
今日の板書はこれ!
同時分布
2つの確率変数 \(X\), \(Y\) について、\(X=x_i\) かつ \(Y=y_j\) となる確率 \(P(X=x_i,\ Y=y_j)\) を表にまとめたもの。
すべての \(x_i\), \(y_j\) について
\(P(X=x_i,\ Y=y_j)=P(X=x_i)P(Y=y_j)\)
が成り立つとき、\(X\) と \(Y\) は互いに独立であるという。
\(a\), \(b\) を定数とする。
[1] いつでも成り立つ
\(E(X+Y)=E(X)+E(Y)\)
[2] いつでも成り立つ
\(E(aX+bY)=aE(X)+bE(Y)\)
[3] \(X\), \(Y\) が独立のとき
\(E(XY)=E(X)E(Y)\)
[4] \(X\), \(Y\) が独立のとき
\(V(X+Y)=V(X)+V(Y)\)
[5] \(X\), \(Y\) が独立のとき
\(V(aX+bY)=a^2V(X)+b^2V(Y)\)
同じ大きさの玉10個が入った袋があり、そのうちの4個には1、6個には2と書いてある。最初に1個を取り出し、その玉に書いてある値を \(X\) とする。最初に取り出した玉をもとにもどさないで2個目を取り出し、その玉に書いてある値を \(Y\) とする。このとき、\(X\) と \(Y\) の同時分布を求めよ。
▼ 解答
\(P(X=1,\ Y=1)=\frac{4}{10}\times\frac{3}{9}=\frac{2}{15}\)
\(P(X=1,\ Y=2)=\frac{4}{10}\times\frac{6}{9}=\frac{4}{15}\)
\(P(X=2,\ Y=1)=\frac{6}{10}\times\frac{4}{9}=\frac{4}{15}\)
\(P(X=2,\ Y=2)=\frac{6}{10}\times\frac{5}{9}=\frac{5}{15}\)
よって、同時分布は次の表のようになる。
\(\begin{array}{c|cc|c} X\backslash Y & 1 & 2 & \text{計} \\ \hline 1 & \frac{2}{15} & \frac{4}{15} & \frac{6}{15} \\ 2 & \frac{4}{15} & \frac{5}{15} & \frac{9}{15} \\ \hline \text{計} & \frac{6}{15} & \frac{9}{15} & 1 \end{array}\)
大小2個のさいころを投げて、それぞれの出る目を \(X\), \(Y\) とする。\(X\), \(Y\) は互いに独立であり、\(E(X)=E(Y)=\frac{7}{2}\)、\(V(X)=V(Y)=\frac{35}{12}\) である。このとき、\(E(XY)\)、\(V(X+Y)\) を求めよ。
▼ 解答
\(X\), \(Y\) は互いに独立であるから、
\(E(XY)=E(X)E(Y)\)
\(=\frac{7}{2}\times\frac{7}{2}\)
\(=\frac{49}{4}\)
\(V(X+Y)=V(X)+V(Y)\)
\(=\frac{35}{12}+\frac{35}{12}\)
\(=\frac{35}{6}\)

もっと詳しく願いします!!
現役教員として数学を教えている「さん」と申します。
「人より勉強に時間がかかる」と感じていませんか?私の学校にも、同じ悩みを抱えて苦しんでる生徒がたくさんいます。
「教科書や参考書の内容がわからなくて、読むのに時間がかかる」「解答の意味が理解できず、勉強が進まない」教科書や参考書の内容を理解するには、「自分なりに噛み砕いて考える力」が必要です。
でも大丈夫!このサイトでは、私が受けた質問や、つまずきポイントをもとに、わかりやすく解説していきます。
意味から理解し、噛み砕き方をマスターしましょう!!
同時分布とは?

これまでは、確率変数が1つだけでしたよね。

そうだね。今回は、1回の試行で2つの確率変数 \(X\), \(Y\) が同時に決まる場面を考えるよ。
たとえば、袋から玉を2個続けて取り出して、1個目の数を \(X\)、2個目の数を \(Y\) とするような場面です。

2つあると、何を知りたくなるんですか?

\(X+Y\) や \(XY\) の期待値・分散を、\(X\) と \(Y\) それぞれの期待値・分散から求める方法だよ!
その準備として、\(X\) と \(Y\) の組み合わせごとの確率をまとめた表を作ります。
\(X=x_i\) かつ \(Y=y_j\) となる確率 \(P(X=x_i,\ Y=y_j)\) を表にまとめたものを、\(X\) と \(Y\) の同時分布といいます。

表にまとめると、何がうれしいんですか?

