
今日の板書はこれ!
二項分布の正規近似
二項分布 \(B(n,\ p)\) に従う確率変数 \(X\) は、\(n\) が十分大きいとき、近似的に正規分布 \(N(\color{#8E44AD}{np},\ \color{#F39800}{npq})\) に従う。ただし、\(q=1-p\) である。
\(E(X)=\color{#8E44AD}{np}\) \(\sigma(X)=\color{#F39800}{\sqrt{npq}}\)
標準化
このとき、次のようにおくと、\(Z\) は近似的に標準正規分布 \(N(0,\ 1)\) に従う。
\(\color{#EE4656}{Z}=\frac{X-\color{#8E44AD}{np}}{\color{#F39800}{\sqrt{npq}}}\)
1個のさいころを720回投げて、1の目が出る回数を \(X\) とするとき、\(110\leq X\leq 130\) となる確率を求めよ。
▼ 解答
1の目が出る確率は \(\frac{1}{6}\) で、\(X\) は二項分布 \(B\left(720,\ \frac{1}{6}\right)\) に従う。
\(E(X)=720\times\frac{1}{6}=\color{#8E44AD}{120}\)
\(\sigma(X)=\sqrt{720\times\frac{1}{6}\times\frac{5}{6}}=\color{#F39800}{10}\)
よって、\(X\) は近似的に正規分布 \(N(\color{#8E44AD}{120},\ \color{#F39800}{10}^2)\) に従う。
\(Z=\frac{X-\color{#8E44AD}{120}}{\color{#F39800}{10}}\) とおくと、\(Z\) は近似的に標準正規分布 \(N(0,\ 1)\) に従う。
\(X=110\) のとき \(Z=\color{#EE4656}{-1}\)、\(X=130\) のとき \(Z=\color{#EE4656}{1}\)
したがって、求める確率は
\(\begin{aligned}P(110\leq X\leq 130)&=P(\color{#EE4656}{-1}\leq Z\leq \color{#EE4656}{1})\\[8pt]&=2p(1)\\[8pt]&=2\times 0.3413\\[8pt]&\color{#3CB371}{=0.6826}\end{aligned}\)

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この問題を解きたい!
1個のさいころを720回投げて、1の目が出る回数を \(X\) とするとき、\(110\leq X\leq 130\) となる確率を求めよ。
さいころを何回か投げたときに1の目が出る回数は、06で学んだ二項分布に従います。
1回投げて1の目が出る確率は \(\frac{1}{6}\) なので、\(X\) は二項分布 \(B\left(720,\ \frac{1}{6}\right)\) に従います。
二項分布の公式を使うと、たとえば \(X=110\) となる確率は次のように表せます。
\(P(X=110)={}_{720}\mathrm{C}_{110}\left(\frac{1}{6}\right)^{110}\left(\frac{5}{6}\right)^{610}\)
求めたい確率は、\(X=110,\ 111,\ \cdots,\ 130\) となる確率を21個すべて足したものです。
\(\begin{aligned}P(110\leq X\leq 130)&=P(X=110)+P(X=111)\\[8pt]&\quad+\cdots+P(X=130)\end{aligned}\)
でも、\({}_{720}\mathrm{C}_{110}\) のような大きな数を使った計算を21回もくり返すのは、手計算ではとても無理です。

回数が多いときは、08で学んだ正規分布を使うとうまく求められるんだ!
二項分布と正規分布
回数を増やすとグラフはどうなる?
まずは、さいころを投げる回数を変えて、1の目が出る回数の分布をグラフにしてみましょう。
10回投げるときの分布は、次のようになります。

1の目は6回に1回しか出ないので、山は左に寄っていて、左右対称ではありません。
では、50回投げるとどうなるでしょうか。

山の位置が右に移り、左右対称な山の形に近づいてきました。
この形は、08で学んだ正規分布曲線によく似ています。

回数を増やすと、二項分布のグラフは正規分布の山の形に近づいていくんだ!
どんな正規分布に近づく?
正規分布の形は、平均と標準偏差の2つの数で決まるのでした。
そこで、50回投げるときの二項分布 \(B\left(50,\ \frac{1}{6}\right)\) と、平均と標準偏差が同じ正規分布を考えます。
\(E(X)=50\times\frac{1}{6}=\frac{25}{3}\approx\color{#8E44AD}{8.3}\)
\(\sigma(X)=\sqrt{50\times\frac{1}{6}\times\frac{5}{6}}=\frac{5\sqrt{10}}{6}\approx\color{#F39800}{2.6}\)
平均 約8.3、標準偏差 約2.6 の正規分布曲線を重ねると、次のようになります。

棒グラフと曲線が、かなりよく重なっていることが分かります。
回数をもっと増やして720回にすると、平均は 120、標準偏差は 10 になり、曲線とほぼぴったり重なります。

