
今日の板書はこれ!
分散 偏差の2乗の期待値(平均値まわりの散らばり度)
\(V(X)=E((X-m)^2)\)
\(=\sum_{k=1}^{n}(x_k-m)^2p_k\)
\(=(x_1-m)^2p_1+(x_2-m)^2p_2+\cdots+(x_n-m)^2p_n\)
\(=E(X^2)-\{E(X)\}^2\)
(\(X^2\) の期待値)−(\(X\) の期待値)\(^2\)
標準偏差 分散の正の平方根
\(\sigma(X)=\sqrt{V(X)}\)
確率変数 \(X\) の確率分布が次の表で与えられるとき、\(X\) の分散と標準偏差を求めよ。
\(\begin{array}{c|ccc|c} X & 0 & 1 & 2 & \text{計} \\ \hline P & \frac{1}{4} & \frac{2}{4} & \frac{1}{4} & 1 \end{array}\)
▼ 解答
\(E(X)=0\times\frac{1}{4}+1\times\frac{2}{4}+2\times\frac{1}{4}\)
\(=1\)
\(V(X)=(0-1)^2\times\frac{1}{4}+(1-1)^2\times\frac{2}{4}+(2-1)^2\times\frac{1}{4}\)
\(=\frac{1}{2}\)
(別解)
\(V(X)=\left(0^2\times\frac{1}{4}+1^2\times\frac{2}{4}+2^2\times\frac{1}{4}\right)-1^2\)
\(=\frac{1}{2}\)
\(\sigma(X)=\sqrt{\frac{1}{2}}\)
\(=\frac{\sqrt{2}}{2}\)

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分散とは?

前回は、確率分布の表から期待値を求めて「平均するといくつになるか」を調べたね。今回は、値が平均のまわりにどれくらい散らばっているかを、1つの数で表す方法を学ぶよ!

平均が分かれば、それで十分じゃないんですか?

実は、平均が同じでも散らばり方がまったく違うことがあるんだ。まずは2つの確率変数を比べてみよう!
期待値の求め方があいまいな人は、先に前回の記事で確認しておきましょう。
平均が同じでも散らばり方は違う
確率変数 \(X\)、\(Y\) の確率分布が、それぞれ次の表で与えられているとします。
\(\begin{array}{c|ccc|c} X & 4 & 5 & 6 & \text{計} \\ \hline P & \frac{1}{3} & \frac{1}{3} & \frac{1}{3} & 1 \end{array}\)
\(\begin{array}{c|ccc|c} Y & 1 & 5 & 9 & \text{計} \\ \hline P & \frac{1}{3} & \frac{1}{3} & \frac{1}{3} & 1 \end{array}\)
それぞれの期待値を求めると、次のようになります。
\(E(X)=(4+5+6)\times\frac{1}{3}=5\)
\(E(Y)=(1+5+9)\times\frac{1}{3}=5\)
どちらも平均は5です。
しかし、\(X\) は5のすぐ近くの値しかとらないのに対して、\(Y\) は1や9のように5から遠く離れた値もとります。
つまり、\(Y\) のほうが平均のまわりに大きく散らばっていると考えられます。
この「散らばり具合」を数で表すことが、今回の目標です。

散らばりって、どうやって数にするんですか?

