
今日の板書はこれ!
二項分布
1回の試行で事象 \(A\) が起こる確率を \(p\)、起こらない確率を \(q=1-p\) とする。
この試行を \(n\) 回くり返すとき、\(A\) が起こる回数 \(X\) が \(r\) になる確率は
\(P(X=r)={}_{\color{#8E44AD}{n}}\mathrm{C}_r\,{\color{#3CB371}{p}}^r\,{\color{#F39800}{q}}^{n-r}\) \((r=0,\ 1,\ \cdots,\ n)\)
この確率分布を二項分布といい、\(B(\color{#8E44AD}{n},\ \color{#3CB371}{p})\) で表す。
二項分布の期待値・分散・標準偏差
\(X\) が二項分布 \(B(n,\ p)\) に従うとき
\(E(X)=\color{#8E44AD}{n}\color{#3CB371}{p}\) \(V(X)=\color{#8E44AD}{n}\color{#3CB371}{p}\color{#F39800}{q}\) \(\sigma(X)=\sqrt{\color{#8E44AD}{n}\color{#3CB371}{p}\color{#F39800}{q}}\)
1個のさいころを4回投げて、6の目が出る回数を \(X\) とする。\(X\) はどのような二項分布に従うか。また、確率 \(P(X=2)\) を求めよ。
▼ 解答
1回投げて6の目が出る確率は \(\color{#3CB371}{\frac{1}{6}}\) である。
4回投げるので、\(X\) は二項分布 \(B\left(4,\ \frac{1}{6}\right)\) に従う。
\(\begin{aligned}P(X=2)&={}_4\mathrm{C}_2\left(\color{#3CB371}{\tfrac{1}{6}}\right)^2\left(\color{#F39800}{\tfrac{5}{6}}\right)^2\\[8pt]&=6\times\tfrac{1}{36}\times\tfrac{25}{36}\\[8pt]&\color{#EE4656}{=\tfrac{25}{216}}\end{aligned}\)
1枚の硬貨を100回投げて、表が出る回数を \(X\) とする。\(X\) の期待値、分散、標準偏差を求めよ。
▼ 解答
\(X\) は二項分布 \(B\left(\color{#8E44AD}{100},\ \color{#3CB371}{\frac{1}{2}}\right)\) に従う。
\(E(X)=\color{#8E44AD}{100}\times\color{#3CB371}{\frac{1}{2}}\color{#EE4656}{=50}\)
\(V(X)=100\times\color{#3CB371}{\frac{1}{2}}\times\color{#F39800}{\frac{1}{2}}\color{#EE4656}{=25}\)
\(\sigma(X)=\sqrt{25}\color{#EE4656}{=5}\)

もっと詳しく願いします!!
現役教員として数学を教えている「さん」と申します。
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二項分布とその確率
二項分布とは?

今回は「二項分布」ですね。名前がむずかしそう…。

名前はむずかしそうだけど、中身は数学Aで習った「反復試行の確率」を表にしたものだよ!
まずは具体例で考えてみましょう。
1個のさいころを3回投げて、1の目が出る回数を \(X\) とします。
1回投げて1の目が出る確率は \(\frac{1}{6}\)、出ない確率は \(\frac{5}{6}\) です。
たとえば \(X=1\) になるのは、3回のうちどの1回で1の目が出るかを選ぶ方法が \({}_3\mathrm{C}_1\) 通りあり、そのそれぞれの確率が \(\color{#3CB371}{\frac{1}{6}}\times\left(\color{#F39800}{\frac{5}{6}}\right)^2\) なので、次のようになります。
\(P(X=1)={}_3\mathrm{C}_1\,\color{#3CB371}{\tfrac{1}{6}}\left(\color{#F39800}{\tfrac{5}{6}}\right)^2=\frac{75}{216}\)
同じように \(X=0,\ 2,\ 3\) の確率も求めると、\(X\) の確率分布は次の表のようになります。
\(\begin{array}{c|cccc|c} X & 0 & 1 & 2 & 3 & \text{計} \\ \hline P & \frac{125}{216} & \frac{75}{216} & \frac{15}{216} & \frac{1}{216} & 1 \end{array}\)

どの確率も「C × 出る確率 × 出ない確率」の形になっていますね!