表の横の行を足すと \(X\) だけの確率分布、縦の列を足すと \(Y\) だけの確率分布になるんだ。
例題1:同時分布を求める
同じ大きさの玉10個が入った袋があり、そのうちの4個には1、6個には2と書いてある。最初に1個を取り出し、その玉に書いてある値を \(X\) とする。最初に取り出した玉をもとにもどさないで2個目を取り出し、その玉に書いてある値を \(Y\) とする。このとき、\(X\) と \(Y\) の同時分布を求めよ。
求めたいのは、\(X\) と \(Y\) の値の組 \((1,1)\), \((1,2)\), \((2,1)\), \((2,2)\) それぞれの確率です。
1個目に1の玉を取り出す確率は \(\frac{4}{10}\)、玉をもどさないので、2個目に1の玉を取り出す確率は \(\frac{3}{9}\) です。
よって、 \(\color{#3CB371}{P(X=1,\ Y=1)=\frac{4}{10}\times\frac{3}{9}=\frac{2}{15}}\) となります。
ほかの組も、同じように求められます。
\(\color{#F39800}{P(X=1,\ Y=2)=\frac{4}{10}\times\frac{6}{9}=\frac{4}{15}}\)
\(\color{#E9548E}{P(X=2,\ Y=1)=\frac{6}{10}\times\frac{4}{9}=\frac{4}{15}}\)
\(\color{#8E44AD}{P(X=2,\ Y=2)=\frac{6}{10}\times\frac{5}{9}=\frac{5}{15}}\)
最後の組は、1個目に2の玉を取り出したので、残りの9個のうち2の玉は5個になっている点に注意しましょう。
これらを表にまとめると、次のようになります。
\(\begin{array}{c|cc|c} X\backslash Y & 1 & 2 & \text{計} \\ \hline 1 & \color{#3CB371}{\frac{2}{15}} & \color{#F39800}{\frac{4}{15}} & \frac{6}{15} \\ 2 & \color{#E9548E}{\frac{4}{15}} & \color{#8E44AD}{\frac{5}{15}} & \frac{9}{15} \\ \hline \text{計} & \frac{6}{15} & \frac{9}{15} & 1 \end{array}\)
行の合計を見ると \(X\) の確率分布、列の合計を見ると \(Y\) の確率分布がわかります。
\(P(X=1)=\color{#3CB371}{\frac{2}{15}}+\color{#F39800}{\frac{4}{15}}=\frac{6}{15}\)
\(P(X=2)=\color{#E9548E}{\frac{4}{15}}+\color{#8E44AD}{\frac{5}{15}}=\frac{9}{15}\)
\(P(Y=1)=\color{#3CB371}{\frac{2}{15}}+\color{#E9548E}{\frac{4}{15}}=\frac{6}{15}\)
\(P(Y=2)=\color{#F39800}{\frac{4}{15}}+\color{#8E44AD}{\frac{5}{15}}=\frac{9}{15}\)
和の期待値:E(X+Y)=E(X)+E(Y)
\(E(X+Y)=E(X)+E(Y)\) が成り立てば、\(X+Y\) の期待値を、同時分布を使わずに \(X\) と \(Y\) それぞれの期待値から求められるようになります。
例題2で、公式を使って求めた値と、同時分布から直接計算した値が一致するか確かめてみましょう。
例題2:X+Y の期待値を求める
同じ大きさの玉10個が入った袋があり、そのうちの4個には1、6個には2と書いてある。最初に1個を取り出し、その玉に書いてある値を \(X\) とする。最初に取り出した玉をもとにもどさないで2個目を取り出し、その玉に書いてある値を \(Y\) とする。このとき、\(X+Y\) の期待値を求めよ。
例題1と同じ取り出し方なので、同時分布は例題1で求めた次の表のとおりです。
\(\begin{array}{c|cc|c} X\backslash Y & 1 & 2 & \text{計} \\ \hline 1 & \color{#3CB371}{\frac{2}{15}} & \color{#F39800}{\frac{4}{15}} & \frac{6}{15} \\ 2 & \color{#E9548E}{\frac{4}{15}} & \color{#8E44AD}{\frac{5}{15}} & \frac{9}{15} \\ \hline \text{計} & \frac{6}{15} & \frac{9}{15} & 1 \end{array}\)
公式 E(X+Y)=E(X)+E(Y) を使って求める
表の「計」から、\(X\) も \(Y\) も 1 を確率 \(\frac{6}{15}\)、2 を確率 \(\frac{9}{15}\) でとるので、
