【数学Ⅱ】三角関数03:三角関数の還元公式

三角関数
さん
さん

今日の板書はこれ!

三角関数の還元公式(角度を0〜90°にそろえる)

どんな角の \(\sin,\cos,\tan\) も、次の公式で 0〜\(\frac{\pi}{2}\)(鋭角) の値に直せます(複号同順)。

角の変形\(\sin\)\(\cos\)\(\tan\)
\(\theta+2n\pi\)\(\sin\theta\)\(\cos\theta\)\(\tan\theta\)
\(-\theta\)\(-\sin\theta\)\(\cos\theta\)\(-\tan\theta\)
\(\pi\pm\theta\)\(\mp\sin\theta\)\(-\cos\theta\)\(\pm\tan\theta\)
\(\frac{\pi}{2}\pm\theta\)\(\cos\theta\)\(\mp\sin\theta\)\(\mp\frac{1}{\tan\theta}\)

覚え方(2ステップ)

① 関数の種類:\(\frac{\pi}{2},\frac{3}{2}\pi\) があると sincos が入れかわる。\(\pi\) なら関数は変わらない。

② 符号:\(\theta\) に鋭角を入れたとき、もとの式が何象限にあるかで \(\pm\) を決める。

生徒
生徒

もっと詳しく教えてください!!

現役教員として数学を教えている「さん」と申します。

人より勉強に時間がかかる」と感じていませんか?教科書や参考書を理解するには、「自分なりに噛み砕いて考える力」が必要です。

このサイトでは、私が受けた質問やつまずきポイントをもとに、意味から理解できるように解説していきます。

還元公式とは? ―「角度を0〜90°にそろえる」変形

さん
さん

前回までで、いろいろな角の \(\sin,\cos,\tan\) を考えてきたよね。

生徒
生徒

はい。でも \(\frac{8}{3}\pi\) みたいな大きい角や、\(-\frac{\pi}{6}\) みたいなマイナスの角は、値がパッと出せません…。

さん
さん

そこで使うのが 還元公式。どんな角でも、最後は 0〜\(\frac{\pi}{2}\)(=0°〜90°の鋭角) の値に「還元(もどす)」できる公式だよ。

鋭角の \(\sin,\cos,\tan\) の値は覚えている(または三角関数の表で引ける)ので、どんな角もそこまで持っていければ値が分かります。

還元公式は、その「持っていき方」のルールをまとめたものです。

まずは4つの公式を整理しよう

さん
さん

公式は全部で4グループ。板書の表を1つずつ見ていくよ。

① 周期性(2πたしても変わらない)

三角関数は \(2\pi\)(360°)ごとに同じ値をくり返します。

だから \(n\) を整数として \(\sin(\theta+2n\pi)=\sin\theta\) のように、\(2\pi\) の整数倍は足しても引いても値は変わりません。

大きい角はまず \(2\pi\) を引いて \(0\sim2\pi\) におさめるのが第一歩です。

② 負角の公式(−θ)

符号をマイナスにした角は、\(\sin(-\theta)=-\sin\theta\)、\(\cos(-\theta)=\cos\theta\)、\(\tan(-\theta)=-\tan\theta\) となります。

cos だけは符号がそのままで、sin と tan は符号が反転するのがポイントです。

③ 補角の公式(π±θ)

\(\pi\)(180°)をはさんだ角は、\(\sin(\pi\pm\theta)=\mp\sin\theta\)、\(\cos(\pi\pm\theta)=-\cos\theta\)、\(\tan(\pi\pm\theta)=\pm\tan\theta\) です。

\(\pi\) が入っても 関数の種類(sin・cos・tan)は変わりません

④ 余角の公式(π/2±θ)

\(\frac{\pi}{2}\)(90°)をはさんだ角は、\(\sin\left(\frac{\pi}{2}\pm\theta\right)=\cos\theta\)、\(\cos\left(\frac{\pi}{2}\pm\theta\right)=\mp\sin\theta\)、\(\tan\left(\frac{\pi}{2}\pm\theta\right)=\mp\frac{1}{\tan\theta}\) です。

こちらは sincos入れかわる のが特徴です。

公式は覚えなくてOK!還元公式の2ステップ解法

生徒
生徒

4グループ×3個…12個も暗記するんですか?

さん
さん

しなくて大丈夫! 実は判断するのは たった2つ。この2ステップだけ覚えれば全部その場で作れるよ。

ステップ①:関数の種類を判断する

角に \(\frac{\pi}{2}\) や \(\frac{3}{2}\pi\)(=90°や270°)があるときは、sincoscossin、\(\tan\)→\(\frac{1}{\tan}\) と 関数が入れかわります

いっぽう \(\pi\)(180°)や \(2\pi\) しかないときは、関数の種類は変わりません

ステップ②:符号(±)を判断する

変形後につける符号は、もとの式の \(\theta\) に鋭角(第1象限の角)を代入したとき、もとの式が何象限にあるかで決めます。

その象限での三角関数の符号が、そのまま答えの符号になります。

さん
さん

「関数が変わるか?」→「符号は?」の順に見るだけ。やってみよう。

例:sin(π+θ) と cos(θ−π/2) でやってみる

まず \(\sin(\pi+\theta)\)。

\(\pi\) があるだけなので、ステップ①より 関数は変わらず \(\sin\) のまま

次に符号は、\(\theta\) を鋭角とすると \(\pi+\theta\) は第3象限にあり、そこでの \(\sin\) は負。

よって \(\sin(\pi+\theta)=\color{red}{-\sin\theta}\) です。

次に \(\cos\left(\theta-\frac{\pi}{2}\right)\)。

\(\frac{\pi}{2}\) があるので、ステップ①より cossin入れかわります

符号は、\(\theta\) を鋭角とすると \(\theta-\frac{\pi}{2}\) は第4象限にあり、そこでの \(\cos\) は正。

よって \(\cos\left(\theta-\frac{\pi}{2}\right)=\color{red}{\sin\theta}\) です。

生徒
生徒

暗記じゃなくて、その場で作れるんですね!

