
今日の板書はこれ!
期待値(平均) 確率変数 \(X\) の値と、その値をとる確率の積の和
\(E(X)=x_1p_1+x_2p_2+\cdots+x_np_n\)
\(=\sum_{k=1}^{n}x_kp_k\)
\(E(X)=m\) とするとき、\(X-m\) を \(X\) の平均からの 偏差 という。
1個のさいころを投げて出る目を \(X\) とするとき、確率変数 \(X\) の期待値を求めよ。
▼ 解答
\(P(X=k)=\frac{1}{6}\) \((k=1,\ 2,\ \cdots,\ 6)\) であるから
\(E(X)=1\times\frac{1}{6}+2\times\frac{1}{6}+\cdots+6\times\frac{1}{6}\)
\(=(1+2+3+4+5+6)\times\frac{1}{6}\)
\(=21\times\frac{1}{6}\)
\(=\frac{7}{2}\)

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現役教員として数学を教えている「さん」と申します。
「人より勉強に時間がかかる」と感じていませんか?私の学校にも、同じ悩みを抱えて苦しんでる生徒がたくさんいます。
「教科書や参考書の内容がわからなくて、読むのに時間がかかる」「解答の意味が理解できず、勉強が進まない」教科書や参考書の内容を理解するには、「自分なりに噛み砕いて考える力」が必要です。
でも大丈夫!このサイトでは、私が受けた質問や、つまずきポイントをもとに、わかりやすく解説していきます。
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期待値(平均)とは?

前回は、確率変数がとる値と、その値になる確率の対応(確率分布)を表にまとめたね。今回は、その表から「平均するといくつになるか」を求めるよ!

平均なら、全部足して個数で割ればいいんじゃないですか?

いい発想だね!実はその考え方を確率で言いかえたものが期待値なんだ。くじで考えてみよう!
くじの賞金の平均を考える
10本のくじがあり、1等は500円が1本、2等は100円が3本、残りの6本ははずれで0円だとします。
このくじを1本引いたとき、もらえる賞金は平均するといくらになるでしょうか。
ここでは、ふつうの平均の考え方と、確率を使った期待値の考え方の2通りで求めて、結果を比べてみます。
平均の考え方

賞金は500円、100円、0円の3種類だから、足して3で割ればいいですか?
\(\frac{500+100+0}{3}=200\)
しかし、これは正しい平均ではありません。
0円のくじは6本もあるのに、1本しかない500円と同じ「1回分」として数えてしまっているからです。
正しく求めるには、くじ10本の賞金を1本ずつすべて足して、本数の10で割ります。
\(\frac{500+100+100+100+0+0+0+0+0+0}{10}\)
同じ金額をまとめて書くと、次のようになります。
\(=\frac{500\times 1+100\times 3+0\times 6}{10}\)
\(=\frac{800}{10}\)
\(=80\)
よって、1本あたりの賞金の平均は80円です。

200円と80円では、ずいぶん違うね。本数の多い0円が、平均を下に引っぱっているんだ。本数が多い金額ほど、平均に強く効いてくるんだよ!
期待値の考え方
次は、確率を使って考えます。
このくじを1本引いたときにもらえる賞金を \(X\) 円として、\(X\) の確率分布を表にしてみます。
500円が当たるのは10本中1本なので、その確率は \(\frac{1}{10}\) です。
同じように考えると、表は次のようになります。
\(\begin{array}{c|ccc|c} X & \color{#3CB371}{500} & \color{#3CB371}{100} & \color{#3CB371}{0} & \text{計} \\ \hline P & \color{#E9548E}{\frac{1}{10}} & \color{#E9548E}{\frac{3}{10}} & \color{#E9548E}{\frac{6}{10}} & 1 \end{array}\)
ここで、平均の考え方で使った式を、分母の10をそれぞれの項に分けて書きかえてみます。
\(\frac{500\times 1+100\times 3+0\times 6}{10}\)
\(=500\times\color{#E9548E}{\frac{1}{10}}+100\times\color{#E9548E}{\frac{3}{10}}+0\times\color{#E9548E}{\frac{6}{10}}\)
\(=80\)
ここに出てきた \(\frac{1}{10}\)、\(\frac{3}{10}\)、\(\frac{6}{10}\) は、表の確率とまったく同じです。
つまり、値×確率をすべて足すと、平均が求められます。
このとき確率は、それぞれの値が平均にどれだけ効くかを表す「重み」の役割をしています。
このように、値に確率の重みを付けて求めた平均を 加重平均 といいます。
期待値は、確率を重みにした加重平均なのです。

確率が重みになっているから、本数の多い0円がちゃんと平均に効いてくるんですね!

