
今日の板書はこれ!
どんな角の \(\sin,\cos,\tan\) も、次の公式で 0〜\(\frac{\pi}{2}\)(鋭角) の値に直せます(複号同順)。
| 角の変形 | \(\sin\) | \(\cos\) | \(\tan\) |
|---|---|---|---|
| \(\theta+2n\pi\) | \(\sin\theta\) | \(\cos\theta\) | \(\tan\theta\) |
| \(-\theta\) | \(-\sin\theta\) | \(\cos\theta\) | \(-\tan\theta\) |
| \(\pi\pm\theta\) | \(\mp\sin\theta\) | \(-\cos\theta\) | \(\pm\tan\theta\) |
| \(\frac{\pi}{2}\pm\theta\) | \(\cos\theta\) | \(\mp\sin\theta\) | \(\mp\frac{1}{\tan\theta}\) |
覚え方(2ステップ)
① 関数の種類:\(\frac{\pi}{2},\frac{3}{2}\pi\) があると sin と cos が入れかわる。\(\pi\) なら関数は変わらない。
② 符号:\(\theta\) に鋭角を入れたとき、もとの式が何象限にあるかで \(\pm\) を決める。

もっと詳しく教えてください!!
現役教員として数学を教えている「さん」と申します。
「人より勉強に時間がかかる」と感じていませんか?教科書や参考書を理解するには、「自分なりに噛み砕いて考える力」が必要です。
このサイトでは、私が受けた質問やつまずきポイントをもとに、意味から理解できるように解説していきます。
還元公式とは? ―「角度を0〜90°にそろえる」変形

前回までで、いろいろな角の \(\sin,\cos,\tan\) を考えてきたよね。

はい。でも \(\frac{8}{3}\pi\) みたいな大きい角や、\(-\frac{\pi}{6}\) みたいなマイナスの角は、値がパッと出せません…。

そこで使うのが 還元公式。どんな角でも、最後は 0〜\(\frac{\pi}{2}\)(=0°〜90°の鋭角) の値に「還元(もどす)」できる公式だよ。
鋭角の \(\sin,\cos,\tan\) の値は覚えている(または三角関数の表で引ける)ので、どんな角もそこまで持っていければ値が分かります。
還元公式は、その「持っていき方」のルールをまとめたものです。
まずは4つの公式を整理しよう

公式は全部で4グループ。板書の表を1つずつ見ていくよ。
① 周期性(2πたしても変わらない)
三角関数は \(2\pi\)(360°)ごとに同じ値をくり返します。
だから \(n\) を整数として \(\sin(\theta+2n\pi)=\sin\theta\) のように、\(2\pi\) の整数倍は足しても引いても値は変わりません。
大きい角はまず \(2\pi\) を引いて \(0\sim2\pi\) におさめるのが第一歩です。
② 負角の公式(−θ)
符号をマイナスにした角は、\(\sin(-\theta)=-\sin\theta\)、\(\cos(-\theta)=\cos\theta\)、\(\tan(-\theta)=-\tan\theta\) となります。
cos だけは符号がそのままで、sin と tan は符号が反転するのがポイントです。
③ 補角の公式(π±θ)
\(\pi\)(180°)をはさんだ角は、\(\sin(\pi\pm\theta)=\mp\sin\theta\)、\(\cos(\pi\pm\theta)=-\cos\theta\)、\(\tan(\pi\pm\theta)=\pm\tan\theta\) です。
\(\pi\) が入っても 関数の種類(sin・cos・tan)は変わりません。
④ 余角の公式(π/2±θ)
\(\frac{\pi}{2}\)(90°)をはさんだ角は、\(\sin\left(\frac{\pi}{2}\pm\theta\right)=\cos\theta\)、\(\cos\left(\frac{\pi}{2}\pm\theta\right)=\mp\sin\theta\)、\(\tan\left(\frac{\pi}{2}\pm\theta\right)=\mp\frac{1}{\tan\theta}\) です。
こちらは sin と cos が 入れかわる のが特徴です。
公式は覚えなくてOK!還元公式の2ステップ解法

4グループ×3個…12個も暗記するんですか?

しなくて大丈夫! 実は判断するのは たった2つ。この2ステップだけ覚えれば全部その場で作れるよ。
ステップ①:関数の種類を判断する
角に \(\frac{\pi}{2}\) や \(\frac{3}{2}\pi\)(=90°や270°)があるときは、sin→cos、cos→sin、\(\tan\)→\(\frac{1}{\tan}\) と 関数が入れかわります。
いっぽう \(\pi\)(180°)や \(2\pi\) しかないときは、関数の種類は変わりません。
ステップ②:符号(±)を判断する
変形後につける符号は、もとの式の \(\theta\) に鋭角(第1象限の角)を代入したとき、もとの式が何象限にあるかで決めます。
その象限での三角関数の符号が、そのまま答えの符号になります。

「関数が変わるか?」→「符号は?」の順に見るだけ。やってみよう。
例:sin(π+θ) と cos(θ−π/2) でやってみる
まず \(\sin(\pi+\theta)\)。
\(\pi\) があるだけなので、ステップ①より 関数は変わらず \(\sin\) のまま。
次に符号は、\(\theta\) を鋭角とすると \(\pi+\theta\) は第3象限にあり、そこでの \(\sin\) は負。