\(E(X)=E(Y)=1\cdot\frac{6}{15}+2\cdot\frac{9}{15}=\frac{8}{5}\)
公式を使うと、次のようになります。
\(E(X+Y)=E(X)+E(Y)=\frac{8}{5}+\frac{8}{5}\color{#EE4656}{=\frac{16}{5}}\)
同時分布から直接計算して確かめる
表の4つのマスについて、「(\(X\) の値 + \(Y\) の値)×確率」を足します。
\(\begin{aligned}E(X+Y)&=(1+1)\cdot\color{#3CB371}{\tfrac{2}{15}}+(1+2)\cdot\color{#F39800}{\tfrac{4}{15}}\\[8pt]&\quad+(2+1)\cdot\color{#E9548E}{\tfrac{4}{15}}+(2+2)\cdot\color{#8E44AD}{\tfrac{5}{15}}\quad\text{……①}\\[8pt]&=\tfrac{48}{15}\\[8pt]&\color{#EE4656}{=\tfrac{16}{5}}\end{aligned}\)
公式で求めた \(E(X+Y)=\frac{16}{5}\) と一致しました。
①を \(X\) の部分と \(Y\) の部分に分けると、それぞれ \(E(X)\)、\(E(Y)\) の計算になるので、一致します。
①の式を、\(X\) の値の部分と \(Y\) の値の部分に分けて集め直してみます。
①のかっこを外して、\(X\) の値がかかっている項と \(Y\) の値がかかっている項に分けると、\(E(X+Y)\) は次の②と③の和になります。
\(\begin{aligned}&(1\cdot\color{#3CB371}{\tfrac{2}{15}}+1\cdot\color{#F39800}{\tfrac{4}{15}}\\[8pt]&\quad+2\cdot\color{#E9548E}{\tfrac{4}{15}}+2\cdot\color{#8E44AD}{\tfrac{5}{15}})\quad\text{……②}\end{aligned}\)
\(\begin{aligned}&+(1\cdot\color{#3CB371}{\tfrac{2}{15}}+2\cdot\color{#F39800}{\tfrac{4}{15}}\\[8pt]&\quad+1\cdot\color{#E9548E}{\tfrac{4}{15}}+2\cdot\color{#8E44AD}{\tfrac{5}{15}})\quad\text{……③}\end{aligned}\)
②は \(X\) の値の部分、③は \(Y\) の値の部分です。
②を \(X\) の値ごとにまとめると、次のようになります。
\(1\cdot(\color{#3CB371}{\frac{2}{15}}+\color{#F39800}{\frac{4}{15}})+2\cdot(\color{#E9548E}{\frac{4}{15}}+\color{#8E44AD}{\frac{5}{15}})\)
\(=1\cdot\frac{6}{15}+2\cdot\frac{9}{15}=E(X)\)
かっこの中は、表の横の行の合計、つまり \(P(X=1)\), \(P(X=2)\) です。
同じように、③を \(Y\) の値ごとにまとめると、かっこの中は縦の列の合計になります。
\(1\cdot(\color{#3CB371}{\frac{2}{15}}+\color{#E9548E}{\frac{4}{15}})+2\cdot(\color{#F39800}{\frac{4}{15}}+\color{#8E44AD}{\frac{5}{15}})\)
\(=1\cdot\frac{6}{15}+2\cdot\frac{9}{15}=E(Y)\)
このように、\(E(X+Y)\) の計算は、\(E(X)\) の計算と \(E(Y)\) の計算に分けることができます。
この「集め直し」は、どんな同時分布でもできます。
どんな同時分布でも成り立つことは、文字を使って証明できます。
\(X\) のとる値を \(x_1,\ x_2\)、その確率を \(p_1,\ p_2\) とする。
\(Y\) のとる値を \(y_1,\ y_2\)、その確率を \(q_1,\ q_2\) とする。
\(P(X=x_i,\ Y=y_j)=r_{ij}\) とおく。
行の合計より \(r_{11}+r_{12}=p_1\)、\(r_{21}+r_{22}=p_2\)
列の合計より \(r_{11}+r_{21}=q_1\)、\(r_{12}+r_{22}=q_2\)
