
今日の板書はこれ!
[1] 係数は前に出せる・関数は分けられる
\(\int_a^b \{kf(x)\pm lg(x)\}\,dx=k\int_a^b f(x)\,dx\pm l\int_a^b g(x)\,dx\)
[2] 上端と下端が同じなら値は 0
\(\int_a^a f(x)\,dx=0\)
[3] − をつけると上端と下端を入れかえられる
\(\int_a^b f(x)\,dx=-\int_b^a f(x)\,dx\)
[4] 区間をつなげられる
\(\int_a^b f(x)\,dx+\int_b^c f(x)\,dx=\int_a^c f(x)\,dx\)
次の定積分を求めよ。
(1) \(\int_1^2 (x^2+3x)\,dx+\int_1^2 (x^2-3x)\,dx\)
(2) \(\int_0^1 (x^2-x)\,dx-\int_2^1 (x^2-x)\,dx\)
▼ 解答
(1) \(\int_1^2 (x^2+3x)\,dx+\int_1^2 (x^2-3x)\,dx\)
\(=\int_1^2 \{(x^2+3x)+(x^2-3x)\}\,dx\)
\(=\int_1^2 2x^2\,dx=2\left[\frac{1}{3}x^3\right]_1^2\)
\(=\frac{2}{3}(8-1)\)
\(=\frac{14}{3}\)
区間が同じなので、性質[1]より1つの定積分にまとめる。
(2) \(\int_0^1 (x^2-x)\,dx-\int_2^1 (x^2-x)\,dx\)
\(=\int_0^1 (x^2-x)\,dx+\int_1^2 (x^2-x)\,dx\)
\(=\int_0^2 (x^2-x)\,dx\)
\(=\left[\frac{1}{3}x^3-\frac{1}{2}x^2\right]_0^2\)
\(=\frac{8}{3}-2\)
\(=\frac{2}{3}\)
性質[3]で 上端と下端を入れかえ、性質[4]で 区間をつなげる。

もっと詳しく願いします!!
現役教員として数学を教えている「さん」と申します。
「人より勉強に時間がかかる」と感じていませんか?私の学校にも、同じ悩みを抱えて苦しんでる生徒がたくさんいます。
「教科書や参考書の内容がわからなくて、読むのに時間がかかる」「解答の意味が理解できず、勉強が進まない」教科書や参考書の内容を理解するには、「自分なりに噛み砕いて考える力」が必要です。
でも大丈夫!このサイトでは、私が受けた質問や、つまずきポイントをもとに、わかりやすく解説していきます。
意味から理解し、噛み砕き方をマスターしましょう!!
定積分の性質とは?

前回は定積分の計算をしたね。例題の別解で、係数を外に出して項ごとに計算したのを覚えているかな?

覚えてます!でも、どうしてあんなふうに分けて計算していいんですか?

今回はその理由を説明するよ。あわせて、上端と下端を入れかえる、区間をつなげるといった、定積分ならではの性質も見ていこう!
定積分の性質は、すべて定積分の定義から説明できます。
\(f(x)\) の不定積分の1つを \(F(x)\) とすると、定積分は
\(\int_a^b f(x)\,dx=F(b)-F(a)\)
で計算するのでした。
この「上端の値から下端の値をひく」という形にもどって考えるのがポイントです。
性質[1]:係数を前に出す・分けて計算する(具体例)
まず \(\int_0^1 (6x^2+2x)\,dx\) をそのまま計算してみます。
\(\int_0^1 (6x^2+2x)\,dx=\left[2x^3+x^2\right]_0^1=2+1=3\)
となります。
次に、項ごとに分けて、係数を前に出してから計算してみます。
\(6\int_0^1 x^2\,dx+2\int_0^1 x\,dx\)
\(=6\left[\frac{1}{3}x^3\right]_0^1+2\left[\frac{1}{2}x^2\right]_0^1\)
\(=6\cdot\frac{1}{3}+2\cdot\frac{1}{2}=3\)
となり、同じ値になります。

本当だ、どっちで計算しても 3 になった!
性質[1]を一般化する
\(F'(x)=f(x)\)、\(G'(x)=g(x)\) とします。
不定積分の性質から、
\(kF(x)+lG(x)\) は \(kf(x)+lg(x)\) の不定積分の1つです。
したがって、
\(\int_a^b \{kf(x)+lg(x)\}\,dx\)
\(=\{kF(b)+lG(b)\}-\{kF(a)+lG(a)\}\)
\(=k\{F(b)-F(a)\}+l\{G(b)-G(a)\}\)
\(=k\int_a^b f(x)\,dx+l\int_a^b g(x)\,dx\)
となります。
ひき算のときも同じように考えられるので、
\(\int_a^b \{kf(x)\pm lg(x)\}\,dx\)
\(=k\int_a^b f(x)\,dx\pm l\int_a^b g(x)\,dx\)
が成り立ちます。