よって \(\sin(\pi+\theta)=\color{red}{-\sin\theta}\) です。
次に \(\cos\left(\theta-\frac{\pi}{2}\right)\)。
\(\frac{\pi}{2}\) があるので、ステップ①より cos→sin に 入れかわります。
符号は、\(\theta\) を鋭角とすると \(\theta-\frac{\pi}{2}\) は第4象限にあり、そこでの \(\cos\) は正。

よって \(\cos\left(\theta-\frac{\pi}{2}\right)=\color{red}{\sin\theta}\) です。

暗記じゃなくて、その場で作れるんですね!
例題:大きい角・負の角の値を求める
\(\sin\frac{11}{3}\pi\) の値を求めよ。
考え方

大きい角は、まず \(2\pi\) を引いて \(0\sim2\pi\) におさめよう。
\(\sin\frac{11}{3}\pi=\sin\left(\frac{11}{3}\pi-2\pi\right)=\sin\frac{5}{3}\pi\)
\(\frac{5}{3}\pi\) は \(2\pi-\frac{\pi}{3}\) なので、負角の考え方で \(\sin\frac{\pi}{3}\) に持っていけます。
\(\phantom{\sin\frac{11}{3}\pi}=\sin\left(-\frac{\pi}{3}\right)=-\sin\frac{\pi}{3}=\color{red}{-\frac{\sqrt3}{2}}\)
\(\cos\left(-\frac{7}{6}\pi\right)\) の値を求めよ。
考え方

マイナスの角は、まず負角の公式でプラスに直すと考えやすいよ。
\(\cos\left(-\frac{7}{6}\pi\right)=\cos\frac{7}{6}\pi\)
\(\frac{7}{6}\pi=\pi+\frac{\pi}{6}\) だから、補角の公式(\(\pi\) なので関数は \(\cos\) のまま、第3象限で \(\cos\) は負)を使います。
\(\phantom{\cos\left(-\frac{7}{6}\pi\right)}=\cos\left(\pi+\frac{\pi}{6}\right)=-\cos\frac{\pi}{6}=\color{red}{-\frac{\sqrt3}{2}}\)

「2πで戻す → 鋭角にそろえる」の流れ、つかめてきました!
練習問題(13・14・16・17)
答えは各問題のすぐ下につけています。
まず自分で「\(2\pi\) で戻す → 鋭角にそろえる」をやってから確認してみましょう。
次の値を求めよ。
(1) \(\sin\frac{8}{3}\pi=\sin\frac{2}{3}\pi=\color{red}{\frac{\sqrt3}{2}}\)
(2) \(\cos\frac{13}{2}\pi=\cos\frac{\pi}{2}=\color{red}{0}\)
(3) \(\tan\frac{17}{4}\pi=\tan\frac{\pi}{4}=\color{red}{1}\)
次の値を求めよ。
(1) \(\sin\left(-\frac{\pi}{6}\right)=-\sin\frac{\pi}{6}=\color{red}{-\frac{1}{2}}\)
(2) \(\cos\left(-\frac{11}{4}\pi\right)=\cos\frac{11}{4}\pi=\cos\frac{3}{4}\pi=\color{red}{-\frac{\sqrt2}{2}}\)
(3) \(\tan\left(-\frac{13}{6}\pi\right)=-\tan\frac{13}{6}\pi=-\tan\frac{\pi}{6}=\color{red}{-\frac{1}{\sqrt3}}\)
次の値を求めよ。
(1) \(\sin\frac{19}{6}\pi=\sin\frac{7}{6}\pi=\color{red}{-\frac{1}{2}}\)
(2) \(\cos\left(-\frac{15}{4}\pi\right)=\cos\frac{15}{4}\pi=\cos\frac{7}{4}\pi=\color{red}{\frac{\sqrt2}{2}}\)
(3) \(\tan\frac{20}{3}\pi=\tan\frac{2}{3}\pi=\color{red}{-\sqrt3}\)
次の値を、巻頭見返しの三角関数の表を用いて求めよ。まず \(0^\circ\sim90^\circ\) の角にそろえてから表を引きます。
(1) \(\sin436^\circ=\sin76^\circ\approx\color{red}{0.9703}\)
(2) \(\cos(-230^\circ)=\cos230^\circ=-\cos50^\circ\approx\color{red}{-0.6428}\)
(3) \(\tan815^\circ=\tan95^\circ=-\tan85^\circ\approx\color{red}{-11.43}\)
まとめ:三角関数の還元公式

さて、今回のまとめだよ!
どんな角でも、周期性で \(0\sim2\pi\) に → 2ステップで \(0\sim\frac{\pi}{2}\) にそろえれば値が出せる。
① 関数の種類:\(\frac{\pi}{2},\frac{3}{2}\pi\) → sin↔cos が入れかわる/\(\pi\) → 変わらない。
② 符号:\(\theta\) に鋭角を代入し、もとの式が何象限にあるかで \(\pm\) を決める。

また一つ賢くなった!




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