そう!それを文字で書いたのが二項分布の式だよ。
一般に、1回の試行で事象 \(A\) が起こる確率を \(p\)、起こらない確率を \(q=1-p\) とします。
この試行を \(n\) 回くり返すとき、\(A\) がちょうど \(r\) 回起こる確率は次の式で表されます。
\(P(X=r)={}_{\color{#8E44AD}{n}}\mathrm{C}_r\,{\color{#3CB371}{p}}^r\,{\color{#F39800}{q}}^{n-r}\)
このように、\(A\) が起こる回数 \(X\) の確率分布を二項分布といい、\(B(\color{#8E44AD}{n},\ \color{#3CB371}{p})\) で表します。
さいころの例では \(\color{#8E44AD}{n=3}\)、\(\color{#3CB371}{p=\frac{1}{6}}\) なので、\(X\) は \(B\left(3,\ \frac{1}{6}\right)\) に従います。

どうして「二項」なんですか?

\(P(X=r)\) を全部たすと、二項定理で \((q+p)^n\) を展開した式になるからだよ。\(q+p=1\) だから、確率の合計がちゃんと1になるんだ!
例題1:二項分布に従う確率を求める
1個のさいころを4回投げて、6の目が出る回数を \(X\) とする。\(X\) はどのような二項分布に従うか。また、確率 \(P(X=2)\) を求めよ。
まず、1回の試行で注目する事象の確率と、くり返す回数を読み取ります。
1回投げて6の目が出る確率は \(\frac{1}{6}\)、出ない確率は \(\frac{5}{6}\) で、投げる回数は 4回 です。
したがって、\(X\) は二項分布 \(B\left(4,\ \frac{1}{6}\right)\) に従います。

\(B(n,\ p)\) の \(p\) には、出ない確率じゃなくて出る確率を入れるんですね。

そうだよ。\(X\) が「何の回数か」を見て、その事象が起こる確率を \(p\) にするんだ!
次に、\(P(X=2)\) は「4回のうち6の目がちょうど2回出る確率」なので、\(\color{#8E44AD}{n=4}\)、\(r=2\) を式に代入します。
\(\begin{aligned}P(X=2)&={}_4\mathrm{C}_2\left(\color{#3CB371}{\tfrac{1}{6}}\right)^2\left(\color{#F39800}{\tfrac{5}{6}}\right)^2\\[8pt]&=6\times\tfrac{1}{36}\times\tfrac{25}{36}\\[8pt]&\color{#EE4656}{=\tfrac{25}{216}}\end{aligned}\)
二項分布の期待値・分散・標準偏差
公式:E(X)=np、V(X)=npq

二項分布でも、期待値や分散を求めるんですか?

うん。しかも、表を使わずに一発で求められるんだ!
さいころを3回投げて1の目が出る回数 \(X\) の期待値は、「投げる回数 × 1回で1の目が出る確率」で求められます。
\(E(X)=\color{#8E44AD}{3}\times\color{#3CB371}{\frac{1}{6}}\color{#EE4656}{=\frac{1}{2}}\)

かけ算するだけでいいんですか?

本当に合っているか、表を使って確かめてみよう!
もう一度、さいころを3回投げて1の目が出る回数 \(X\) の表を見てみましょう。
\(\begin{array}{c|cccc|c} X & 0 & 1 & 2 & 3 & \text{計} \\ \hline P & \frac{125}{216} & \frac{75}{216} & \frac{15}{216} & \frac{1}{216} & 1 \end{array}\)
この表を使って、期待値を定義どおりに計算します。
\(\begin{aligned}E(X)&=0\cdot\tfrac{125}{216}+1\cdot\tfrac{75}{216}+2\cdot\tfrac{15}{216}+3\cdot\tfrac{1}{216}\\[8pt]&=\tfrac{108}{216}\color{#EE4656}{=\tfrac{1}{2}}\end{aligned}\)
表から計算しても \(\color{#EE4656}{\frac{1}{2}}\) になり、\(\color{#8E44AD}{3}\times\color{#3CB371}{\frac{1}{6}}\) と一致しました。
3回投げて、1回あたり \(\color{#3CB371}{\frac{1}{6}}\) の割合で1の目が出るので、平均すると \(\color{#EE4656}{\frac{1}{2}}\) 回出るということです。
一般に、\(X\) が二項分布 \(B(n,\ p)\) に従うとき、期待値・分散・標準偏差は次のようになります。
\(E(X)=\color{#8E44AD}{n}\color{#3CB371}{p}\)
\(V(X)=\color{#8E44AD}{n}\color{#3CB371}{p}\color{#F39800}{q}\)
\(\sigma(X)=\sqrt{\color{#8E44AD}{n}\color{#3CB371}{p}\color{#F39800}{q}}\)

期待値が \(np\) になるのは納得です。でも、分散はなぜ \(npq\) なんですか?