\(\begin{aligned}E(X+Y)&=(x_1+y_1)r_{11}+(x_1+y_2)r_{12}+(x_2+y_1)r_{21}+(x_2+y_2)r_{22}\\[8pt]&=\color{#F39800}{x_1(r_{11}+r_{12})+x_2(r_{21}+r_{22})}+\color{#3CB371}{y_1(r_{11}+r_{21})+y_2(r_{12}+r_{22})}\\[8pt]&=\color{#F39800}{(x_1p_1+x_2p_2)}+\color{#3CB371}{(y_1q_1+y_2q_2)}\\[8pt]&=\color{#F39800}{E(X)}+\color{#3CB371}{E(Y)}\end{aligned}\)
値の個数が増えても、同じように証明できる。
和の期待値の公式
\(E(X+Y)=E(X)+E(Y)\) は、いつでも成り立ちます。
さらに、前回の記事で学んだ \(E(aX)=aE(X)\) と組み合わせると、次の公式も成り立ちます。
\(E(aX+bY)=aE(X)+bE(Y)\)
[1] いつでも成り立つ
\(E(X+Y)=E(X)+E(Y)\)
[2] いつでも成り立つ
\(E(aX+bY)=aE(X)+bE(Y)\)
積の期待値:E(XY)=E(X)E(Y)
\(E(XY)=E(X)E(Y)\) は、和の期待値とちがって、いつでも成り立つわけではありません。
例題3(独立)で成り立つことを確かめ、例題1(独立でない)で成り立たないことを見てみましょう。
例題3:独立のときに成り立つことを確かめる
例題1と同じ袋から1個を取り出し、その玉に書いてある値を \(X\) とする。取り出した玉をもとにもどしてから2個目を取り出し、その玉に書いてある値を \(Y\) とする。このとき、\(X\) と \(Y\) の同時分布を求め、\(XY\) の期待値を求めよ。
2回の取り出しは互いに影響しないので、\(X\) と \(Y\) は独立です。
数学Aでは、事象 \(A\), \(B\) について \(P(A\cap B)=P(A)P(B)\) が成り立つとき、\(A\) と \(B\) は独立であると学習しました。
確率変数の独立も、これと同じ考え方です。
すべての \(x_i\), \(y_j\) について
\(P(X=x_i,\ Y=y_j)=P(X=x_i)\times P(Y=y_j)\)
が成り立つとき、\(X\) と \(Y\) は互いに独立であるといいます。
例題3で確認してみましょう。
玉をもどすので、1個目も2個目も、1の玉を取り出す確率は \(\frac{4}{10}\) です。
\(\color{#3CB371}{P(X=1,\ Y=1)=\frac{4}{10}\times\frac{4}{10}=\frac{4}{25}}\)
\(P(X=1)\times P(Y=1)=\frac{2}{5}\times\frac{2}{5}=\frac{4}{25}\)
となり、一致します。
ほかの組でも同じように成り立つので、例題3の \(X\) と \(Y\) は互いに独立です。
一方、例題1(もどさない)では、\(P(X=1,\ Y=1)=\frac{2}{15}\) ですが、\(P(X=1)\times P(Y=1)=\frac{6}{15}\times\frac{6}{15}=\frac{4}{25}\) なので一致せず、独立ではありません。

独立は「お互いに影響しない」という意味だよ!
同時分布を求める
玉をもどすので、1個目も2個目も、1の玉を取り出す確率は \(\frac{4}{10}=\frac{2}{5}\)、2の玉を取り出す確率は \(\frac{3}{5}\) です。
独立なので、それぞれの組の確率は、2つの確率のかけ算で求められます。
\(\color{#3CB371}{P(X=1,\ Y=1)=\frac{2}{5}\times\frac{2}{5}=\frac{4}{25}}\)
\(\color{#F39800}{P(X=1,\ Y=2)=\frac{2}{5}\times\frac{3}{5}=\frac{6}{25}}\)
\(\color{#E9548E}{P(X=2,\ Y=1)=\frac{3}{5}\times\frac{2}{5}=\frac{6}{25}}\)
\(\color{#8E44AD}{P(X=2,\ Y=2)=\frac{3}{5}\times\frac{3}{5}=\frac{9}{25}}\)
これらを表にまとめると、次のようになります。
\(\begin{array}{c|cc|c} X\backslash Y & 1 & 2 & \text{計} \\ \hline 1 & \color{#3CB371}{\frac{4}{25}} & \color{#F39800}{\frac{6}{25}} & \frac{2}{5} \\ 2 & \color{#E9548E}{\frac{6}{25}} & \color{#8E44AD}{\frac{9}{25}} & \frac{3}{5} \\ \hline \text{計} & \frac{2}{5} & \frac{3}{5} & 1 \end{array}\)
公式 E(XY)=E(X)E(Y) を使って求める
\(X\) も \(Y\) も、1 を確率 \(\frac{2}{5}\)、2 を確率 \(\frac{3}{5}\) でとるので、次のようになります。