平均からどれだけ離れているか、つまり偏差を使うんだ!
偏差をそのまま平均すると…
前回学んだように、\(E(X)=m\) とするとき、\(X-m\) を平均からの偏差といいます。
\(X\) の平均は5なので、偏差は \(4-5=-1\)、\(5-5=0\)、\(6-5=1\) です。
この偏差の期待値を求めてみると、次のようになります。
\(\color{#F39800}{(-1)}\times\color{#E9548E}{\frac{1}{3}}+\color{#F39800}{0}\times\color{#E9548E}{\frac{1}{3}}+\color{#F39800}{1}\times\color{#E9548E}{\frac{1}{3}}=0\)
結果は0になってしまいました。
平均より大きい値の偏差は正、小さい値の偏差は負になるので、足すと打ち消し合ってしまうからです。
実は、どんな確率変数でも偏差の期待値は必ず0になるので、このままでは散らばりの大きさを比べることができません。
偏差を2乗してから平均する
そこで、偏差を2乗して負の符号をなくしてから期待値を求めます。
この「偏差の2乗の期待値」を分散といい、\(V(X)\) で表します。
\(X\) の分散を計算すると、次のようになります。
\(V(X)=\color{#F39800}{(-1)^2}\times\color{#E9548E}{\frac{1}{3}}+\color{#F39800}{0^2}\times\color{#E9548E}{\frac{1}{3}}+\color{#F39800}{1^2}\times\color{#E9548E}{\frac{1}{3}}\)
\(=\frac{2}{3}\)
同じように、\(Y\) の偏差は \(-4\)、\(0\)、\(4\) なので、\(Y\) の分散は次のようになります。
\(V(Y)=\color{#F39800}{(-4)^2}\times\color{#E9548E}{\frac{1}{3}}+\color{#F39800}{0^2}\times\color{#E9548E}{\frac{1}{3}}+\color{#F39800}{4^2}\times\color{#E9548E}{\frac{1}{3}}\)
\(=\frac{32}{3}\)
\(X\) の分散は \(\frac{2}{3}\)、\(Y\) の分散は \(\frac{32}{3}\) となり、散らばりの大きい \(Y\) のほうが分散も大きくなりました。
このように、分散が大きいほど、値は平均から離れて散らばっているといえます。

偏差を2乗するから、平均から遠い値ほど大きく効いてくるんだ。分散は「平均値まわりの散らばり度」を表す数なんだよ!
分散の定義
ここまでの考え方を、一般の確率変数にまとめます。
分散とは、確率変数の偏差の2乗の期待値のことです。
確率変数 \(X\) の期待値を \(m\) とすると、\(X\) の分散 \(V(X)\) は次の式で表されます。
\(V(X)=E((X-m)^2)\)
\(=\color{#F39800}{(x_1-m)^2}\color{#E9548E}{p_1}+\color{#F39800}{(x_2-m)^2}\color{#E9548E}{p_2}+\cdots+\color{#F39800}{(x_n-m)^2}\color{#E9548E}{p_n}\)
「偏差の2乗」と「確率」をかけたものを、とりうる値すべてについて足す、という意味です。
\(\Sigma\) を使うと、次のようにも書けます。
\(V(X)=\sum_{k=1}^{n}(x_k-m)^2p_k\)
\(V\) は、分散を表す英語 Variance の頭文字です。

\(\Sigma\) は「全部足す」という記号だよ。実際の計算では、さっきのように1つずつ書き並べて足せばOK!
分散のもう1つの求め方
分散は、次の式で求めることもできます。
\(V(X)=E(X^2)-\{E(X)\}^2\)
つまり、「\(X^2\) の期待値」から「\(X\) の期待値の2乗」を引いたものが分散になります。
先ほどの \(X\) で確かめてみましょう。
\(X^2\) は \(4^2\)、\(5^2\)、\(6^2\) の値を、それぞれ確率 \(\frac{1}{3}\) でとるので、\(X^2\) の期待値は次のようになります。
\(E(X^2)=(4^2+5^2+6^2)\times\frac{1}{3}\)
\(=77\times\frac{1}{3}\)
\(=\frac{77}{3}\)
\(E(X)=5\) なので、分散は次のように求められます。
\(V(X)=\frac{77}{3}-5^2\)
\(=\frac{77}{3}-\frac{75}{3}\)
\(=\frac{2}{3}\)
偏差の2乗から求めた値と、きちんと一致しました。

平均 \(m\) が分数のときは、偏差の計算がめんどうになるよね。そんなときはこの式を使うと、計算がラクになることが多いよ!
標準偏差とは?

分散で散らばりが分かるなら、それで終わりですか?

