
今日の板書はこれ!
■ 母比率と標本比率
特性Aの母比率 \(\color{#8E44AD}{p}\):母集団の中で特性Aをもつ要素の割合
特性Aの標本比率 \(R\):標本の中で特性Aをもつ要素の割合
■ 標本比率の分布
母比率 \(\color{#8E44AD}{p}\) の母集団から大きさ \(n\) の無作為標本を抽出するとき、\(n\) が十分大きければ、標本比率 \(R\) は近似的に次の正規分布に従う。
\(N\left(\color{#8E44AD}{p},\ \frac{\color{#8E44AD}{p}(1-\color{#8E44AD}{p})}{n}\right)\)
■ 標準化
次のようにおくと、\(Z\) は近似的に標準正規分布 \(N(0,\ 1)\) に従う。
\(Z=\frac{R-\color{#8E44AD}{p}}{\sqrt{\frac{\color{#8E44AD}{p}(1-\color{#8E44AD}{p})}{n}}}\)
10万本の当たりくじを含む100万本のくじの中から900本引いたとき、当たりくじの割合を \(R\) とする。\(P\left(\left|R-\frac{1}{10}\right|\leq 0.01\right)\) を求めよ。
▼ 解答
母比率は \(\color{#8E44AD}{p}=\frac{100000}{1000000}=\color{#8E44AD}{\frac{1}{10}}\)、標本の大きさは \(n=900\) であるから、
\(\sigma(R)=\sqrt{\frac{\frac{1}{10}\left(1-\frac{1}{10}\right)}{900}}=\color{#F39800}{\frac{1}{100}}\)
900は十分大きいから、\(R\) は近似的に正規分布 \(N\left(\color{#8E44AD}{\frac{1}{10}},\ \left(\color{#F39800}{\frac{1}{100}}\right)^2\right)\) に従う。
よって、\(Z=\frac{R-\color{#8E44AD}{\frac{1}{10}}}{\color{#F39800}{\frac{1}{100}}}\) とおくと、\(Z\) は近似的に標準正規分布 \(N(0,\ 1)\) に従う。
\(R=0.09\) のとき \(Z=\color{#EE4656}{-1}\)、\(R=0.11\) のとき \(Z=\color{#EE4656}{1}\) であるから、
\(\begin{aligned}P\left(\left|R-\frac{1}{10}\right|\leq 0.01\right)&=P(0.09\leq R\leq 0.11)\\[8pt]&=P(\color{#EE4656}{-1}\leq Z\leq \color{#EE4656}{1})=2p(1)\\[8pt]&=2\times 0.3413\color{#EE4656}{=0.6826}\end{aligned}\)

もっと詳しく願いします!!
現役教員として数学を教えている「さん」と申します。
「人より勉強に時間がかかる」と感じていませんか?私の学校にも、同じ悩みを抱えて苦しんでる生徒がたくさんいます。
「教科書や参考書の内容がわからなくて、読むのに時間がかかる」「解答の意味が理解できず、勉強が進まない」教科書や参考書の内容を理解するには、「自分なりに噛み砕いて考える力」が必要です。
でも大丈夫!このサイトでは、私が受けた質問や、つまずきポイントをもとに、わかりやすく解説していきます。
意味から理解し、噛み砕き方をマスターしましょう!!

勉強してるのに点が取れない人は、こっちも読んでみて!
当たりくじの割合の誤差が0.01以下になる確率は?
10万本の当たりくじを含む100万本のくじの中から900本引いたとき、当たりくじの割合を \(R\) とする。\(P\left(\left|R-\frac{1}{10}\right|\leq 0.01\right)\) を求めよ。

引いたくじの当たりの割合が \(\frac{1}{10}\) から0.01以内になる確率って、どうやって求めるんですか?
母比率と標本比率とは?

