【数学B】統計的な推測04:母比率と標本比率

母比率と標本比率 統計的な推測
さん
さん

今日の板書はこれ!

母比率と標本比率

■ 母比率と標本比率
特性Aの母比率 \(\color{#8E44AD}{p}\):母集団の中で特性Aをもつ要素の割合
特性Aの標本比率 \(R\):標本の中で特性Aをもつ要素の割合

■ 標本比率の分布
母比率 \(\color{#8E44AD}{p}\) の母集団から大きさ \(n\) の無作為標本を抽出するとき、\(n\) が十分大きければ、標本比率 \(R\) は近似的に次の正規分布に従う。

\(N\left(\color{#8E44AD}{p},\ \frac{\color{#8E44AD}{p}(1-\color{#8E44AD}{p})}{n}\right)\)

■ 標準化
次のようにおくと、\(Z\) は近似的に標準正規分布 \(N(0,\ 1)\) に従う。

\(Z=\frac{R-\color{#8E44AD}{p}}{\sqrt{\frac{\color{#8E44AD}{p}(1-\color{#8E44AD}{p})}{n}}}\)

例題1

10万本の当たりくじを含む100万本のくじの中から900本引いたとき、当たりくじの割合を \(R\) とする。\(P\left(\left|R-\frac{1}{10}\right|\leq 0.01\right)\) を求めよ。


▼ 解答

母比率は \(\color{#8E44AD}{p}=\frac{100000}{1000000}=\color{#8E44AD}{\frac{1}{10}}\)、標本の大きさは \(n=900\) であるから、

\(\sigma(R)=\sqrt{\frac{\frac{1}{10}\left(1-\frac{1}{10}\right)}{900}}=\color{#F39800}{\frac{1}{100}}\)

900は十分大きいから、\(R\) は近似的に正規分布 \(N\left(\color{#8E44AD}{\frac{1}{10}},\ \left(\color{#F39800}{\frac{1}{100}}\right)^2\right)\) に従う。

よって、\(Z=\frac{R-\color{#8E44AD}{\frac{1}{10}}}{\color{#F39800}{\frac{1}{100}}}\) とおくと、\(Z\) は近似的に標準正規分布 \(N(0,\ 1)\) に従う。

\(R=0.09\) のとき \(Z=\color{#EE4656}{-1}\)、\(R=0.11\) のとき \(Z=\color{#EE4656}{1}\) であるから、

\(\begin{aligned}P\left(\left|R-\frac{1}{10}\right|\leq 0.01\right)&=P(0.09\leq R\leq 0.11)\\[8pt]&=P(\color{#EE4656}{-1}\leq Z\leq \color{#EE4656}{1})=2p(1)\\[8pt]&=2\times 0.3413\color{#EE4656}{=0.6826}\end{aligned}\)

生徒
生徒

もっと詳しく願いします!!

現役教員として数学を教えている「さん」と申します。

「人より勉強に時間がかかる」と感じていませんか?私の学校にも、同じ悩みを抱えて苦しんでる生徒がたくさんいます。

「教科書や参考書の内容がわからなくて、読むのに時間がかかる」「解答の意味が理解できず、勉強が進まない」教科書や参考書の内容を理解するには、「自分なりに噛み砕いて考える力」が必要です。

でも大丈夫!このサイトでは、私が受けた質問や、つまずきポイントをもとに、わかりやすく解説していきます。

意味から理解し、噛み砕き方をマスターしましょう!!

さん
さん

勉強してるのに点が取れない人は、こっちも読んでみて!

当たりくじの割合の誤差が0.01以下になる確率は?

例題1

10万本の当たりくじを含む100万本のくじの中から900本引いたとき、当たりくじの割合を \(R\) とする。\(P\left(\left|R-\frac{1}{10}\right|\leq 0.01\right)\) を求めよ。

生徒
生徒

引いたくじの当たりの割合が \(\frac{1}{10}\) から0.01以内になる確率って、どうやって求めるんですか?

母比率と標本比率とは?