つまり、不定積分でできた「係数を前に出す」「項ごとに分ける」は、定積分でもそのまま使えるということだよ。前回の別解は、この性質を使っていたんだね。
性質[2][3]:上端と下端の関係(具体例)
上端と下端が同じ \(\int_3^3 x\,dx\) を計算すると、
\(\int_3^3 x\,dx=\left[\frac{1}{2}x^2\right]_3^3=\frac{9}{2}-\frac{9}{2}=0\)
となります。
次に、\(\int_1^3 x\,dx\) と、上端と下端を入れかえた \(\int_3^1 x\,dx\) を比べてみます。
\(\int_1^3 x\,dx=\left[\frac{1}{2}x^2\right]_1^3=\frac{9}{2}-\frac{1}{2}=4\)、
\(\int_3^1 x\,dx=\left[\frac{1}{2}x^2\right]_3^1=\frac{1}{2}-\frac{9}{2}=-4\)
となり、符号だけが逆になります。

入れかえると、ひく順番が逆になるからマイナスがつくんですね!
性質[2][3]を一般化する
上端と下端が同じときは、
\(\int_a^a f(x)\,dx=F(a)-F(a)=0\)
となるので、
\(\int_a^a f(x)\,dx=0\)
また、
\(\int_b^a f(x)\,dx=F(a)-F(b)=-\{F(b)-F(a)\}\)
なので、
\(\int_a^b f(x)\,dx=-\int_b^a f(x)\,dx\)
が成り立ちます。

「−」をつければ上端と下端を入れかえられる、と覚えておこう。式の前の「−」を「+」にかえたいときに大活躍するよ!
性質[4]:区間をつなげる(具体例)
\(\int_0^1 x\,dx\) と \(\int_1^3 x\,dx\) をたしてみます。
\(\int_0^1 x\,dx=\frac{1}{2}\)、\(\int_1^3 x\,dx=4\)
なので、和は \(\frac{9}{2}\) です。
一方、区間を 0 から 3 までまとめた \(\int_0^3 x\,dx\) を計算すると、
\(\int_0^3 x\,dx=\left[\frac{1}{2}x^2\right]_0^3=\frac{9}{2}\)
となり、同じ値になります。
性質[4]を一般化する
\(\int_a^b f(x)\,dx+\int_b^c f(x)\,dx\)
\(=\{F(b)-F(a)\}+\{F(c)-F(b)\}\)
\(=F(c)-F(a)\)
となり、途中の \(F(b)\) が消えます。
よって
\(\int_a^b f(x)\,dx+\int_b^c f(x)\,dx=\int_a^c f(x)\,dx\)
が成り立ちます。

1つ目の上端と2つ目の下端が同じ \(b\) なら、区間 \(a\to b\) と \(b\to c\) をつないで \(a\to c\) にできるよ。式の上では、\(b\) が \(a\) と \(c\) の間になくても成り立つんだ。

しりとりみたいに、つながっていればいいんですね!
例題1(1):同じ区間の定積分をまとめよう
次の定積分を求めよ。
(1) \(\int_1^2 (x^2+3x)\,dx+\int_1^2 (x^2-3x)\,dx\)
考え方

2つの定積分は、どちらも区間が 1 から 2 までで同じだね。性質[1]を逆向きに使うと、1つの定積分にまとめられるよ。
別々に計算することもできますが、まとめると \(3x\) と \(-3x\) が打ち消し合うので、計算が楽になります。
解いてみよう
性質[1]より、
\(\int_1^2 (x^2+3x)\,dx+\int_1^2 (x^2-3x)\,dx\)
\(=\int_1^2 \{(x^2+3x)+(x^2-3x)\}\,dx\)
\(=\int_1^2 2x^2\,dx\)
となります。
係数の 2 を前に出して、
\(2\left[\frac{1}{3}x^3\right]_1^2=\frac{2}{3}(8-1)=\)\(\frac{14}{3}\)
です。

まとめたら \(x\) の項が消えて、すごく楽になった!
例題1(2):上端と下端を入れかえて区間をつなげよう
次の定積分を求めよ。
(2) \(\int_0^1 (x^2-x)\,dx-\int_2^1 (x^2-x)\,dx\)
考え方