まずは言葉を確認しよう!「くじ全体の中の当たりの割合」と「引いたくじの中の当たりの割合」には、それぞれ名前があるんだ。
母集団の中で、ある特性Aをもつ要素の割合を、特性Aの母比率といいます。
つまり、母比率とは母集団の中で特性Aをもつ要素の割合のことです。
同じように、標本の中で特性Aをもつ要素の割合を、特性Aの標本比率といいます。
つまり、標本比率とは標本の中で特性Aをもつ要素の割合のことです。
例題1では、100万本のくじ全体が母集団で、「当たりくじである」が特性Aです。
くじ全体の当たりの割合は \(\frac{100000}{1000000}=\frac{1}{10}\) なので、母比率は \(\color{#8E44AD}{p}=\color{#8E44AD}{\frac{1}{10}}\) です。
一方、引いた900本が標本で、その中の当たりの割合が標本比率 \(R\) です。
たとえば900本の中に当たりが99本あれば、 \(R=\frac{99}{900}=0.11\) となります。
標本比率 \(R\) は、くじを引き直すたびに値が変わる確率変数です。
そして、母比率は \(\frac{1}{10}\) なので、\(P\left(\left|R-\frac{1}{10}\right|\leq 0.01\right)\) は、標本比率と母比率の誤差が0.01以下におさまる確率を表しています。
標本比率の分布とは?

前回の標本平均と同じように、標本の大きさ \(n\) が十分大きいとき、標本比率 \(R\) は近似的に正規分布に従うんだ!
正規分布は、平均と標準偏差が決まれば形が1つに決まります。
例題1のくじで、標本比率 \(R\) の平均と標準偏差を求めてみましょう。
平均は母比率と同じで、 \(E(R)=\color{#8E44AD}{\frac{1}{10}}\) となります。
標準偏差は、母比率 \(\color{#8E44AD}{p}=\frac{1}{10}\) と標本の大きさ \(n=900\) を使って、次のように求めます。
\(\sigma(R)=\sqrt{\frac{\frac{1}{10}\left(1-\frac{1}{10}\right)}{900}}=\color{#F39800}{\frac{1}{100}}\)
900は十分大きいので、例題1の標本比率 \(R\) は近似的に正規分布 \(N\left(\color{#8E44AD}{\frac{1}{10}},\ \left(\color{#F39800}{\frac{1}{100}}\right)^2\right)\) に従います。
これを文字の式にまとめると、次のようになります。
母比率 \(\color{#8E44AD}{p}\) の母集団から大きさ \(n\) の無作為標本を抽出するとき、\(n\) が十分大きければ、標本比率 \(R\) は近似的に正規分布
\(N\left(\color{#8E44AD}{p},\ \frac{\color{#8E44AD}{p}(1-\color{#8E44AD}{p})}{n}\right)\)
に従います。

平均が \(p\) で、分散が \(\frac{p(1-p)}{n}\) の正規分布なんですね!

そのとおり!ここまで分かれば、標本平均のときと同じように、標準化して正規分布表を使えば確率が求められるよ!
標本の中で特性Aをもつ要素の個数を確率変数 \(X\) とすると、標本比率は \(R=\frac{X}{n}\) と表せます。
母集団が十分大きいときは復元抽出と考えてよいので、1個取り出すたびに確率 \(\color{#8E44AD}{p}\) で特性Aをもつ要素が出ます。
したがって、\(P(X=k)={}_n\mathrm{C}_k\,\color{#8E44AD}{p}^k(1-\color{#8E44AD}{p})^{n-k}\) となり、\(X\) は二項分布 \(B(n,\ \color{#8E44AD}{p})\)に従います。
二項分布は、\(n\) が大きいとき正規分布で近似できるのでした。
よって、\(n\) が大きいとき、\(X\) は近似的に正規分布 \(N(\color{#3CB371}{np},\ \color{#3CB371}{np(1-p)})\) に従います。
あとは、\(R=\frac{X}{n}\) の期待値と標準偏差を、\(X\) の期待値 \(\color{#3CB371}{E(X)=np}\) と分散 \(\color{#3CB371}{V(X)=np(1-p)}\) から求めます。
\(E(R)=E\left(\frac{X}{n}\right)=\frac{1}{n}\color{#3CB371}{E(X)}=\frac{1}{n}\cdot \color{#3CB371}{np}=\color{#8E44AD}{p}\)
\(\begin{aligned}\sigma(R)&=\sqrt{V\left(\tfrac{X}{n}\right)}=\sqrt{\tfrac{1}{n^2}\color{#3CB371}{V(X)}}\\[8pt]&=\sqrt{\tfrac{1}{n^2}\cdot \color{#3CB371}{np(1-p)}}=\color{#F39800}{\sqrt{\tfrac{p(1-p)}{n}}}\end{aligned}\)
このように、\(R\) は \(X\) を \(n\) で割っただけなので、\(X\) と同じく正規分布で近似でき、平均は \(\color{#8E44AD}{p}\)、分散は \(\frac{\color{#8E44AD}{p}(1-\color{#8E44AD}{p})}{n}\) になります。
標準化して確率を求めよう
10万本の当たりくじを含む100万本のくじの中から900本引いたとき、当たりくじの割合を \(R\) とする。\(P\left(\left|R-\frac{1}{10}\right|\leq 0.01\right)\) を求めよ。
標本比率が従う分布を求める
母比率は \(\color{#8E44AD}{p}=\color{#8E44AD}{\frac{1}{10}}\)、標本の大きさは \(n=900\) です。
標本比率の標準偏差は、 \(\sigma(R)=\sqrt{\frac{\frac{1}{10}\left(1-\frac{1}{10}\right)}{900}}=\color{#F39800}{\frac{1}{100}}\) となります。
900は十分大きいので、標本比率 \(R\) は近似的に正規分布 \(N\left(\color{#8E44AD}{\frac{1}{10}},\ \left(\color{#F39800}{\frac{1}{100}}\right)^2\right)\) に従います。