さん
さん

まずは言葉を確認しよう!「くじ全体の中の当たりの割合」と「引いたくじの中の当たりの割合」には、それぞれ名前があるんだ。

母集団の中で、ある特性Aをもつ要素の割合を、特性Aの母比率といいます。

つまり、母比率とは母集団の中で特性Aをもつ要素の割合のことです。

同じように、標本の中で特性Aをもつ要素の割合を、特性Aの標本比率といいます。

つまり、標本比率とは標本の中で特性Aをもつ要素の割合のことです。

例題1では、100万本のくじ全体が母集団で、「当たりくじである」が特性Aです。

くじ全体の当たりの割合は \(\frac{100000}{1000000}=\frac{1}{10}\) なので、母比率は \(\color{#8E44AD}{p}=\color{#8E44AD}{\frac{1}{10}}\) です。

一方、引いた900本が標本で、その中の当たりの割合が標本比率 \(R\) です。

たとえば900本の中に当たりが99本あれば、 \(R=\frac{99}{900}=0.11\) となります。

標本比率 \(R\) は、くじを引き直すたびに値が変わる確率変数です。

そして、母比率は \(\frac{1}{10}\) なので、\(P\left(\left|R-\frac{1}{10}\right|\leq 0.01\right)\) は、標本比率と母比率の誤差が0.01以下におさまる確率を表しています。

標本比率の分布とは?

さん
さん

前回の標本平均と同じように、標本の大きさ \(n\) が十分大きいとき、標本比率 \(R\) は近似的に正規分布に従うんだ!

正規分布は、平均と標準偏差が決まれば形が1つに決まります。

例題1のくじで、標本比率 \(R\) の平均と標準偏差を求めてみましょう。

平均は母比率と同じで、 \(E(R)=\color{#8E44AD}{\frac{1}{10}}\) となります。

標準偏差は、母比率 \(\color{#8E44AD}{p}=\frac{1}{10}\) と標本の大きさ \(n=900\) を使って、次のように求めます。

\(\sigma(R)=\sqrt{\frac{\frac{1}{10}\left(1-\frac{1}{10}\right)}{900}}=\color{#F39800}{\frac{1}{100}}\)

900は十分大きいので、例題1の標本比率 \(R\) は近似的に正規分布 \(N\left(\color{#8E44AD}{\frac{1}{10}},\ \left(\color{#F39800}{\frac{1}{100}}\right)^2\right)\) に従います。

これを文字の式にまとめると、次のようになります。

母比率 \(\color{#8E44AD}{p}\) の母集団から大きさ \(n\) の無作為標本を抽出するとき、\(n\) が十分大きければ、標本比率 \(R\) は近似的に正規分布

\(N\left(\color{#8E44AD}{p},\ \frac{\color{#8E44AD}{p}(1-\color{#8E44AD}{p})}{n}\right)\)

に従います。

生徒
生徒

平均が \(p\) で、分散が \(\frac{p(1-p)}{n}\) の正規分布なんですね!

さん
さん

そのとおり!ここまで分かれば、標本平均のときと同じように、標準化して正規分布表を使えば確率が求められるよ!

標本の中で特性Aをもつ要素の個数を確率変数 \(X\) とすると、標本比率は \(R=\frac{X}{n}\) と表せます。

母集団が十分大きいときは復元抽出と考えてよいので、1個取り出すたびに確率 \(\color{#8E44AD}{p}\) で特性Aをもつ要素が出ます。

したがって、\(P(X=k)={}_n\mathrm{C}_k\,\color{#8E44AD}{p}^k(1-\color{#8E44AD}{p})^{n-k}\) となり、\(X\) は二項分布 \(B(n,\ \color{#8E44AD}{p})\)に従います。

二項分布は、\(n\) が大きいとき正規分布で近似できるのでした。

よって、\(n\) が大きいとき、\(X\) は近似的に正規分布 \(N(\color{#3CB371}{np},\ \color{#3CB371}{np(1-p)})\) に従います。

あとは、\(R=\frac{X}{n}\) の期待値と標準偏差を、\(X\) の期待値 \(\color{#3CB371}{E(X)=np}\) と分散 \(\color{#3CB371}{V(X)=np(1-p)}\) から求めます。

\(E(R)=E\left(\frac{X}{n}\right)=\frac{1}{n}\color{#3CB371}{E(X)}=\frac{1}{n}\cdot \color{#3CB371}{np}=\color{#8E44AD}{p}\)

\(\begin{aligned}\sigma(R)&=\sqrt{V\left(\tfrac{X}{n}\right)}=\sqrt{\tfrac{1}{n^2}\color{#3CB371}{V(X)}}\\[8pt]&=\sqrt{\tfrac{1}{n^2}\cdot \color{#3CB371}{np(1-p)}}=\color{#F39800}{\sqrt{\tfrac{p(1-p)}{n}}}\end{aligned}\)

このように、\(R\) は \(X\) を \(n\) で割っただけなので、\(X\) と同じく正規分布で近似でき、平均は \(\color{#8E44AD}{p}\)、分散は \(\frac{\color{#8E44AD}{p}(1-\color{#8E44AD}{p})}{n}\) になります。