\(E(X)=E(Y)=1\cdot\frac{2}{5}+2\cdot\frac{3}{5}=\frac{8}{5}\)
公式を使うと、次のようになります。
\(E(XY)=E(X)E(Y)=\frac{8}{5}\times\frac{8}{5}\color{#EE4656}{=\frac{64}{25}}\)
同時分布から直接計算して確かめる
表の4つのマスについて、「(\(X\) の値 × \(Y\) の値)×確率」を足します。
\(\begin{aligned}E(XY)&=1\cdot1\cdot\color{#3CB371}{\tfrac{4}{25}}+1\cdot2\cdot\color{#F39800}{\tfrac{6}{25}}\\[8pt]&\quad+2\cdot1\cdot\color{#E9548E}{\tfrac{6}{25}}+2\cdot2\cdot\color{#8E44AD}{\tfrac{9}{25}}\quad\text{……①}\\[8pt]&=\tfrac{4+12+12+36}{25}\\[8pt]&\color{#EE4656}{=\tfrac{64}{25}}\end{aligned}\)
公式で求めた \(E(XY)=\frac{64}{25}\) と一致しました。
独立のときは、①を「\(X\) の部分」×「\(Y\) の部分」の形にくくることができ、それが \(E(X)E(Y)\) になるので、一致します。
①の式の確率を、「\(X\) の確率」×「\(Y\) の確率」に分けて書き直します。
たとえば、 \(\color{#3CB371}{\frac{4}{25}}=\frac{2}{5}\times\frac{2}{5}\) です。
\(E(XY)=1\cdot\frac{2}{5}\cdot1\cdot\frac{2}{5}+1\cdot\frac{2}{5}\cdot2\cdot\frac{3}{5}+2\cdot\frac{3}{5}\cdot1\cdot\frac{2}{5}+2\cdot\frac{3}{5}\cdot2\cdot\frac{3}{5}\)
4つの項は、\(X\) の部分(\(1\cdot\frac{2}{5}\) と \(2\cdot\frac{3}{5}\))と \(Y\) の部分(\(1\cdot\frac{2}{5}\) と \(2\cdot\frac{3}{5}\))のすべての組み合わせなので、展開する前の形にくくることができます。
\(=(1\cdot\frac{2}{5}+2\cdot\frac{3}{5})(1\cdot\frac{2}{5}+2\cdot\frac{3}{5})\)
\(=E(X)\cdot E(Y)\)
このように、マスの確率が「行の合計×列の合計」に分かれる、つまり独立のときは、積の形にくくることができます。
例題1:独立でないときは成り立たない
では、例題1のように、互いに独立でない場合はどうでしょうか。
例題1(玉をもどさない)の同時分布は、次の表のとおりでした。
\(\begin{array}{c|cc|c} X\backslash Y & 1 & 2 & \text{計} \\ \hline 1 & \color{#3CB371}{\frac{2}{15}} & \color{#F39800}{\frac{4}{15}} & \frac{6}{15} \\ 2 & \color{#E9548E}{\frac{4}{15}} & \color{#8E44AD}{\frac{5}{15}} & \frac{9}{15} \\ \hline \text{計} & \frac{6}{15} & \frac{9}{15} & 1 \end{array}\)
和の期待値のところで求めたように、\(E(X)=E(Y)=\frac{8}{5}\) なので、 \(E(X)E(Y)=\frac{8}{5}\times\frac{8}{5}=\frac{64}{25}\) です。
一方、\(XY\) の期待値を同時分布から直接計算すると、次のようになります。
\(\begin{aligned}E(XY)&=1\cdot1\cdot\color{#3CB371}{\tfrac{2}{15}}+1\cdot2\cdot\color{#F39800}{\tfrac{4}{15}}+2\cdot1\cdot\color{#E9548E}{\tfrac{4}{15}}+2\cdot2\cdot\color{#8E44AD}{\tfrac{5}{15}}\\[8pt]&=\tfrac{38}{15}\end{aligned}\)
\(E(X)E(Y)=\frac{64}{25}\) とは一致しません。
例題1では、玉をもどさないので、1個目の結果が2個目の確率に影響します。
そのため、マスの確率が「行の合計×列の合計」に分かれず、積の形にくくることができません。
積の期待値の公式
\(E(XY)=E(X)E(Y)\) は、\(X\), \(Y\) が独立のときに成り立ちます。

積の期待値は「独立」を確かめてから使おう!
