
今日の板書はこれ!
① 一般角:始線から動径をどれだけ回したかで角を表す。反時計回りが 正の角、時計回りが 負の角。
同じ位置の動径は \(\theta + 360^\circ \times n\)(\(n\) は整数)で表せる。
② 弧度法:\(\color{red}{180^\circ = \pi}\) を基準に、度数法 ⇄ 弧度法を変換する。
③ 扇形(半径 \(r\)、中心角 \(\theta\) ラジアン):弧の長さ \(\color{red}{\ell = r\theta}\)、面積 \(\color{red}{S = \frac{1}{2}r^2\theta = \frac{1}{2}\ell r}\)。
④ 三角関数の値:単位円との交点が \((\cos\theta,\ \sin\theta)\)。象限で符号、基準の角で大きさを決める。

もっと詳しく願いします!!
現役教員として数学を教えている「さん」と申します。
「人より勉強に時間がかかる」と感じていませんか?教科書や参考書を理解するには、「自分なりに噛み砕いて考える力」が必要です。
このサイトでは、私が受けた質問やつまずきポイントをもとに、意味から理解できるように解説していきます。
一般角とは?(動径と始線で角を考える)

そもそも「一般角」ってなんですか?数Ⅰの三角比では、角は 0° から 180° くらいまでしか出てこなかった気がします。

いいところに気づいたね。三角比では角を 0° 〜 180° の範囲で考えていたけれど、三角関数ではその制限をはずして、もっと自由な角まで考えられるようにするんだ。それが一般角だよ。
動径と始線
平面上に点 O を決めて、O を端点とする半直線を考えます。
この半直線を、点 O を中心にして回転させたものを 動径(どうけい)といいます。
そして、回転を測るときの基準になる最初の半直線を 始線(しせん)といいます。
角とは「始線から動径をどれだけ回したか」を表す量だと考え直すのがポイントです。


時計の針をイメージするとわかりやすいよ。中心が O、針が動径、スタート位置が始線だね。
正の角と負の角
回転には向きがあります。
反時計回りに回したときの角を 正の角、時計回りに回したときの角を 負の角 とします。
たとえば反時計回りに 90° 回せば \(+90^\circ\)、時計回りに 90° 回せば \(-90^\circ\) です。

回す向きで符号が変わるんですね!
360°回ると元に戻る ― 一般角の表し方
動径は 360° 回ると 1 周してもとの位置に戻ります。
ということは、ある角 \(\theta\) の動径と、そこからさらに何周か回した角の動径は、同じ位置にあります。
これを式で書くと \(\color{red}{\theta + 360^\circ \times n}\)(\(n\) は整数)です。
たとえば \(60^\circ\) の動径は、\(420^\circ\)(\(=60^\circ + 360^\circ\))や \(-300^\circ\)(\(=60^\circ – 360^\circ\))の動径と同じ位置にあります。
例題で確認しよう
次の角の動径を図示してみよう。(1) \(210^\circ\) (2) \(405^\circ\) (3) \(-60^\circ\)




それぞれ「何度の位置か」を分けて考えるよ。(1) は \(210^\circ = 180^\circ + 30^\circ\) だから、真左からさらに 30° 回した位置。(2) は \(405^\circ = 360^\circ + 45^\circ\) だから、1 周してから 45° = \(45^\circ\) と同じ位置。(3) は時計回りに 60° なので、右下の位置だね。
次の角のうち、その動径が \(60^\circ\) の動径と同じ位置にある角はどれだろう。\(300^\circ,\ 420^\circ,\ 1140^\circ,\ -60^\circ,\ -300^\circ,\ -780^\circ\)

「\(60^\circ + 360^\circ \times n\) の形になるか?」を一つずつ確かめればいいよ。言いかえると、その角から 60° を引いた数が 360° の倍数になっていれば同じ位置だね。
順に調べます。
\(420^\circ – 60^\circ = 360^\circ\)、\(1140^\circ – 60^\circ = 1080^\circ = 360^\circ \times 3\)、\(-300^\circ – 60^\circ = -360^\circ\) は、いずれも 360° の倍数なので同じ位置です。
一方 \(300^\circ,\ -60^\circ,\ -780^\circ\) は 360° の倍数になりません。
よって答えは \(\color{red}{420^\circ,\ 1140^\circ,\ -300^\circ}\) です。

引いて 360 の倍数になるか見ればいいんですね!
弧度法とは?(ラジアンで角を測る)

次の「弧度法」って何ですか?π が出てくるやつですよね…なんで度(°)じゃダメなんですか?