その通り!数学Ⅰの「データの分析」で、度数分布表から平均を求めたのと同じ考え方だよ。相対度数のかわりに確率を使っているんだ。
期待値の定義
このことを一般の確率変数で考えます。
確率変数 \(X\) の確率分布が次の表で与えられているとします。
\(\begin{array}{c|cccc|c} X & x_1 & x_2 & \cdots & x_n & \text{計} \\ \hline P & p_1 & p_2 & \cdots & p_n & 1 \end{array}\)
このとき、値と確率の積をすべて足した値を、\(X\) の 期待値 または 平均 といい、\(E(X)\) で表します。
\(E(X)=x_1p_1+x_2p_2+\cdots+x_np_n\)
\(=\sum_{k=1}^{n}x_kp_k\)
\(E\) は期待値を表す英語 Expectation の頭文字です。

和の記号 Σ を使うと、「k 番目の値×k 番目の確率」を k=1 から n まで足す、と短く書けるよ!
平均からの偏差
期待値 \(E(X)\) は平均とも呼ばれるので、\(m\)(mean の頭文字)とおくことがあります。
\(E(X)=m\) とするとき、\(X-m\) を \(X\) の平均からの 偏差 といいます。
偏差は、確率変数の値が平均からどれだけ離れているかを表しています。
たとえば先ほどのくじでは \(m=80\) なので、1等の500円の偏差は \(500-80=420\) となり、はずれの0円の偏差は \(0-80=-80\) となります。

偏差は、次回の「分散」で散らばり具合を測るときに使うよ。ここでは言葉の意味を押さえておこう!
例題1:さいころの目の期待値
1個のさいころを投げて出る目を \(X\) とするとき、確率変数 \(X\) の期待値を求めよ。

まずは確率分布を確認しよう!
さいころの目は1から6までどれも同じ確からしさで出るので、確率はすべて \(\frac{1}{6}\) です。
\(P(X=k)=\color{#E9548E}{\frac{1}{6}}\) \((k=1,\ 2,\ \cdots,\ 6)\)
\(\begin{array}{c|cccccc|c} X & 1 & 2 & 3 & 4 & 5 & 6 & \text{計} \\ \hline P & \frac{1}{6} & \frac{1}{6} & \frac{1}{6} & \frac{1}{6} & \frac{1}{6} & \frac{1}{6} & 1 \end{array}\)
あとは定義どおり、値×確率をすべて足します。
\(E(X)=1\times\frac{1}{6}+2\times\frac{1}{6}+\cdots+6\times\frac{1}{6}\)
どの項にも \(\frac{1}{6}\) が掛かっているので、\(\frac{1}{6}\) でくくります。
\(=(1+2+3+4+5+6)\times\frac{1}{6}\)
\(=21\times\frac{1}{6}\)
\(=\frac{7}{2}\)

3.5 って、さいころでは出ない目ですよね?

いいところに気づいたね!期待値は「何回も投げたときの平均」だから、実際に出る値とは限らないんだ。くじの80円も、実際にもらえる金額ではなかったよね。
練習問題
確率分布の求め方を忘れてしまった人は、前回の記事で復習しておきましょう。
白玉2個、黒玉3個の入った袋から、3個の玉を同時に取り出すとき、出る白玉の個数を \(X\) とする。確率変数 \(X\) の期待値を求めよ。
答えを見る
玉の取り出し方は全部で \({}_5\mathrm{C}_3=10\) 通りある。
白玉は2個しかないので、\(X\) のとりうる値は 0, 1, 2 である。
\(P(X=0)=\frac{{}_3\mathrm{C}_3}{10}=\frac{1}{10}\)
\(P(X=1)=\frac{{}_2\mathrm{C}_1\times{}_3\mathrm{C}_2}{10}=\frac{6}{10}\)
\(P(X=2)=\frac{{}_2\mathrm{C}_2\times{}_3\mathrm{C}_1}{10}=\frac{3}{10}\)
よって、\(X\) の確率分布は次の表のようになる。
\(\begin{array}{c|ccc|c} X & 0 & 1 & 2 & \text{計} \\ \hline P & \frac{1}{10} & \frac{6}{10} & \frac{3}{10} & 1 \end{array}\)
したがって
\(E(X)=0\times\frac{1}{10}+1\times\frac{6}{10}+2\times\frac{3}{10}\)
\(=\frac{12}{10}\)
\(=\frac{6}{5}\)
まとめ:期待値(平均)

さて、今回のまとめだよ!
期待値(平均) 確率変数 \(X\) の値と、その値をとる確率の積の和
\(E(X)=x_1p_1+x_2p_2+\cdots+x_np_n\)
\(=\sum_{k=1}^{n}x_kp_k\)
\(E(X)=m\) とするとき、\(X-m\) を \(X\) の平均からの 偏差 という。
求め方 確率分布を求めてから、値×確率をすべて足す

また一つ賢くなった!






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