例題:大きい角・負の角の値を求める

例題1

\(\sin\frac{11}{3}\pi\) の値を求めよ。

考え方

さん
さん

大きい角は、まず \(2\pi\) を引いて \(0\sim2\pi\) におさめよう。

\(\sin\frac{11}{3}\pi=\sin\left(\frac{11}{3}\pi-2\pi\right)=\sin\frac{5}{3}\pi\)

\(\frac{5}{3}\pi\) は \(2\pi-\frac{\pi}{3}\) なので、負角の考え方で \(\sin\frac{\pi}{3}\) に持っていけます。

\(\phantom{\sin\frac{11}{3}\pi}=\sin\left(-\frac{\pi}{3}\right)=-\sin\frac{\pi}{3}=\color{red}{-\frac{\sqrt3}{2}}\)

例題2

\(\cos\left(-\frac{7}{6}\pi\right)\) の値を求めよ。

考え方

さん
さん

マイナスの角は、まず負角の公式でプラスに直すと考えやすいよ。

\(\cos\left(-\frac{7}{6}\pi\right)=\cos\frac{7}{6}\pi\)

\(\frac{7}{6}\pi=\pi+\frac{\pi}{6}\) だから、補角の公式(\(\pi\) なので関数は \(\cos\) のまま、第3象限で \(\cos\) は負)を使います。

\(\phantom{\cos\left(-\frac{7}{6}\pi\right)}=\cos\left(\pi+\frac{\pi}{6}\right)=-\cos\frac{\pi}{6}=\color{red}{-\frac{\sqrt3}{2}}\)

生徒
生徒

「2πで戻す → 鋭角にそろえる」の流れ、つかめてきました!

練習問題(13・14・16・17)

答えは各問題のすぐ下につけています。

まず自分で「\(2\pi\) で戻す → 鋭角にそろえる」をやってから確認してみましょう。

練習13

次の値を求めよ。

(1) \(\sin\frac{8}{3}\pi=\sin\frac{2}{3}\pi=\color{red}{\frac{\sqrt3}{2}}\)

(2) \(\cos\frac{13}{2}\pi=\cos\frac{\pi}{2}=\color{red}{0}\)

(3) \(\tan\frac{17}{4}\pi=\tan\frac{\pi}{4}=\color{red}{1}\)

練習14

次の値を求めよ。

(1) \(\sin\left(-\frac{\pi}{6}\right)=-\sin\frac{\pi}{6}=\color{red}{-\frac{1}{2}}\)

(2) \(\cos\left(-\frac{11}{4}\pi\right)=\cos\frac{11}{4}\pi=\cos\frac{3}{4}\pi=\color{red}{-\frac{\sqrt2}{2}}\)

(3) \(\tan\left(-\frac{13}{6}\pi\right)=-\tan\frac{13}{6}\pi=-\tan\frac{\pi}{6}=\color{red}{-\frac{1}{\sqrt3}}\)

練習16

次の値を求めよ。

(1) \(\sin\frac{19}{6}\pi=\sin\frac{7}{6}\pi=\color{red}{-\frac{1}{2}}\)

(2) \(\cos\left(-\frac{15}{4}\pi\right)=\cos\frac{15}{4}\pi=\cos\frac{7}{4}\pi=\color{red}{\frac{\sqrt2}{2}}\)

(3) \(\tan\frac{20}{3}\pi=\tan\frac{2}{3}\pi=\color{red}{-\sqrt3}\)

練習17

次の値を、巻頭見返しの三角関数の表を用いて求めよ。まず \(0^\circ\sim90^\circ\) の角にそろえてから表を引きます。

(1) \(\sin436^\circ=\sin76^\circ\approx\color{red}{0.9703}\)

(2) \(\cos(-230^\circ)=\cos230^\circ=-\cos50^\circ\approx\color{red}{-0.6428}\)

(3) \(\tan815^\circ=\tan95^\circ=-\tan85^\circ\approx\color{red}{-11.43}\)

まとめ:三角関数の還元公式

さん
さん

さて、今回のまとめだよ!

三角関数の還元公式(まとめ)

どんな角でも、周期性で \(0\sim2\pi\) に2ステップで \(0\sim\frac{\pi}{2}\) にそろえれば値が出せる。

① 関数の種類:\(\frac{\pi}{2},\frac{3}{2}\pi\) → sincos が入れかわる/\(\pi\) → 変わらない。

② 符号:\(\theta\) に鋭角を代入し、もとの式が何象限にあるかで \(\pm\) を決める。

生徒
生徒

また一つ賢くなった!

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