独立ならいつでも成り立つことは、文字を使って証明できます。
記号は和の期待値の証明と同じとする。
\(X\), \(Y\) が独立であるとき、\(r_{ij}=p_iq_j\) が成り立つ。
\(\begin{aligned}E(XY)&=x_1y_1r_{11}+x_1y_2r_{12}+x_2y_1r_{21}+x_2y_2r_{22}\\[8pt]&=x_1y_1p_1q_1+x_1y_2p_1q_2+x_2y_1p_2q_1+x_2y_2p_2q_2\\[8pt]&=\color{#F39800}{x_1p_1}(y_1q_1+y_2q_2)+\color{#F39800}{x_2p_2}(y_1q_1+y_2q_2)\\[8pt]&=\color{#F39800}{(x_1p_1+x_2p_2)}\color{#3CB371}{(y_1q_1+y_2q_2)}\\[8pt]&=\color{#F39800}{E(X)}\cdot\color{#3CB371}{E(Y)}\end{aligned}\)
値の個数が増えても、同じように証明できる。
[3] \(X\), \(Y\) が独立のとき
\(E(XY)=E(X)E(Y)\)
和の分散:V(X+Y)=V(X)+V(Y)
\(V(X+Y)=V(X)+V(Y)\) も、\(X\), \(Y\) が独立のときに成り立つ公式です。
例題3(独立)で成り立つことを確かめ、例題1(独立でない)で成り立たないことを見てみましょう。
例題3:独立のときに成り立つことを確かめる
例題1と同じ袋から1個を取り出し、その玉に書いてある値を \(X\) とする。取り出した玉をもとにもどしてから2個目を取り出し、その玉に書いてある値を \(Y\) とする。このとき、\(X\) と \(Y\) の同時分布を求め、\(XY\) の期待値を求めよ。
公式 V(X+Y)=V(X)+V(Y) を使って求める
例題3の \(X\), \(Y\) はどちらも 1 を確率 \(\frac{2}{5}\)、2 を確率 \(\frac{3}{5}\) でとるので、分散は次のようになります。
\(\begin{aligned}V(X)&=V(Y)=1^2\cdot\tfrac{2}{5}+2^2\cdot\tfrac{3}{5}-\left(\tfrac{8}{5}\right)^2\\[8pt]&=\tfrac{14}{5}-\tfrac{64}{25}\\[8pt]&=\tfrac{6}{25}\end{aligned}\)
公式を使うと、次のようになります。
\(V(X+Y)=V(X)+V(Y)=\frac{6}{25}+\frac{6}{25}\color{#EE4656}{=\frac{12}{25}}\)
同時分布から直接計算して確かめる
例題3の \(X+Y\) は、2, 3, 4 をそれぞれ確率 \(\frac{4}{25}\), \(\frac{12}{25}\), \(\frac{9}{25}\) でとります。
\(E(X+Y)=2\cdot\frac{4}{25}+3\cdot\frac{12}{25}+4\cdot\frac{9}{25}=\frac{16}{5}\)
\(\begin{aligned}E((X+Y)^2)&=2^2\cdot\tfrac{4}{25}+3^2\cdot\tfrac{12}{25}+4^2\cdot\tfrac{9}{25}\\[8pt]&=\tfrac{268}{25}\end{aligned}\)
\(\begin{aligned}V(X+Y)&=\tfrac{268}{25}-\left(\tfrac{16}{5}\right)^2\\[8pt]&=\tfrac{268}{25}-\tfrac{256}{25}\\[8pt]&\color{#EE4656}{=\tfrac{12}{25}}\end{aligned}\)
公式で求めた \(V(X+Y)=\frac{12}{25}\) と一致しました。
例題1:独立でないときは成り立たない
では、例題1のように、互いに独立でない場合はどうでしょうか。
例題1(玉をもどさない)の \(X\), \(Y\) も、1 を確率 \(\frac{2}{5}\)、2 を確率 \(\frac{3}{5}\) でとるので、公式が成り立つなら \(V(X+Y)=\frac{12}{25}\) になるはずです。
一方、例題1の \(X+Y\) は、2, 3, 4 をそれぞれ確率 \(\frac{2}{15}\), \(\frac{8}{15}\), \(\frac{5}{15}\) でとるので、直接計算すると次のようになります。