標準化して確率を求めよう

例題1

10万本の当たりくじを含む100万本のくじの中から900本引いたとき、当たりくじの割合を \(R\) とする。\(P\left(\left|R-\frac{1}{10}\right|\leq 0.01\right)\) を求めよ。

標本比率が従う分布を求める

母比率は \(\color{#8E44AD}{p}=\color{#8E44AD}{\frac{1}{10}}\)、標本の大きさは \(n=900\) です。

標本比率の標準偏差は、 \(\sigma(R)=\sqrt{\frac{\frac{1}{10}\left(1-\frac{1}{10}\right)}{900}}=\color{#F39800}{\frac{1}{100}}\) となります。

900は十分大きいので、標本比率 \(R\) は近似的に正規分布 \(N\left(\color{#8E44AD}{\frac{1}{10}},\ \left(\color{#F39800}{\frac{1}{100}}\right)^2\right)\) に従います。

標本比率Rの分布で、0.09から0.11の範囲

標準化する

正規分布表を使うために、平均 1/10 を引いて、標準偏差 1/100 で割ります。

\(Z=\frac{R-\color{#8E44AD}{\frac{1}{10}}}{\color{#F39800}{\frac{1}{100}}}\)

とおくと、\(Z\) は近似的に標準正規分布 \(N(0,\ 1)\) に従います。

\(\left|R-\frac{1}{10}\right|\leq 0.01\) は、\(R\) が \(\frac{1}{10}-0.01\) 以上 \(\frac{1}{10}+0.01\) 以下ということなので、\(0.09\leq R\leq 0.11\) です。

\(R=0.09\) のとき、 \(Z=\frac{0.09-0.1}{0.01}=\color{#EE4656}{-1}\)

\(R=0.11\) のとき、 \(Z=\frac{0.11-0.1}{0.01}=\color{#EE4656}{1}\)

なので、\(P\left(\left|R-\frac{1}{10}\right|\leq 0.01\right)=P(-1\leq Z\leq 1)\) です。

標準正規分布で、-1から1の範囲

正規分布表で確率を求める

正規分布表で \(u=1.00\) の値を読むと、\(p(1)=0.3413\) です。

\(\begin{array}{c|ccc} u & 0 & 1 & 2 \\ \hline 0.9 & 0.3159 & 0.3186 & 0.3212 \\ 1.0 & \color{#EE4656}{0.3413} & 0.3438 & 0.3461 \\ 1.1 & 0.3643 & 0.3665 & 0.3686 \end{array}\)

\(p(1)\) は \(0\leq Z\leq 1\) の確率で、標準正規分布は左右対称なので、\(-1\leq Z\leq 0\) の確率も \(p(1)\) です。

\(P(-1\leq Z\leq 1)=2p(1)=2\times 0.3413\color{#EE4656}{=0.6826}\)

となります。

生徒
生徒

標本比率の分布が分かれば、あとは標本平均のときと同じ手順ですね!

さん
さん

そうだね!標準偏差を \(\sqrt{\frac{p(1-p)}{n}}\) にするところだけ気をつけよう!

練習問題

練習1

不良品が全体の10%含まれる大量の製品の山から大きさ100の無作為標本を抽出するとき、不良品の標本比率を \(R\) とする。

(1) \(R\) は近似的にどのような正規分布に従うとみなすことができるか。

(2) \(0.07\leq R\leq 0.13\) となる確率を求めよ。

答えを見る

(1)

母比率は \(\color{#8E44AD}{p}=\color{#8E44AD}{0.1}\)、標本の大きさは \(n=100\) であるから、

\(\sigma(R)=\sqrt{\frac{0.1\times 0.9}{100}}=\color{#F39800}{0.03}\)

100は十分大きいから、\(R\) は近似的に正規分布 \(N(\color{#8E44AD}{0.1},\ \color{#F39800}{0.03}^2)\)に従う。

(2)

\(Z=\frac{R-\color{#8E44AD}{0.1}}{\color{#F39800}{0.03}}\) とおくと、\(Z\) は近似的に標準正規分布 \(N(0,\ 1)\) に従う。

\(R=0.07\) のとき \(Z=\frac{0.07-0.1}{0.03}=\color{#EE4656}{-1}\)

\(R=0.13\) のとき \(Z=\frac{0.13-0.1}{0.03}=\color{#EE4656}{1}\)

したがって、

\(\begin{aligned}P(0.07\leq R\leq 0.13)&=P(\color{#EE4656}{-1}\leq Z\leq \color{#EE4656}{1})\\[8pt]&=2p(1)=2\times 0.3413\color{#EE4656}{=0.6826}\end{aligned}\)