度数法(°)は 1 周を 360 等分する決め方だけど、これは人間が便宜的に決めた数字なんだ。数学では、円そのものの性質を使った、もっと自然な角の測り方をしたい。それが弧度法だよ。
弧度法の考え方(弧の長さ÷半径)
弧度法では、角の大きさを「弧の長さ を 半径 で割った値」で定義します。
同じ中心角なら、扇形が大きくても小さくても、弧の長さと半径の比は一定になります。
だからこの比で角を測れるのです。

特に 半径 1 の円で考えると、角の大きさはそのまま 弧の長さ と一致するので、とても扱いやすくなります。
この単位を「ラジアン」といいますが、ふだんは単位を省略して数値だけで書きます。
度数法と弧度法の変換(180°=π が基準)
変換のカギはたった 1 つ、\(\color{red}{180^\circ = \pi}\) です。
半径 1 の円の周の長さは \(2\pi\) で、これが 1 周 = 360° にあたるので \(360^\circ = 2\pi\)、その半分が \(180^\circ = \pi\) というわけです。
ここから、度をラジアンに直すには \(\color{deepskyblue}{\frac{\pi}{180}}\) を掛け、ラジアンを度に直すには \(\color{hotpink}{\frac{180}{\pi}}\) を掛ければよい、とわかります。
(1) \(210^\circ\) を弧度法で表そう。(2) \(\frac{5}{4}\pi\) を度数法で表そう。

(1) は \(\frac{\pi}{180}\) を掛けて \(210 \times \frac{\pi}{180} = \color{red}{\frac{7}{6}\pi}\)。(2) は \(\frac{180}{\pi}\) を掛けて \(\frac{5}{4}\pi \times \frac{180}{\pi} = \color{red}{225^\circ}\) だね。

掛けるだけだ!意外とかんたん!
よく使う角は、変換結果を覚えてしまうと速いです。
| 度数法 | 0° | 30° | 45° | 60° | 90° | 180° | 270° | 360° |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 弧度法 | \(0\) | \(\frac{\pi}{6}\) | \(\frac{\pi}{4}\) | \(\frac{\pi}{3}\) | \(\frac{\pi}{2}\) | \(\pi\) | \(\frac{3}{2}\pi\) | \(2\pi\) |
扇形の弧の長さと面積

弧度法のいいところは、扇形の計算がすっきりすることなんだ。
公式
半径 \(r\)、中心角 \(\theta\)(ラジアン)の扇形について、弧の長さ \(\ell\) と面積 \(S\) は次の式で求められます。
\(\color{red}{\ell = r\theta}\)
\(\color{red}{S = \frac{1}{2}r^2\theta = \frac{1}{2}\ell r}\)
なぜこの式になるの?
円全体(中心角 \(2\pi\))の円周は \(2\pi r\)、面積は \(\pi r^2\) です。
扇形はその一部なので、中心角の割合 \(\frac{\theta}{2\pi}\) を掛ければよく、\(\ell = 2\pi r \times \frac{\theta}{2\pi} = r\theta\)、\(S = \pi r^2 \times \frac{\theta}{2\pi} = \frac{1}{2}r^2\theta\) となります。

度数法だと \(\frac{\theta}{360}\) を掛けていたのが、\(\frac{\theta}{2\pi}\) になっただけなんですね。
半径 \(10\)、中心角 \(\frac{\pi}{6}\) の扇形の弧の長さ \(\ell\) と面積 \(S\) を求めよう。

公式に当てはめるだけだよ。弧の長さは \(\ell = 10 \times \frac{\pi}{6} = \color{red}{\frac{5}{3}\pi}\)。面積は \(S = \frac{1}{2} \times 10^2 \times \frac{\pi}{6} = \color{red}{\frac{25}{3}\pi}\) だね。
弧度法での三角関数の値(単位円)

角を弧度法で表せるようになったけど、その角の sin や cos の値はどうやって求めるんですか?