06で学んだように、二項分布 \(B(n,\ p)\) の期待値は \(\color{#8E44AD}{np}\)、分散は \(\color{#F39800}{npq}\)(ただし \(q=1-p\))です。
このことから、次のようにまとめられます。
二項分布 \(B(n,\ p)\) に従う確率変数 \(X\) は、\(n\) が十分大きいとき、近似的に正規分布 \(N(\color{#8E44AD}{np},\ \color{#F39800}{npq})\) に従います。
これを二項分布の正規近似といいます。
\(N(m,\ \sigma^2)\) の2つ目には分散が入るので、標準偏差 \(\color{#F39800}{\sqrt{npq}}\) ではなく \(\color{#F39800}{npq}\) を書くことに注意しましょう。
例題2
確率変数 \(X\) が二項分布 \(B\left(450,\ \frac{1}{3}\right)\) に従うとき、\(X\) は近似的にどのような正規分布に従うか。
まず、期待値と標準偏差を求めます。
\(E(X)=450\times\frac{1}{3}=\color{#8E44AD}{150}\)
\(\sigma(X)=\sqrt{450\times\frac{1}{3}\times\frac{2}{3}}=\sqrt{100}=\color{#F39800}{10}\)
よって、\(X\) は近似的に正規分布 \(N(\color{#8E44AD}{150},\ \color{#F39800}{10}^2)\) に従います。


期待値と標準偏差を計算すれば、どの正規分布で近似するかが決まるね!
最初の問題を解こう
二項分布を正規分布で近似できることが分かったので、最初の問題に戻りましょう。
1個のさいころを720回投げて、1の目が出る回数を \(X\) とするとき、\(110\leq X\leq 130\) となる確率を求めよ。
\(X\) は二項分布 \(B\left(720,\ \frac{1}{6}\right)\) に従うので、期待値と標準偏差は次のようになります。
\(E(X)=720\times\frac{1}{6}=\color{#8E44AD}{120}\)
\(\sigma(X)=\sqrt{720\times\frac{1}{6}\times\frac{5}{6}}=\sqrt{100}=\color{#F39800}{10}\)
720回は十分大きいので、\(X\) は近似的に正規分布 \(N(\color{#8E44AD}{120},\ \color{#F39800}{10}^2)\) に従います。
求めたいのは、この正規分布曲線の 110 から 130 までの面積 です。

正規分布表を使うために、平均 120 を引いて、標準偏差 10 でわると、標準化できます。
\(\color{#EE4656}{Z}=\frac{X-\color{#8E44AD}{120}}{\color{#F39800}{10}}\) とおくと、\(Z\) は近似的に標準正規分布 \(N(0,\ 1)\) に従います。
範囲の両端を、\(Z\) の値に直します。
\(X=110\) のとき \(\color{#EE4656}{Z}=\frac{110-120}{10}=\color{#EE4656}{-1}\)
\(X=130\) のとき \(\color{#EE4656}{Z}=\frac{130-120}{10}=\color{#EE4656}{1}\)

\(Z=0\) をまたいでいるので、対称性を使うと \(-1\) から 1 までの面積は \(2p(1)\) と表せます。
\(\begin{aligned}P(110\leq X\leq 130)&=P(\color{#EE4656}{-1}\leq Z\leq \color{#EE4656}{1})\\[8pt]&=2p(1)\\[8pt]&=2\times 0.3413\\[8pt]&\color{#3CB371}{=0.6826}\end{aligned}\)
よって、求める確率は 0.6826 です。
110 と 130 は、平均 120 から 標準偏差 10 だけ離れた位置なので、08で見た「平均±標準偏差の範囲に約68%」と同じ結果になっています。

21個の確率を足す計算が、表を1回引くだけで済んだね!

回数が多いときは、正規分布で考えればいいんだ!
練習問題
1個のさいころを180回投げて、1の目が出る回数を \(X\) とするとき、\(20\leq X\leq 35\) となる確率を、例題1にならって求めよ。
答えを見る
1の目が出る確率は \(\frac{1}{6}\) で、\(X\) は二項分布 \(B\left(180,\ \frac{1}{6}\right)\) に従う。
\(E(X)=180\times\frac{1}{6}=\color{#8E44AD}{30}\)
\(\sigma(X)=\sqrt{180\times\frac{1}{6}\times\frac{5}{6}}=\sqrt{25}=\color{#F39800}{5}\)
よって、\(X\) は近似的に正規分布 \(N(\color{#8E44AD}{30},\ \color{#F39800}{5}^2)\) に従う。

\(Z=\frac{X-\color{#8E44AD}{30}}{\color{#F39800}{5}}\) とおくと、\(Z\) は近似的に標準正規分布 \(N(0,\ 1)\) に従う。
\(X=20\) のとき \(Z=\color{#EE4656}{-2}\)、\(X=35\) のとき \(Z=\color{#EE4656}{1}\)

したがって、求める確率は
\(\begin{aligned}P(20\leq X\leq 35)&=P(-2\leq Z\leq 1)\\[8pt]&=\color{#E9548E}{p(2)}+\color{#3CB371}{p(1)}\\[8pt]&=0.4772+0.3413\\[8pt]&\color{#3CB371}{=0.8185}\end{aligned}\)
まとめ:二項分布の正規近似

さて、今回のまとめだよ!
二項分布の正規近似
二項分布 \(B(n,\ p)\) に従う確率変数 \(X\) は、\(n\) が十分大きいとき、近似的に正規分布 \(N(\color{#8E44AD}{np},\ \color{#F39800}{npq})\) に従う。ただし、\(q=1-p\) である。
\(E(X)=\color{#8E44AD}{np}\) \(\sigma(X)=\color{#F39800}{\sqrt{npq}}\)
標準化
このとき、次のようにおくと、\(Z\) は近似的に標準正規分布 \(N(0,\ 1)\) に従う。
\(\color{#EE4656}{Z}=\frac{X-\color{#8E44AD}{np}}{\color{#F39800}{\sqrt{npq}}}\)

また一つ賢くなった!

一人だと続かない人は、こんな方法もあるよ!







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