1回ごとの結果に分けて、前回の「和の期待値・分散」を使うと分かるよ!
1回1回の試行に分けて考えます。\(k\) 回目の試行で \(A\) が起これば1、起こらなければ0をとる確率変数を \(X_k\) とおくと、\(X_k\) の確率分布は次の表のようになります。
\(\begin{array}{c|cc|c} X_k & 0 & 1 & \text{計} \\ \hline P & \color{#F39800}{q} & \color{#3CB371}{p} & 1 \end{array}\)
この表から、\(X_k\) の期待値と分散は次のようになります。
\(E(X_k)=0\cdot \color{#F39800}{q}+1\cdot \color{#3CB371}{p}=\color{#3CB371}{p}\)
\(\begin{aligned}V(X_k)&=E({X_k}^2)-\{E(X_k)\}^2\\[8pt]&=p-p^2=p(1-p)\\[8pt]&=\color{#3CB371}{p}\color{#F39800}{q}\end{aligned}\)
\(A\) が起こる回数 \(X\) は、1回ごとの結果をたし合わせた \(X=X_1+X_2+\cdots+X_n\) です。各回の試行は互いに独立なので、和の期待値・分散の性質が使えます。
\(\begin{aligned}E(X)&=E(X_1)+E(X_2)+\cdots+E(X_n)\\[8pt]&=\color{#8E44AD}{n}\color{#3CB371}{p}\end{aligned}\)
\(\begin{aligned}V(X)&=V(X_1)+V(X_2)+\cdots+V(X_n)\\[8pt]&=\color{#8E44AD}{n}\color{#3CB371}{p}\color{#F39800}{q}\end{aligned}\)
例題2:公式で期待値・分散・標準偏差を求める
1枚の硬貨を100回投げて、表が出る回数を \(X\) とする。\(X\) の期待値、分散、標準偏差を求めよ。
1回投げて表が出る確率は \(\frac{1}{2}\)、投げる回数は 100回 なので、\(X\) は二項分布 \(B\left(\color{#8E44AD}{100},\ \color{#3CB371}{\frac{1}{2}}\right)\) に従います。
また、表が出ない確率は \(q=\frac{1}{2}\) です。
あとは公式に代入するだけです。
\(E(X)=\color{#8E44AD}{100}\times\color{#3CB371}{\frac{1}{2}}\color{#EE4656}{=50}\)
\(V(X)=100\times\color{#3CB371}{\frac{1}{2}}\times\color{#F39800}{\frac{1}{2}}\color{#EE4656}{=25}\)
\(\sigma(X)=\sqrt{25}\color{#EE4656}{=5}\)

100回分の表を作らなくていいなんて、すごく楽です!