ここで「単位円」が主役になるよ。半径 1 の円を使うと、三角関数の値を座標として読み取れるんだ。
単位円による三角関数の定義
原点 O を中心とする半径 1 の円を単位円といいます。
\(x\) 軸の正の向きを始線として、角 \(\theta\) の動径と単位円の交点を考えると、その交点の座標が \(\color{deepskyblue}{(\cos\theta,\ \sin\theta)}\) になります。
つまり \(x\) 座標が \(\color{deepskyblue}{\cos\theta}\)、\(y\) 座標が \(\color{hotpink}{\sin\theta}\) です。
また、正接は \(\color{red}{\tan\theta = \frac{\sin\theta}{\cos\theta} = \frac{y}{x}}\) で、これは動径を延ばした直線と直線 \(x=1\) との交点の \(y\) 座標としても読み取れます。
主要な角の値の求め方
値を求めるときは、まず動径がどの象限にあるかで符号(+か−か)を決め、次に \(\frac{\pi}{6},\ \frac{\pi}{4},\ \frac{\pi}{3}\) などの基準の角と同じ形から大きさを決めます。

たとえば \(\frac{\pi}{4}\) 系なら \(\sin,\ \cos\) の大きさは \(\frac{1}{\sqrt{2}}\)、\(\tan\) は \(1\)。
\(\frac{\pi}{6},\ \frac{\pi}{3}\) 系なら \(\frac{1}{2}\) または \(\frac{\sqrt{3}}{2}\)、\(\tan\) は \(\frac{1}{\sqrt{3}}\) または \(\sqrt{3}\) です。
次の \(\theta\) について、\(\sin\theta,\ \cos\theta,\ \tan\theta\) の値を求めよう。(1) \(\theta=\frac{5}{4}\pi\) (2) \(\theta=\frac{11}{6}\pi\) (3) \(\theta=-\frac{\pi}{3}\)

(1) \(\frac{5}{4}\pi\) は \(225^\circ\)、第 3 象限だね。第 3 象限では \(x,\ y\) ともに負。基準は \(\frac{\pi}{4}\) 型だから大きさは \(\frac{1}{\sqrt{2}}\)。
よって \(\sin\frac{5}{4}\pi = \color{red}{-\frac{1}{\sqrt{2}}}\) です。
\(\cos\frac{5}{4}\pi = \color{red}{-\frac{1}{\sqrt{2}}}\) です。
\(\tan\frac{5}{4}\pi = \color{red}{1}\) です。

(2) \(\frac{11}{6}\pi\) は \(330^\circ\)、第 4 象限。第 4 象限は \(x\) が正、\(y\) が負。基準は \(\frac{\pi}{6}\) 型だよ。
したがって \(\sin\frac{11}{6}\pi = \color{red}{-\frac{1}{2}}\) です。
\(\cos\frac{11}{6}\pi = \color{red}{\frac{\sqrt{3}}{2}}\) です。
\(\tan\frac{11}{6}\pi = \color{red}{-\frac{1}{\sqrt{3}}}\) です。

(3) \(-\frac{\pi}{3}\) は時計回りに 60°、\(300^\circ\) と同じ位置で第 4 象限。基準は \(\frac{\pi}{3}\) 型。
よって \(\sin\left(-\frac{\pi}{3}\right) = \color{red}{-\frac{\sqrt{3}}{2}}\) です。
\(\cos\left(-\frac{\pi}{3}\right) = \color{red}{\frac{1}{2}}\) です。
\(\tan\left(-\frac{\pi}{3}\right) = \color{red}{-\sqrt{3}}\) です。

象限で符号、基準の角で大きさ。この 2 ステップですね!
まとめ:一般角と弧度法

さて、今回のまとめだよ!
一般角:始線から動径を回した量。反時計回りが正、時計回りが負。同じ位置は \(\theta + 360^\circ \times n\)。
弧度法:\(\color{red}{180^\circ = \pi}\) が基準。度→ラジアンは \(\times\frac{\pi}{180}\)、ラジアン→度は \(\times\frac{180}{\pi}\)。
扇形:\(\color{red}{\ell = r\theta}\)、\(\color{red}{S = \frac{1}{2}r^2\theta = \frac{1}{2}\ell r}\)。
三角関数の値:単位円の交点が \((\cos\theta,\ \sin\theta)\)。象限で符号、基準の角で大きさ。

また一つ賢くなった!





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