練習2

1枚の硬貨を \(n\) 回投げるとき、表の出る相対度数を \(R\) とする。次の各場合について、確率 \(P\left(\left|R-\frac{1}{2}\right|\leq 0.05\right)\) の値を求めよ。

(1) \(n=100\)

(2) \(n=400\)

(3) \(n=900\)

答えを見る

表の出る相対度数 \(R\) は、「表が出る」という特性の標本比率と考えられ、母比率は \(\color{#8E44AD}{p}=\color{#8E44AD}{\frac{1}{2}}\) である。

\(n\) は十分大きいから、\(R\) は近似的に正規分布 \(N\left(\color{#8E44AD}{\frac{1}{2}},\ \frac{\frac{1}{2}\cdot\frac{1}{2}}{n}\right)\) に従う。

(1)

\(\sigma(R)=\sqrt{\frac{\frac{1}{2}\cdot\frac{1}{2}}{100}}=\color{#F39800}{\frac{1}{20}}\)

\(Z=\frac{R-\color{#8E44AD}{\frac{1}{2}}}{\color{#F39800}{\frac{1}{20}}}\) とおくと、\(\left|R-\frac{1}{2}\right|\leq 0.05\) は \(|Z|\leq 0.05\div \frac{1}{20}=\color{#EE4656}{1}\) となるから、

\(\begin{aligned}P\left(\left|R-\frac{1}{2}\right|\leq 0.05\right)&=P(|Z|\leq \color{#EE4656}{1})\\[8pt]&=2p(1)=2\times 0.3413\color{#EE4656}{=0.6826}\end{aligned}\)

(2)

\(\sigma(R)=\sqrt{\frac{\frac{1}{2}\cdot\frac{1}{2}}{400}}=\color{#F39800}{\frac{1}{40}}\)

\(Z=\frac{R-\color{#8E44AD}{\frac{1}{2}}}{\color{#F39800}{\frac{1}{40}}}\) とおくと、\(\left|R-\frac{1}{2}\right|\leq 0.05\) は \(|Z|\leq 0.05\div \frac{1}{40}=\color{#EE4656}{2}\) となるから、

\(\begin{aligned}P\left(\left|R-\frac{1}{2}\right|\leq 0.05\right)&=P(|Z|\leq \color{#EE4656}{2})\\[8pt]&=2p(2)=2\times 0.4772\color{#EE4656}{=0.9544}\end{aligned}\)

(3)

\(\sigma(R)=\sqrt{\frac{\frac{1}{2}\cdot\frac{1}{2}}{900}}=\color{#F39800}{\frac{1}{60}}\)

\(Z=\frac{R-\color{#8E44AD}{\frac{1}{2}}}{\color{#F39800}{\frac{1}{60}}}\) とおくと、\(\left|R-\frac{1}{2}\right|\leq 0.05\) は \(|Z|\leq 0.05\div \frac{1}{60}=\color{#EE4656}{3}\) となるから、

\(\begin{aligned}P\left(\left|R-\frac{1}{2}\right|\leq 0.05\right)&=P(|Z|\leq \color{#EE4656}{3})\\[8pt]&=2p(3)=2\times 0.49865\color{#EE4656}{=0.9973}\end{aligned}\)

まとめ:母比率と標本比率

さん
さん

さて、今回のまとめだよ!

母比率と標本比率

■ 母比率と標本比率
特性Aの母比率 \(\color{#8E44AD}{p}\):母集団の中で特性Aをもつ要素の割合
特性Aの標本比率 \(R\):標本の中で特性Aをもつ要素の割合

■ 標本比率の分布
母比率 \(\color{#8E44AD}{p}\) の母集団から大きさ \(n\) の無作為標本を抽出するとき、\(n\) が十分大きければ、標本比率 \(R\) は近似的に次の正規分布に従う。

\(N\left(\color{#8E44AD}{p},\ \frac{\color{#8E44AD}{p}(1-\color{#8E44AD}{p})}{n}\right)\)

■ 標準化
次のようにおくと、\(Z\) は近似的に標準正規分布 \(N(0,\ 1)\) に従う。

\(Z=\frac{R-\color{#8E44AD}{p}}{\sqrt{\frac{\color{#8E44AD}{p}(1-\color{#8E44AD}{p})}{n}}}\)

生徒
生徒

また一つ賢くなった!

さん
さん

一人だと続かない人は、こんな方法もあるよ!

↑前の記事↑

↑次の記事↑

コメント