\(E(X+Y)=2\cdot\frac{2}{15}+3\cdot\frac{8}{15}+4\cdot\frac{5}{15}=\frac{16}{5}\)
\(\begin{aligned}E((X+Y)^2)&=2^2\cdot\tfrac{2}{15}+3^2\cdot\tfrac{8}{15}+4^2\cdot\tfrac{5}{15}\\[8pt]&=\tfrac{32}{3}\end{aligned}\)
\(V(X+Y)=\frac{32}{3}-\left(\frac{16}{5}\right)^2\color{#EE4656}{=\frac{32}{75}}\)
\(V(X)+V(Y)=\frac{12}{25}\) とは一致しません。
例題1では玉をもどさないので、\(X\) と \(Y\) は独立ではありません。
そのため、公式が成り立たないのです。
和の分散の公式
\(V(X+Y)=V(X)+V(Y)\) は、\(X\), \(Y\) が独立のときに成り立ちます。
分散の公式 \(V(X)=E(X^2)-\{E(X)\}^2\) を使って \(V(X+Y)\) を展開し、整理すると、次のようになります。
\(V(X+Y)=V(X)+V(Y)+\color{#EE4656}{2\{E(XY)-E(X)E(Y)\}}\)
\(\begin{aligned}V(X+Y)&=E((X+Y)^2)-\{E(X+Y)\}^2\\[8pt]&=E(X^2+2XY+Y^2)-\{E(X)+E(Y)\}^2\\[8pt]&=E(X^2)+2E(XY)+E(Y^2)-\{E(X)\}^2-2E(X)E(Y)-\{E(Y)\}^2\\[8pt]&=E(X^2)-\{E(X)\}^2+E(Y^2)-\{E(Y)\}^2+\color{#EE4656}{2\{E(XY)-E(X)E(Y)\}}\\[8pt]&=V(X)+V(Y)+\color{#EE4656}{2\{E(XY)-E(X)E(Y)\}}\end{aligned}\)
\(X\), \(Y\) が独立のとき、\(E(XY)=E(X)E(Y)\) より、
\(V(X+Y)=V(X)+V(Y)\)
最後の項が、和の分散を考えるときの余分な項です。
\(X\), \(Y\) が独立なら \(E(XY)=E(X)E(Y)\) なので、余分な項は 0 になります。
だから、独立のときは \(V(X+Y)=V(X)+V(Y)\) が成り立ちます。
例題1は独立でないので、余分な項が残ります。さきほど求めた \(E(XY)=\frac{38}{15}\) を使うと、余分な項は次のようになります。
\(\color{#EE4656}{2\{E(XY)-E(X)E(Y)\}}\)
\(=2\left(\frac{38}{15}-\frac{64}{25}\right)\)
\(=\color{#EE4656}{-\frac{4}{75}}\)
よって、次のようになり、直接計算した値と一致します。
\(V(X+Y)=\frac{6}{25}+\frac{6}{25}\color{#EE4656}{-\frac{4}{75}}=\frac{32}{75}\)

独立じゃないと、余分な項が残っちゃうんだね!
前回の記事で学んだ \(V(aX)=a^2V(X)\) と組み合わせると、\(X\), \(Y\) が独立のとき、次の公式も成り立ちます。
\(V(aX+bY)=a^2V(X)+b^2V(Y)\)
[4] \(X\), \(Y\) が独立のとき
\(V(X+Y)=V(X)+V(Y)\)
[5] \(X\), \(Y\) が独立のとき
\(V(aX+bY)=a^2V(X)+b^2V(Y)\)
例題4:さいころ2個の積の期待値と和の分散
大小2個のさいころを投げて、それぞれの出る目を \(X\), \(Y\) とする。\(X\), \(Y\) は互いに独立であり、\(E(X)=E(Y)=\frac{7}{2}\)、\(V(X)=V(Y)=\frac{35}{12}\) である。このとき、\(E(XY)\)、\(V(X+Y)\) を求めよ。
大小2個のさいころの目は互いに影響しないので、\(X\), \(Y\) は独立です。
よって、\(E(XY)=E(X)E(Y)\) が使えます。
\(E(XY)=\frac{7}{2}\times\frac{7}{2}=\color{#EE4656}{\frac{49}{4}}\)
同じく独立なので、\(V(X+Y)=V(X)+V(Y)\) が使えます。
\(V(X+Y)=\frac{35}{12}+\frac{35}{12}=\color{#EE4656}{\frac{35}{6}}\)

36通りの表を作らなくても、公式ですぐ求められるね!