実は、分散にはちょっと困ったところがあるんだ。単位に注目してみよう!
確率変数 \(X\) の単位が「円」や「cm」のとき、分散は偏差を2乗しているので、単位も「円²」や「cm²」になってしまいます。
これでは、もとの値や平均と並べて比べることができません。
そこで、分散の正の平方根をとって、単位をもとにもどします。
標準偏差とは、分散の正の平方根のことです。
\(\sigma(X)=\sqrt{V(X)}\)
\(\sigma\) はギリシャ文字の「シグマ」で、標準偏差を表す英語 standard deviation の頭文字 s にあたる文字です。
先ほどの \(X\) と \(Y\) の標準偏差を求めると、次のようになります。
\(\sigma(X)=\sqrt{\frac{2}{3}}=\frac{\sqrt{6}}{3}\)
\(\sigma(Y)=\sqrt{\frac{32}{3}}=\frac{4\sqrt{6}}{3}\)
標準偏差も、値が大きいほど散らばりが大きいことを表しています。
例題1:分散と標準偏差を求める
確率変数 \(X\) の確率分布が次の表で与えられるとき、\(X\) の分散と標準偏差を求めよ。
\(\begin{array}{c|ccc|c} X & 0 & 1 & 2 & \text{計} \\ \hline P & \frac{1}{4} & \frac{2}{4} & \frac{1}{4} & 1 \end{array}\)
まず、期待値を求めます。
\(E(X)=0\times\frac{1}{4}+1\times\frac{2}{4}+2\times\frac{1}{4}\)
\(=1\)
平均が1と分かったので、2通りの方法で分散を求めてみます。
偏差の2乗から求める
\(X\) の偏差は \(0-1\)、\(1-1\)、\(2-1\) なので、分散は次のようになります。
\(V(X)=\color{#F39800}{(0-1)^2}\times\color{#E9548E}{\frac{1}{4}}+\color{#F39800}{(1-1)^2}\times\color{#E9548E}{\frac{2}{4}}+\color{#F39800}{(2-1)^2}\times\color{#E9548E}{\frac{1}{4}}\)
\(=\frac{1}{4}+0+\frac{1}{4}\)
\(=\frac{1}{2}\)
X²の期待値から求める
\(X^2\) の期待値を求めてから、\(E(X)\) の2乗を引きます。
\(E(X^2)=0^2\times\frac{1}{4}+1^2\times\frac{2}{4}+2^2\times\frac{1}{4}\)
\(=\frac{3}{2}\)
\(V(X)=\frac{3}{2}-1^2\)
\(=\frac{1}{2}\)
どちらの方法でも、同じ値になりました。

今回は平均が1で整数だから、どちらの方法でもラクに計算できるね!
標準偏差は分散の正の平方根なので、次のようになります。
\(\sigma(X)=\sqrt{\frac{1}{2}}\)
\(=\frac{\sqrt{2}}{2}\)
よって、分散は \(\frac{1}{2}\)、標準偏差は \(\frac{\sqrt{2}}{2}\) となります。
練習問題
確率変数 \(Y\) の確率分布が次の表で与えられるとき、\(Y\) の分散と標準偏差を求めよ。
\(\begin{array}{c|ccc|c} Y & 0 & 1 & 2 & \text{計} \\ \hline P & \frac{1}{10} & \frac{6}{10} & \frac{3}{10} & 1 \end{array}\)
答えを見る
\(E(Y)=0\times\frac{1}{10}+1\times\frac{6}{10}+2\times\frac{3}{10}\)
\(=\frac{12}{10}=\frac{6}{5}\)
\(E(Y)\) が分数なので、\(E(Y^2)-\{E(Y)\}^2\) を用いる。
\(E(Y^2)=0^2\times\frac{1}{10}+1^2\times\frac{6}{10}+2^2\times\frac{3}{10}\)
\(=\frac{18}{10}=\frac{9}{5}\)
\(V(Y)=\frac{9}{5}-\left(\frac{6}{5}\right)^2\)
\(=\frac{45}{25}-\frac{36}{25}\)
\(=\frac{9}{25}\)
\(\sigma(Y)=\sqrt{\frac{9}{25}}\)
\(=\frac{3}{5}\)
よって、分散は \(\frac{9}{25}\)、標準偏差は \(\frac{3}{5}\) である。
まとめ:分散と標準偏差

さて、今回のまとめだよ!
分散 偏差の2乗の期待値(平均値まわりの散らばり度)
\(V(X)=E((X-m)^2)\)
\(=\sum_{k=1}^{n}(x_k-m)^2p_k\)
\(=(x_1-m)^2p_1+(x_2-m)^2p_2+\cdots+(x_n-m)^2p_n\)
\(=E(X^2)-\{E(X)\}^2\)
(\(X^2\) の期待値)−(\(X\) の期待値)\(^2\)
標準偏差 分散の正の平方根
\(\sigma(X)=\sqrt{V(X)}\)

また一つ賢くなった!






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