放物線は両端で必ず上に伸びるので、必ず \(x\) 軸と2点で交わります。
つまり \(D>0\) は自動的に成り立つので、わざわざ調べる必要がありません。

しかも、その2点は 必ず \(x=0\) を挟む形になる。だから「正の側に1つ、負の側に1つ」も自動で達成される。
軸の位置についても、\(f(0)<0\) でグラフが原点をまたぐ以上、軸はどこにあってもよく、制限はかかりません。

図形的に考えると、条件が1個で済むんだ…!
f(0) < 0 を解く
それでは、唯一の条件 \(f(0)<0\) を解きましょう。
\(f(0)=-m+6<0\) より \(m>6\)。
これが答えです。

例題1の \(2<m<6\) と例題2の \(m>6\)、合わせると \(2<m\) で「\(x\) 軸と2点で交わる」ことが分かるね。

境界の \(m=6\) は、\(f(0)=0\) で「原点を通る」場合ですか?

鋭い!\(m=6\) のときは \(f(0)=0\)、つまり \(x=0\) が解の1つになる。正でも負でもない境目の状態だから、どちらの問題にも含まれない。
まとめ:解の配置問題のチェックリスト

さて、今回のまとめだよ!
2次方程式の解の配置を考えるときは、グラフを描いて、次の3点を整理する。
① 判別式 \(D\) の符号(解の個数を決める)
② 軸の位置(どの範囲に頂点が来るか)
③ 区間の端 \(f(\alpha),\ f(\beta)\) の符号
ただし、区間の端の符号で必ず2点で交わると分かる場合(例:\(f(0)<0\))は、①②は不要。図を描いて判断する。

また一つ賢くなった!





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