今度は区間が \(0\to 1\) と \(2\to 1\) でバラバラだね。でも、2つ目の前にある「−」に注目しよう!
性質[3]を使うと、「−」をとるかわりに上端と下端を入れかえられるので、\(-\int_2^1\) は \(+\int_1^2\) になります。
すると区間が \(0\to 1\) と \(1\to 2\) になり、性質[4]で \(0\to 2\) につなげられます。
解いてみよう
性質[3]より、
\(\int_0^1 (x^2-x)\,dx-\int_2^1 (x^2-x)\,dx\)
\(=\int_0^1 (x^2-x)\,dx+\int_1^2 (x^2-x)\,dx\)
となります。
性質[4]より区間をつなげると、
\(\int_0^2 (x^2-x)\,dx\)
\(=\left[\frac{1}{3}x^3-\frac{1}{2}x^2\right]_0^2\)
\(=\frac{8}{3}-2=\)\(\frac{2}{3}\)
です。

2つ計算するはずが、1回の計算ですんじゃった!
練習問題

練習1は区間が同じだから1つにまとめよう。練習2は上端と下端がつながるように並べかえたり、入れかえたりするのがコツだよ!
次の定積分を求めよ。
\(\int_{-1}^1 (x+2)^2\,dx-\int_{-1}^1 (x-2)^2\,dx\)
答えを見る
\(\int_{-1}^1 (x+2)^2\,dx-\int_{-1}^1 (x-2)^2\,dx\)
\(=\int_{-1}^1 \{(x+2)^2-(x-2)^2\}\,dx\)
\(=\int_{-1}^1 8x\,dx=\left[4x^2\right]_{-1}^1\)
\(=4-4\)
\(=0\)
区間が同じなので1つにまとめてから展開すると、\(x^2\) と定数の項が消え、計算が楽になる。
次の定積分を求めよ。
(1) \(\int_1^2 (3x^2-4x)\,dx+\int_2^3 (3x^2-4x)\,dx\)
(2) \(\int_0^3 (x^2+2x)\,dx-\int_1^3 (x^2+2x)\,dx\)
(3) \(\int_3^{-1} (x^3-4x^2-7)\,dx+\int_2^3 (x^3-4x^2-7)\,dx\)
\(\quad +\int_{-1}^2 (x^3-4x^2-7)\,dx\)
答えを見る
(1) 性質[4]より
\(\int_1^2 (3x^2-4x)\,dx+\int_2^3 (3x^2-4x)\,dx\)
\(=\int_1^3 (3x^2-4x)\,dx\)
\(=\left[x^3-2x^2\right]_1^3\)
\(=(27-18)-(1-2)\)
\(=10\)
(2) 性質[3]より
\(-\int_1^3\) を \(+\int_3^1\) にかえると
\(\int_0^3 (x^2+2x)\,dx-\int_1^3 (x^2+2x)\,dx\)
\(=\int_0^3 (x^2+2x)\,dx+\int_3^1 (x^2+2x)\,dx\)
\(=\int_0^1 (x^2+2x)\,dx\)
\(=\left[\frac{1}{3}x^3+x^2\right]_0^1\)
\(=\frac{1}{3}+1\)
\(=\frac{4}{3}\)
(3) 順番を入れかえて区間をつなげると
\(\int_2^3 (x^3-4x^2-7)\,dx+\int_3^{-1} (x^3-4x^2-7)\,dx\)
\(\quad +\int_{-1}^2 (x^3-4x^2-7)\,dx\)
\(=\int_2^2 (x^3-4x^2-7)\,dx\)
\(=0\)
(3) は区間が \(2\to 3\to -1\to 2\) とつながって元にもどるので、性質[2]より計算しなくても 0 になる。
まとめ:定積分の性質

さて、今回のまとめだよ!
[1] 係数は前に出せる・関数は分けられる
\(\int_a^b \{kf(x)\pm lg(x)\}\,dx\)
\(=k\int_a^b f(x)\,dx\pm l\int_a^b g(x)\,dx\)
[2] 上端と下端が同じなら値は 0
\(\int_a^a f(x)\,dx=0\)
[3] − をつけると上端と下端を入れかえられる
\(\int_a^b f(x)\,dx=-\int_b^a f(x)\,dx\)
[4] 区間をつなげられる
\(\int_a^b f(x)\,dx+\int_b^c f(x)\,dx=\int_a^c f(x)\,dx\)
いずれも、\(F'(x)=f(x)\) とするとき
\(\int_a^b f(x)\,dx=F(b)-F(a)\)
から導かれる。
区間が同じ定積分は1つにまとめ、区間がつながる定積分は上端と下端をそろえてつなげる。

また一つ賢くなった!







コメント