練習問題
確率変数 \(X\), \(Y\) の確率分布が次の表で与えられているとき、\(X+Y\) の期待値を求めよ。
\(\begin{array}{c|ccc|c} X & 1 & 3 & 5 & \text{計} \\ \hline P & \frac{1}{3} & \frac{1}{3} & \frac{1}{3} & 1 \end{array}\) \(\begin{array}{c|ccc|c} Y & 2 & 4 & 6 & \text{計} \\ \hline P & \frac{1}{3} & \frac{1}{3} & \frac{1}{3} & 1 \end{array}\)
答えを見る
\(E(X)=(1+3+5)\times\frac{1}{3}=3\)
\(E(Y)=(2+4+6)\times\frac{1}{3}=4\)
\(E(X+Y)=E(X)+E(Y)=3+4\color{#EE4656}{=7}\)
1個のさいころを2回投げて、1回目は出た目の10倍の点、2回目は出た目の5倍の点が得られるとき、合計得点の期待値を求めよ。
答えを見る
1回目、2回目に出る目をそれぞれ \(X\), \(Y\) とおくと、合計得点は \(10X+5Y\) である。
\(E(X)=E(Y)=\frac{7}{2}\) より、
\(\begin{aligned}E(10X+5Y)&=10E(X)+5E(Y)\\[8pt]&=10\times\tfrac{7}{2}+5\times\tfrac{7}{2}\\[8pt]&\color{#EE4656}{=\tfrac{105}{2}}\end{aligned}\)
2つの確率変数 \(X\), \(Y\) が互いに独立で、それぞれの確率分布が次の表で与えられるとき、\(XY\) の期待値を求めよ。
\(\begin{array}{c|cc|c} X & 1 & 3 & \text{計} \\ \hline P & \frac{2}{3} & \frac{1}{3} & 1 \end{array}\) \(\begin{array}{c|cc|c} Y & 2 & 5 & \text{計} \\ \hline P & \frac{2}{3} & \frac{1}{3} & 1 \end{array}\)
答えを見る
\(E(X)=1\cdot\frac{2}{3}+3\cdot\frac{1}{3}=\frac{5}{3}\)
\(E(Y)=2\cdot\frac{2}{3}+5\cdot\frac{1}{3}=3\)
\(X\), \(Y\) は互いに独立であるから、
\(E(XY)=E(X)E(Y)=\frac{5}{3}\times3\color{#EE4656}{=5}\)
練習3の、互いに独立な確率変数 \(X\), \(Y\) について、\(X+Y\) の分散と標準偏差を求めよ。
答えを見る
\(E(X^2)=1^2\cdot\frac{2}{3}+3^2\cdot\frac{1}{3}=\frac{11}{3}\)
\(V(X)=\frac{11}{3}-(\frac{5}{3})^2=\frac{8}{9}\)
\(E(Y^2)=2^2\cdot\frac{2}{3}+5^2\cdot\frac{1}{3}=11\)
\(V(Y)=11-3^2=2\)
\(X\), \(Y\) は互いに独立であるから、
\(V(X+Y)=V(X)+V(Y)=\frac{8}{9}+2\color{#EE4656}{=\frac{26}{9}}\)
\(\sigma(X+Y)=\sqrt{\frac{26}{9}}\color{#EE4656}{=\frac{\sqrt{26}}{3}}\)
まとめ:確率変数の和と積の期待値・分散

さて、今回のまとめだよ!
同時分布
2つの確率変数 \(X\), \(Y\) について、\(X=x_i\) かつ \(Y=y_j\) となる確率 \(P(X=x_i,\ Y=y_j)\) を表にまとめたもの。
すべての \(x_i\), \(y_j\) について
\(P(X=x_i,\ Y=y_j)=P(X=x_i)P(Y=y_j)\)
が成り立つとき、\(X\) と \(Y\) は互いに独立であるという。
\(a\), \(b\) を定数とする。
[1] いつでも成り立つ
\(E(X+Y)=E(X)+E(Y)\)
[2] いつでも成り立つ
\(E(aX+bY)=aE(X)+bE(Y)\)
[3] \(X\), \(Y\) が独立のとき
\(E(XY)=E(X)E(Y)\)
[4] \(X\), \(Y\) が独立のとき
\(V(X+Y)=V(X)+V(Y)\)
[5] \(X\), \(Y\) が独立のとき
\(V(aX+bY)=a^2V(X)+b^2V(Y)\)
- [1]、[2] は独立でなくても成り立つ。
- [3]〜[5] は、\(X\), \(Y\) が独立であることを確かめてから使う。

また一つ賢くなった!
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