標準化する
正規分布表を使うために、平均 1/10 を引いて、標準偏差 1/100 で割ります。
\(Z=\frac{R-\color{#8E44AD}{\frac{1}{10}}}{\color{#F39800}{\frac{1}{100}}}\)
とおくと、\(Z\) は近似的に標準正規分布 \(N(0,\ 1)\) に従います。
\(\left|R-\frac{1}{10}\right|\leq 0.01\) は、\(R\) が \(\frac{1}{10}-0.01\) 以上 \(\frac{1}{10}+0.01\) 以下ということなので、\(0.09\leq R\leq 0.11\) です。
\(R=0.09\) のとき、 \(Z=\frac{0.09-0.1}{0.01}=\color{#EE4656}{-1}\)
\(R=0.11\) のとき、 \(Z=\frac{0.11-0.1}{0.01}=\color{#EE4656}{1}\)
なので、\(P\left(\left|R-\frac{1}{10}\right|\leq 0.01\right)=P(-1\leq Z\leq 1)\) です。

正規分布表で確率を求める
正規分布表で \(u=1.00\) の値を読むと、\(p(1)=0.3413\) です。
\(\begin{array}{c|ccc} u & 0 & 1 & 2 \\ \hline 0.9 & 0.3159 & 0.3186 & 0.3212 \\ 1.0 & \color{#EE4656}{0.3413} & 0.3438 & 0.3461 \\ 1.1 & 0.3643 & 0.3665 & 0.3686 \end{array}\)
\(p(1)\) は \(0\leq Z\leq 1\) の確率で、標準正規分布は左右対称なので、\(-1\leq Z\leq 0\) の確率も \(p(1)\) です。
\(P(-1\leq Z\leq 1)=2p(1)=2\times 0.3413\color{#EE4656}{=0.6826}\)
となります。

標本比率の分布が分かれば、あとは標本平均のときと同じ手順ですね!