そうだね!「二項分布に従う」と見抜ければ、\(n\) と \(p\) を読み取るだけで求められるよ。
練習問題
1個のさいころを5回投げて、2以下の目が出る回数を \(X\) とする。\(X\) はどのような二項分布に従うか。また、次の確率を求めよ。
(1) \(P(X=2)\)
(2) \(P(X=5)\)
(3) \(P(2\leq X\leq 4)\)
答えを見る
2以下の目が出る確率は \(\color{#3CB371}{\frac{2}{6}=\frac{1}{3}}\) であるから、\(X\) は二項分布 \(B\left(\color{#8E44AD}{5},\ \color{#3CB371}{\frac{1}{3}}\right)\) に従う。
(1)
\(\begin{aligned}P(X=2)&={}_5\mathrm{C}_2\left(\color{#3CB371}{\tfrac{1}{3}}\right)^2\left(\color{#F39800}{\tfrac{2}{3}}\right)^3\\[8pt]&=10\times\tfrac{1}{9}\times\tfrac{8}{27}\\[8pt]&\color{#EE4656}{=\tfrac{80}{243}}\end{aligned}\)
(2)
\(P(X=5)={}_{\color{#8E44AD}{5}}\mathrm{C}_5\left(\color{#3CB371}{\tfrac{1}{3}}\right)^5\color{#EE4656}{=\tfrac{1}{243}}\)
(3)
\(P(X=3)={}_5\mathrm{C}_3\left(\tfrac{1}{3}\right)^3\left(\tfrac{2}{3}\right)^2=\tfrac{40}{243}\)
\(P(X=4)={}_5\mathrm{C}_4\left(\tfrac{1}{3}\right)^4\cdot\tfrac{2}{3}=\tfrac{10}{243}\)
よって、
\(\begin{aligned}P(2\leq X\leq 4)&=P(X=2)+P(X=3)+P(X=4)\\[8pt]&=\tfrac{80}{243}+\tfrac{40}{243}+\tfrac{10}{243}\\[8pt]&\color{#EE4656}{=\tfrac{130}{243}}\end{aligned}\)
確率変数 \(X\) が二項分布 \(B\left(9,\ \frac{1}{2}\right)\) に従うとき、\(X\) の期待値、分散、標準偏差を求めよ。
答えを見る
\(E(X)=\color{#8E44AD}{9}\times\color{#3CB371}{\frac{1}{2}}\color{#EE4656}{=\frac{9}{2}}\)
\(V(X)=9\times\color{#3CB371}{\frac{1}{2}}\times\color{#F39800}{\frac{1}{2}}\color{#EE4656}{=\frac{9}{4}}\)
\(\sigma(X)=\sqrt{\frac{9}{4}}\color{#EE4656}{=\frac{3}{2}}\)
次の確率変数 \(X\) の期待値、分散、標準偏差を求めよ。
(1) 1個のさいころを90回投げて、2以下の目が出る回数 \(X\)
(2) 不良品が全体の2%含まれる大量の製品の山から、1個を取り出して不良品かどうか調べることを300回繰り返すとき、不良品を取り出す回数 \(X\)
答えを見る
(1)
\(X\) は二項分布 \(B\left(\color{#8E44AD}{90},\ \color{#3CB371}{\frac{1}{3}}\right)\) に従う。
\(E(X)=\color{#8E44AD}{90}\times\color{#3CB371}{\frac{1}{3}}\color{#EE4656}{=30}\)
\(V(X)=90\times\color{#3CB371}{\frac{1}{3}}\times\color{#F39800}{\frac{2}{3}}\color{#EE4656}{=20}\)
\(\sigma(X)=\sqrt{20}\color{#EE4656}{=2\sqrt{5}}\)
(2)
\(X\) は二項分布 \(B\left(\color{#8E44AD}{300},\ \color{#3CB371}{0.02}\right)\) に従う。
\(E(X)=\color{#8E44AD}{300}\times\color{#3CB371}{0.02}\color{#EE4656}{=6}\)
\(V(X)=300\times\color{#3CB371}{0.02}\times\color{#F39800}{0.98}\color{#EE4656}{=5.88}\)
\(\begin{aligned}\sigma(X)&=\sqrt{5.88}=\sqrt{\tfrac{147}{25}}\\[8pt]&\color{#EE4656}{=\tfrac{7\sqrt{3}}{5}}\end{aligned}\)
まとめ:二項分布

さて、今回のまとめだよ!
二項分布
1回の試行で事象 \(A\) が起こる確率を \(p\)、起こらない確率を \(q=1-p\) とする。
この試行を \(n\) 回くり返すとき、\(A\) が起こる回数 \(X\) が \(r\) になる確率は
\(P(X=r)={}_{\color{#8E44AD}{n}}\mathrm{C}_r\,{\color{#3CB371}{p}}^r\,{\color{#F39800}{q}}^{n-r}\) \((r=0,\ 1,\ \cdots,\ n)\)
この確率分布を二項分布といい、\(B(\color{#8E44AD}{n},\ \color{#3CB371}{p})\) で表す。
二項分布の期待値・分散・標準偏差
\(X\) が二項分布 \(B(n,\ p)\) に従うとき
\(E(X)=\color{#8E44AD}{n}\color{#3CB371}{p}\) \(V(X)=\color{#8E44AD}{n}\color{#3CB371}{p}\color{#F39800}{q}\) \(\sigma(X)=\sqrt{\color{#8E44AD}{n}\color{#3CB371}{p}\color{#F39800}{q}}\)

また一つ賢くなった!






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