そうだね!標準偏差を \(\sqrt{\frac{p(1-p)}{n}}\) にするところだけ気をつけよう!
練習問題
不良品が全体の10%含まれる大量の製品の山から大きさ100の無作為標本を抽出するとき、不良品の標本比率を \(R\) とする。
(1) \(R\) は近似的にどのような正規分布に従うとみなすことができるか。
(2) \(0.07\leq R\leq 0.13\) となる確率を求めよ。
答えを見る
(1)
母比率は \(\color{#8E44AD}{p}=\color{#8E44AD}{0.1}\)、標本の大きさは \(n=100\) であるから、
\(\sigma(R)=\sqrt{\frac{0.1\times 0.9}{100}}=\color{#F39800}{0.03}\)
100は十分大きいから、\(R\) は近似的に正規分布 \(N(\color{#8E44AD}{0.1},\ \color{#F39800}{0.03}^2)\)に従う。
(2)
\(Z=\frac{R-\color{#8E44AD}{0.1}}{\color{#F39800}{0.03}}\) とおくと、\(Z\) は近似的に標準正規分布 \(N(0,\ 1)\) に従う。
\(R=0.07\) のとき \(Z=\frac{0.07-0.1}{0.03}=\color{#EE4656}{-1}\)
\(R=0.13\) のとき \(Z=\frac{0.13-0.1}{0.03}=\color{#EE4656}{1}\)
したがって、
\(\begin{aligned}P(0.07\leq R\leq 0.13)&=P(\color{#EE4656}{-1}\leq Z\leq \color{#EE4656}{1})\\[8pt]&=2p(1)=2\times 0.3413\color{#EE4656}{=0.6826}\end{aligned}\)
1枚の硬貨を \(n\) 回投げるとき、表の出る相対度数を \(R\) とする。次の各場合について、確率 \(P\left(\left|R-\frac{1}{2}\right|\leq 0.05\right)\) の値を求めよ。
(1) \(n=100\)
(2) \(n=400\)
(3) \(n=900\)
答えを見る
表の出る相対度数 \(R\) は、「表が出る」という特性の標本比率と考えられ、母比率は \(\color{#8E44AD}{p}=\color{#8E44AD}{\frac{1}{2}}\) である。
\(n\) は十分大きいから、\(R\) は近似的に正規分布 \(N\left(\color{#8E44AD}{\frac{1}{2}},\ \frac{\frac{1}{2}\cdot\frac{1}{2}}{n}\right)\) に従う。
(1)
\(\sigma(R)=\sqrt{\frac{\frac{1}{2}\cdot\frac{1}{2}}{100}}=\color{#F39800}{\frac{1}{20}}\)
\(Z=\frac{R-\color{#8E44AD}{\frac{1}{2}}}{\color{#F39800}{\frac{1}{20}}}\) とおくと、\(\left|R-\frac{1}{2}\right|\leq 0.05\) は \(|Z|\leq 0.05\div \frac{1}{20}=\color{#EE4656}{1}\) となるから、
\(\begin{aligned}P\left(\left|R-\frac{1}{2}\right|\leq 0.05\right)&=P(|Z|\leq \color{#EE4656}{1})\\[8pt]&=2p(1)=2\times 0.3413\color{#EE4656}{=0.6826}\end{aligned}\)
(2)
\(\sigma(R)=\sqrt{\frac{\frac{1}{2}\cdot\frac{1}{2}}{400}}=\color{#F39800}{\frac{1}{40}}\)
\(Z=\frac{R-\color{#8E44AD}{\frac{1}{2}}}{\color{#F39800}{\frac{1}{40}}}\) とおくと、\(\left|R-\frac{1}{2}\right|\leq 0.05\) は \(|Z|\leq 0.05\div \frac{1}{40}=\color{#EE4656}{2}\) となるから、
\(\begin{aligned}P\left(\left|R-\frac{1}{2}\right|\leq 0.05\right)&=P(|Z|\leq \color{#EE4656}{2})\\[8pt]&=2p(2)=2\times 0.4772\color{#EE4656}{=0.9544}\end{aligned}\)
(3)
\(\sigma(R)=\sqrt{\frac{\frac{1}{2}\cdot\frac{1}{2}}{900}}=\color{#F39800}{\frac{1}{60}}\)
\(Z=\frac{R-\color{#8E44AD}{\frac{1}{2}}}{\color{#F39800}{\frac{1}{60}}}\) とおくと、\(\left|R-\frac{1}{2}\right|\leq 0.05\) は \(|Z|\leq 0.05\div \frac{1}{60}=\color{#EE4656}{3}\) となるから、
\(\begin{aligned}P\left(\left|R-\frac{1}{2}\right|\leq 0.05\right)&=P(|Z|\leq \color{#EE4656}{3})\\[8pt]&=2p(3)=2\times 0.49865\color{#EE4656}{=0.9973}\end{aligned}\)
まとめ:母比率と標本比率

さて、今回のまとめだよ!
■ 母比率と標本比率
特性Aの母比率 \(\color{#8E44AD}{p}\):母集団の中で特性Aをもつ要素の割合
特性Aの標本比率 \(R\):標本の中で特性Aをもつ要素の割合
■ 標本比率の分布
母比率 \(\color{#8E44AD}{p}\) の母集団から大きさ \(n\) の無作為標本を抽出するとき、\(n\) が十分大きければ、標本比率 \(R\) は近似的に次の正規分布に従う。
\(N\left(\color{#8E44AD}{p},\ \frac{\color{#8E44AD}{p}(1-\color{#8E44AD}{p})}{n}\right)\)
■ 標準化
次のようにおくと、\(Z\) は近似的に標準正規分布 \(N(0,\ 1)\) に従う。
\(Z=\frac{R-\color{#8E44AD}{p}}{\sqrt{\frac{\color{#8E44AD}{p}(1-\color{#8E44AD}{p})}{n}}}\)

また一つ賢くなった!

一人だと続かない人は、こんな方法もあるよ!






コメント